スコーレNo.4 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
3.89
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本棚登録 : 1874
レビュー : 285
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334746780

作品紹介・あらすじ

自由奔放な妹・七葉に比べて自分は平凡だと思っている女の子・津川麻子。そんな彼女も、中学、高校、大学、就職を通して4つのスコーレ(学校)と出会い、少女から女性へと変わっていく。そして、彼女が遅まきながらやっと気づいた自分のいちばん大切なものとは…。ひとりの女性が悩み苦しみながらも成長する姿を淡く切なく美しく描きあげた傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 父親の営む古道具屋に生まれ育った中学一年生の少女・麻子は
    一年違いの妹と、小学生になったばかりの妹がいる三姉妹の長女なのだけれど
    一歳違いの妹とはついつい比べてしまって自分は平凡だとばかり思っている──

    そんな麻子が大人になるまでの心の成長は、一歩一歩、一つ一つ
    ゆっくりと穏やかに吹く爽やかな風のように心地よく伝わってきます。

    中学、高校、大学、そして就職と
    4つのスコーレ(学び)のなかで麻子が得ていくものは....?

    "薄暗い穴倉のようなところから空を見上げている。
    ──中略──私の最初の記憶だ。"

    冒頭のここに麻子の本質が表れているような。
    古道具が好き、という生い立ちや家庭環境というのにも
    きっと影響があるでしょう。

    それでも麻子は麻子、自分らしくね。それでいいのよ...と呟いて
    靴屋さんで働く麻子には自分にもあったあの頃とも重なって
    ちょっぴり懐かしい気持ちにもなったりして。
    平凡ではありながら、気持ちの和む心に優しい物語でした。
    茅野さんはとっても素敵な人ね。^^

    おばあちゃんの教えがいいです。
    手伝いをしているのは私たち大人のほうであること。
    女の子のけんかはどなったり叫んだりした方が負け。
    家は古くても掃除はきっちりやっておくこと。
    朝起きた時に飲みたいお茶が決まっていればその日はいい一日になること....。
    凛としていて背筋が伸びます。

  • これは、ものすごく、よかった。
    ずっと家に積んでいた本の1冊ですが、まさかこんな掘り出し物が眠っていたなんて。いまだ余韻が残ってます。

    本書は、一人の少女の成長の軌跡を綴った物語です。
    行間に風を感じる軽やかで物腰のやわらかい文体。
    等身大の日々が丁寧に描かれ、押し付けのない距離感。
    読んでいて、ものすごく居心地がいいです。

    そして、それぞれのステージで語られる家族のこと、恋愛のこと、仕事のこと。
    どれもが重くなく、さらりとしてる。それでいて求心力があるから、胸を打つ。
    どんな風に表現すればこの質感を伝えられるのかわからないけど、今まで読んだ宮下さんのどの作風とも違ってました。まだ、ドキドキする・・・。

    どのステージもいいけれど、特にNo3とNo4はいい。
    原石が磨かれて光っていく様・・・というのは、なんて心地いいものなんでしょうね。
    家族の話も、恋愛の話も、仕事の話も、どれもこれもが本当にいい。とくに厳しくもブレない祖母やとびっきり大人な茅野さんがお気に入りです。

    心が荒んだらまた読み返そう。
    胸を爽やかな風が通り抜ける気持ちのいい読了感でした。おすすめです。

  • 評判を聞き、読んでみたくて買い、ずいぶん前から持っていた。
    やっと読めた一冊。

    三人姉妹の長女・麻子が主人公。
    中学生から大人になっていく麻子がとても丁寧に描かれている。
    自分のペースを理解しているところは
    いいようで過ごしにくい部分もあるのだなと思った。

    解説で北上氏がかいていたけれど
    わたしもNo.3の靴屋の話が一番好きだ。

    そして茅野さんがいい。
    出張中からはじまって、戻ってから。
    ノリがどこか不思議だ。
    一番印象的なのは”あの”食事の誘いだろうか。
    特別変わっているわけではないけれど
    多数ではない”自分らしさ”がいい。
    読み進めるうちにどんどん惹かれた。
    麻子とのペアはぴったりだ。
    お幸せに。

  • 活発で可愛らしい顔の妹、褒められるような容姿ではない(だからといって笑われるようなブサイクではない)主人公。

    妹のように思ったことを口に出せない、モノや人にたいしてこだわりを持って愛する能力に欠けていることを、妹が何が何でもお店の陶片を欲しいと握りしめている強さを目の当たりにして、コンプレックスに思う。

    宮下さんの作品は初めて読んだけど、すごく好感を持った。
    「平凡」の描き方が素晴らしい。
    平凡のツラをかぶった読者に媚を売るような不器用でもなく、みんなができることをできないということをウリにしているような浅ましさもなく、ここまで平凡な女性の平凡な成長を丹念に描き切っているのがとにかく素晴らしい。

    人生と真摯に向き合う主人公が愛おしい。

    不器用な人に同情的に頑張れって思う気持ちじゃなく、特段頑張れと声をかけられるような目だった欠点がない主人公だからこそ頑張ってほしいと思えた。

  • 社会人の女の人の話が読みたくて購入。
    自分の妹と比較して卑屈になって、中途半端に過ごしている麻子。妹と離れて自分らしさを見つけながら仕事を通して日々成長して…… ってこれあたし?!?!
    となってしまうくらい共感でした。

    社会人になってからの展開がおもしろくて、自分の知らない靴屋•海外出張の場面も新鮮。
    とくに一番感動できるところは麻子と彼とのつながりが発覚したところ。朝の満員電車でその場面を読んだ時には心がじわ〜…って熱くなってしまった(笑)
    その後、彼は麻子の家に行ってどんな反応したんだろう〜。続きがあれば読んで見たかったな。凄くいい本です。

  • 一人の女性の成長を書いた作品。大きな展開があるわけでもなく、普通にある日常をかいてるだけなのに・・なぜか引き込まれる。
    描写がとても丁寧で、文章がすごくきれいだと感じた。
    読み終わった後、なんて言うんだろう・・心が澄み渡るような、そんな感じがした。

    麻子が送ってきた人生の一部分と、茅野さんの送ってきた人生の一部分とが輪っかになって繋がったと感じた瞬間がいいな~。そんな人と出会えるのは最高だと思う。

  • 宮下 奈都 著
    以前、初めて 宮下 奈都さんの「羊と鋼の森」作品を読んで
    とても心地よい作品だったので、奈都さんの他の作品も読んでみたくなり 遅まきながら 「スコーレ No.4」を熟読しました いやぁ〜本当に何というか 清々しいほど 優しくて…何だろう 家族や恋愛や仕事の事を淡々と描いているのに、とても懐かしい感覚と凛としてるところは少し 勇気をもらったような気さえする。
    家や家族 恋愛のこと、仕事の内容など 置かれた環境や立場 景色は自分のとは違うのに 描いている背景が自分のもののように見えて 麻子(主人公)の気持ちが伝わってくる 。
    真面目で繊細で頑な 色々なアンバランスな思い 性質の中でバランスをとる形が 見事に描かれていて…すっと本の世界に入っていけた。

    「どうしても忘れられないもの、拘ってしまうもの、深く愛してしまうもの。そういうものこそが扉になる。
    広く浅くでは見つけられなかったものを、捕まえることができる。
    いいことも、悪いことも、涙が出そうなくらいうれしいことも、切ないことも、扉の向こうの深いところでつながっている。」
    きっと 一人一人がいつも自分の人生の一部を生きている
    この私でも これでもいいんだ!って思わせてくれる素敵な作品でした。

  • 本屋大賞受賞作品がよかったので、この本は大分前から積読リストにいれてました。

    少女から大人へと成長してゆく過程を中学・高校・大学・社会人と描いた作品で、家族や恋愛、仕事との向き合い方が丁寧に描かれています。
    コンプレックスを抱えながら、自信のない日々を送る少女時代。
    このあたりは繊細な心理描写がリアルなのかもしれないけど、なんだか歯がゆくてじれったくて純粋過ぎて、読むのがしんどかったです。
    誰かに理解されようともがくタイプではなく、ひとりで内に内に向かっていくタイプなんですよね、この子。
    もっと私が若かったら共感できたのかな(涙)

    それが、あるキッカケを通して一気に成長してゆきます。
    といってもそれは主人公が毎日こつこつ積み重ねてきたことの結果です。
    一朝一夕に飛躍したわけではなく、豊かな土壌と太陽のお蔭で必然的に今やっと花開いた!という感じなので、感慨深く感動的でした。
    前半の、私がイライラした少女時代の積み重ねが、この成長に繋がる感じがとてもいいんですよね。
    ドラマチックな展開といい、王子様的な彼氏まで用意されていて最後はちょっと少女マンガぽいんですけど、主人公が幸せになるならいいかな、と許せる気持ち。
    温かい気持ちになれるお話でした。

  • 古い町の骨董屋の3人娘の長女、麻子の成長物語。
    昔気質のぴしっとした祖母、穏やかな父、聡明で働き者の母、仲の良い次女、年が離れていて可愛らしい三女。

    この家の暗い秘密がエッセンス.....のようだが、あまり書き込まれておらず。
    麻子の淡い初恋とか、新社会人編や、やがて未来を共にする人との出会いとか、昭和の少女漫画のような美しさ、でしょうか。

  • 読了後にまず思ったのは、内容と表紙の絵がシンクロしています。見上げた女性の顔にある心の葛藤が、見事に絵で表現されていました。
    本を閉じた後、彼女の笑顔がどんなになっているのかなって思うだけでこの本を手に取って良かったなとしみじみ思います。
    物語に特別なアクションがある訳ではありません。本当にどこにでもいそうな、才色ある妹に対する葛藤をもった姉が成長していく過程を丁寧に綴っています。
    その普通の描写に、作者独自の独特な文章の言い回しを駆使しています。これがもの凄く上手です。
    私は男性読者ですが、覗いても見ることの出来ない、女性の心中を的確に文章で表現しているので、すごく参考になりました。つまり、男性が読んでも文句なしに面白い本なのだということです。
    内容はどうあっても、この作家の表現する文章と純粋に出会いたいがために、次の作品も見たくなると思いました。

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