スコーレNo.4 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 2136
レビュー : 322
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334746780

作品紹介・あらすじ

自由奔放な妹・七葉に比べて自分は平凡だと思っている女の子・津川麻子。そんな彼女も、中学、高校、大学、就職を通して4つのスコーレ(学校)と出会い、少女から女性へと変わっていく。そして、彼女が遅まきながらやっと気づいた自分のいちばん大切なものとは…。ひとりの女性が悩み苦しみながらも成長する姿を淡く切なく美しく描きあげた傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 父親の営む古道具屋に生まれ育った中学一年生の少女・麻子は
    一年違いの妹と、小学生になったばかりの妹がいる三姉妹の長女なのだけれど
    一歳違いの妹とはついつい比べてしまって自分は平凡だとばかり思っている──

    そんな麻子が大人になるまでの心の成長は、一歩一歩、一つ一つ
    ゆっくりと穏やかに吹く爽やかな風のように心地よく伝わってきます。

    中学、高校、大学、そして就職と
    4つのスコーレ(学び)のなかで麻子が得ていくものは....?

    "薄暗い穴倉のようなところから空を見上げている。
    ──中略──私の最初の記憶だ。"

    冒頭のここに麻子の本質が表れているような。
    古道具が好き、という生い立ちや家庭環境というのにも
    きっと影響があるでしょう。

    それでも麻子は麻子、自分らしくね。それでいいのよ...と呟いて
    靴屋さんで働く麻子には自分にもあったあの頃とも重なって
    ちょっぴり懐かしい気持ちにもなったりして。
    平凡ではありながら、気持ちの和む心に優しい物語でした。
    茅野さんはとっても素敵な人ね。^^

    おばあちゃんの教えがいいです。
    手伝いをしているのは私たち大人のほうであること。
    女の子のけんかはどなったり叫んだりした方が負け。
    家は古くても掃除はきっちりやっておくこと。
    朝起きた時に飲みたいお茶が決まっていればその日はいい一日になること....。
    凛としていて背筋が伸びます。

  • これは、ものすごく、よかった。
    ずっと家に積んでいた本の1冊ですが、まさかこんな掘り出し物が眠っていたなんて。いまだ余韻が残ってます。

    本書は、一人の少女の成長の軌跡を綴った物語です。
    行間に風を感じる軽やかで物腰のやわらかい文体。
    等身大の日々が丁寧に描かれ、押し付けのない距離感。
    読んでいて、ものすごく居心地がいいです。

    そして、それぞれのステージで語られる家族のこと、恋愛のこと、仕事のこと。
    どれもが重くなく、さらりとしてる。それでいて求心力があるから、胸を打つ。
    どんな風に表現すればこの質感を伝えられるのかわからないけど、今まで読んだ宮下さんのどの作風とも違ってました。まだ、ドキドキする・・・。

    どのステージもいいけれど、特にNo3とNo4はいい。
    原石が磨かれて光っていく様・・・というのは、なんて心地いいものなんでしょうね。
    家族の話も、恋愛の話も、仕事の話も、どれもこれもが本当にいい。とくに厳しくもブレない祖母やとびっきり大人な茅野さんがお気に入りです。

    心が荒んだらまた読み返そう。
    胸を爽やかな風が通り抜ける気持ちのいい読了感でした。おすすめです。

  • 評判を聞き、読んでみたくて買い、ずいぶん前から持っていた。
    やっと読めた一冊。

    三人姉妹の長女・麻子が主人公。
    中学生から大人になっていく麻子がとても丁寧に描かれている。
    自分のペースを理解しているところは
    いいようで過ごしにくい部分もあるのだなと思った。

    解説で北上氏がかいていたけれど
    わたしもNo.3の靴屋の話が一番好きだ。

    そして茅野さんがいい。
    出張中からはじまって、戻ってから。
    ノリがどこか不思議だ。
    一番印象的なのは”あの”食事の誘いだろうか。
    特別変わっているわけではないけれど
    多数ではない”自分らしさ”がいい。
    読み進めるうちにどんどん惹かれた。
    麻子とのペアはぴったりだ。
    お幸せに。

  • 一人の女性の成長を書いた作品。大きな展開があるわけでもなく、普通にある日常をかいてるだけなのに・・なぜか引き込まれる。
    描写がとても丁寧で、文章がすごくきれいだと感じた。
    読み終わった後、なんて言うんだろう・・心が澄み渡るような、そんな感じがした。

    麻子が送ってきた人生の一部分と、茅野さんの送ってきた人生の一部分とが輪っかになって繋がったと感じた瞬間がいいな~。そんな人と出会えるのは最高だと思う。

  • 読んでいて心がスッと落ち着くストーリーと文章でした。

    何年か前のセンター試験で出題されていたのをたまたま新聞で読んだのが、この本を知るきっかけでした。
    出題で使われていたのは、序盤の、七葉が皿を雨に濡らすシーンだったと思うのですが、その文章の美しさに惹きつけられて、ずっと読みたいと思い続けていました。皿が笑うという表現がすごく好きです。文章を目で追いながら、かび臭く湿った空気の中で、雨に濡れてふわっと艶やかな模様を浮き立たせる皿の様子が、それに魅せられる七葉と麻子の上気した頰が、見えるようでした。
    やっと手元に置いてじっくりと読むことができて、感無量です。

  • 活発で可愛らしい顔の妹、褒められるような容姿ではない(だからといって笑われるようなブサイクではない)主人公。

    妹のように思ったことを口に出せない、モノや人にたいしてこだわりを持って愛する能力に欠けていることを、妹が何が何でもお店の陶片を欲しいと握りしめている強さを目の当たりにして、コンプレックスに思う。

    宮下さんの作品は初めて読んだけど、すごく好感を持った。
    「平凡」の描き方が素晴らしい。
    平凡のツラをかぶった読者に媚を売るような不器用でもなく、みんなができることをできないということをウリにしているような浅ましさもなく、ここまで平凡な女性の平凡な成長を丹念に描き切っているのがとにかく素晴らしい。

    人生と真摯に向き合う主人公が愛おしい。

    不器用な人に同情的に頑張れって思う気持ちじゃなく、特段頑張れと声をかけられるような目だった欠点がない主人公だからこそ頑張ってほしいと思えた。

  • 社会人の女の人の話が読みたくて購入。
    自分の妹と比較して卑屈になって、中途半端に過ごしている麻子。妹と離れて自分らしさを見つけながら仕事を通して日々成長して…… ってこれあたし?!?!
    となってしまうくらい共感でした。

    社会人になってからの展開がおもしろくて、自分の知らない靴屋•海外出張の場面も新鮮。
    とくに一番感動できるところは麻子と彼とのつながりが発覚したところ。朝の満員電車でその場面を読んだ時には心がじわ〜…って熱くなってしまった(笑)
    その後、彼は麻子の家に行ってどんな反応したんだろう〜。続きがあれば読んで見たかったな。凄くいい本です。

  • スコーレとは、ギリシャ語で「遊び」や「学び」を意味するそうです。
    一人の女性が、学生・就職を経ながら、成長していく物語です。特に盛り上がりというものはありませんが、主人公にとっては大きな事柄ばかりで、全体的に瑞々しく、かつ生き生きと描かれているように感じました。
    どうしても一代記となると、毒づいたものが目立ちますが、この作品は明るく、前向きにさせてくれる要素を中心にしている印象があって、清々しい読後感がありました。
    それぞれの節目で出てくるコンプレックス・悩みがありながらも懸命に生きている姿に感銘を受けました。特に同性の方は、より響くのではないかと思います。
    側から見たら、地味なストーリーですが、ジワジワと心に響いた作品でした。

  • とてもよかった。解説にもかいてありましたが、女性には是非とも、いや、働く若者みんなに読んで欲しい一冊ですね。全体として読みやすい作品ですが、スコーレ3,4の働き出してからの話は秀逸で久々の一気読みでした。読後感も良く心地良い余韻に浸ることが出来ました。宮下さんの作品は二冊目ですが、また、別の作品も読みたいです。これはおすすめの作品です。

  • 骨董屋(道具屋?)さんの3人姉妹の長女、麻子が、4つのスコーレを経て成長していく物語。中学生時代のエピソードがなかなか頭に入ってこなくて出だしはにぶかったけど、槇とのエピソードからぐんぐん引き込まれていきました。
    淡い初恋のあっけない幕切れ。華やかで自由奔放な妹への劣等感と従兄への想い。なんとなく就職した先で仕事に目覚め、よき出会いを得て、花開いていく・・・。
    常にコンプレックスにさいなまれながらも、他人に迎合せず、多勢に流されず、自分の「これがいい」「これが好き」という感覚に正直に生きていく麻子の姿がとても美しかった。私も、好きだ、という気持ちを大切にして、その扉の先につながっていくいろいろなものを眺めていきたいなぁ、と思う。そして、人の「好き」をいいね、と受け入れて応援できるような、懐の広い人になりたい。

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著者プロフィール

宮下 奈都(みやした なつ)
1967年福井県生まれ。上智大学卒業。2004年、「静かな雨」で文學界新人賞に入選し、デビュー。日常に起こる感情の揺れを繊細で瑞々しい筆致で描きだす作品で知られる。『スコーレNO.4』が書店員から熱烈な支持を集め、注目を浴びる。代表作に、2016年本屋大賞、ブランチブックアワード2015大賞、「キノベス!2016」などを受賞した『羊と鋼の森』があり、2018年6月映画化。『静かな雨』が2020年新春映画化が決まり、2019年6月6日文庫化される。ほか、福井からトムラウシに移り住んでいた頃の日々を描いた『神さまたちの遊ぶ庭』や、福井での身辺雑記や本屋大賞受賞前後のエピソードなどを描いた『緑の庭で寝ころんで』がある。

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