夜叉桜: 長編時代小説 (光文社文庫 あ 46-2 光文社時代小説文庫)
- 光文社 (2009年11月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334746766
感想・レビュー・書評
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弥勒シリーズ第二弾
遠野屋も主役なんですね。
信次郎、遠野屋、伊佐治で物語が続くんですね。
前作よりさらに人物描写の深さを感じます
ぶっちゃけ、遠野屋は好きなキャラですが、信次郎は嫌いなキャラ。そこをバランスとっているのが伊佐治親分という関係性です。
ストーリとしては、
次々と女郎が殺されます。そのうちの一人は遠野屋の手代の幼馴染。そして、その子が持っていた簪。
この簪から、信次郎は遠野屋とのかかわりを掘り下げていきます。
事件の真相は?
さらに、遠野屋が何者かにさらわれるという事態に
その背景にはまた深い闇がありました。
ラスト、明らかになる女郎殺しの真相
そしてそこにあった闇
しかし、最後の最後、遠野屋に新しい光が!
となって、続きが気になります。
これは、やはり1作目から読まないと面白さが半減です。
必ず、1作目から読みましょう!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリーズ②の一冊。
江戸の町で殺された三人の女の事件の真相に迫るストーリー。
小間物問屋の清之介にまた会えるとは。
そして彼を軸にまた哀しい事件の真相が浮かび上がるとは。
やっぱり読みながらぎゅーッと胸をしめつけられるこの感じが良い。
どうしようもない辛さを抱えても生きていかなければいけない人間たるもののもがきや苦しみ、生きる強さが痛いほど伝わってくる様に随所で魅せられた。
清之介が醸し出す夜のような空気感が良い。
信次郎の人情の薄さ、この裏側ももっと感じ取りたい。
伊佐治の眼差しももっと味わいたい。 -
弥勒の次は夜叉、月の次は桜。
人の心の奥底に潜むもの、「死そのものより、人間の不可思議さ、暗さ、怪奇さに寒気を覚える」と伊佐治が思う場面が、全てを物語っているかのように感じた。
信次郎と伊佐治が「ほつれ」を解していく。3人の遺体から、読み取る場面は面白い。
清之助は「死」を呼び込むと信次郎は言うが、信次郎もまた同類なのだろう。清之助の周りも俄かに流れていく。面白くなってきた。
弥勒にも夜叉にもなれるのが人だ。内に弥勒を育み、夜叉を飼う。腕の立つ者ほど内を感じ取ることができるのだろう。
清之助の運命が流れるなかで清之助の志は貫けるのか?おりんがなぜ自死したのかが朧げに理解できはじめた。時代ものの背景の中で、人の気持ちを表現する文に引き込まれる作品だった。人の気持ちは時は違えど不変なのだろう。 -
信次郎が主役かと思ったら、遠野屋とのダブル主演ですか。よき。
江戸時代もなかなかいっちゃってる人が多いですなぁ。なかなか事件のコアは切ないお話でした。
2022.9.17
133 -
第二弾
今回も遠野屋が係る、過去の因縁と現在の商売仲間
女郎が殺される事件が一人は手代の幼馴染
背景には狂った男女の関係と婿養子に入った真面目な商人の闇、二人が絡まった時、そして遠野屋の過去の曰くも -
生きることに飽いて、皮肉な言動しかできない北定町同心信次郎、尋常ならざる過去を持つ小間物問屋「遠野屋」主人清之介、そしてこの二人の緩衝役ともいうべき岡っ引きの伊佐治親分、3人が織りなす「弥勒の月」に続く第2作。
弥勒と夜叉、対をなす二語が文中でも語られる。
「弥勒にも夜叉にも、鬼にも仏にもなれるのが人なのだ。身の内に弥勒を育み、夜叉を飼う。鬼を潜ませ、仏を住まわせる。」
人の抱える底なしの闇に、筆で迫る作者の手練に、冒頭から取り込まれ、たちまちのうちに読み終える。
この作品の主題は「運命と意志」「孤独と希望」だという三浦しをんの、帯の惹句「『読書の楽しみそのもの』といった、贅沢な時間が味わえる」が、けっして誇大広告ではない。
今後も続く、このシリーズから目が離せない。 -
メイン3人共が切れ者で推し。
やり取りと心理描写が主だったキャラミスっぽい。殺しや苦界の話の割に爽やか。
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やっぱり清之介がかっこいい。剣を握る清之介が見たくなるけど、そうなるとこの物語は終わってしまう。しかし菊乃の中に夜叉がいるというところは納得がいかない。菊乃の描き方が不足していると感じた。
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読んだ。切ない綺麗な話だった。弥勒シリーズが完結したら一気読みしたい。
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シリーズ2、