奇想と微笑―太宰治傑作選 (光文社文庫)

著者 :
制作 : 森見 登美彦 
  • 光文社
3.70
  • (45)
  • (88)
  • (77)
  • (10)
  • (5)
本棚登録 : 1215
レビュー : 83
  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334746926

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 純文学の中で唯一触れることが多かった太宰治の作品集でしたので、これは迷わずにシュバッと手に取ることができました。
    それに加えて森見さんが、世間一般とは異なる太宰治の別の顔(暗い話ばかり書いてたわけじゃないんだよ、愉快傑作なものもあるんだよ、ほら見てみー、といったもの)を切り開きつつ親切に教えてくれてすこぶる楽しかったです。

    太宰治がもっと好きになれて、中学の時以来読んでなかった走れメロスがまた別の味で読めてよかったです。また読むべや。

  • 長らく積んであった、森見登美彦による太宰治傑作選。

    これまで太宰治は教科書の「走れメロス」と「人間失格」しか読んだことがなかった。読んだとは言っても、「人間失格」なんて本当に読んだかどうか思い出せなくて、一応読んでみて、端から端まで読み終わって、「そうそうそういう終わり方だった。うん、やっぱ前にも読んだなこれ」と思うくらい、要するに「読んだ」と宣言するのがはばかられるくらい、まるで身についていなかった。

    実はその「人間失格」の再読を、この本とほぼ平行して行った。そっちは森見登美彦とは無関係の、真面目な作品集だ。
    (もちろん森見登美彦が不真面目な仕事をしているという意味ではない)

    そして、主にこちらの傑作選によって、太宰治のイメージがずいぶんと変わり、ぐーんと好感が持てるようになった。

    森見登美彦が太宰治を好きなこと、つまり影響を受けているのであろうことは、「新釈 走れメロス」なんていうパロディ(?)の短編集を出しているので、一応分かっているつもりだった。
    でも! ここまでダイレクトに太宰治のスピリットを受け継いでいるとは、思いも寄らないことだった。
    編集後記に、うんうん、なるほど、うんうん、わかるわかる、と頷く。森見登美彦にしかできない選集だろうと思う。

    太宰治は陰気ではない。こんなにユーモアを持っていて、こんなに書くことを楽しんでいて、こんなにまっとうな人間だったのだ。たまに何だか露悪的すぎるだけだ。自殺してしまうなんて残念だ。

    そうして読み終わると、不思議なことに、これまでちっとも身に入らなかった「人間失格」も、すーっと染みこんできた。
    単に歳を重ねたせいかもしれないし、なにもかも森見登美彦の計略通りかもしれない。

  • 太宰に深く興味を持つようになったきっかけである傑作選です。もともと森見さんの小説と勘違いしてしまい購入したことがきっかけでした。人間失格と走れメロスしか読んだことのなかった私にとって、この傑作選におさめられている太宰のユーモアに富んだ作品たちを読むことができたのはとても幸いなことでした。

  • 大変面白かった。

  • 太宰のアンソロジー色んな観点からたっくさん出てるけど、はじめての人に何か一冊、と言われたらこの本をあげたいなあ。愉快だから。

    解説も笑っちゃた、佐渡とか。いいなあ。

  • 太宰作品の素晴らしさはもちろんのこと、森見さんがそれぞれの作品をひとつひとつ、大事にしていることで読者としてより愛着が湧いた。

  • 森見さんが選んだ太宰治の傑作の数々です。
    春休みの家族旅行中にお供にしていたのですが、面白くて、わーっと読めてしまいました。

    あっ こんな太宰もいたんだ!って発見があります。『斜陽』とか『人間失格』とかの暗い話よりも、私はこの傑作選に入ってる話のほうが親しみやすいので好みです。「初めての太宰」に良いかもしれないです(´^ω^`)

    『失敗園』『カチカチ山』『貨幣』『ロマネスク』『満願』『畜犬談』『親友交歓』『黄村先生言行録』などなど、大好きな話がたくさんできました。

    なにより、森見さんの編集後記が良いです。このひと太宰大好きなんだろうなあ、と。

  • 太宰のファンとして、この本ほどずるいものはない。こんなに面白いものだけの短篇集を一気に読むなんて、贅沢にも程がある。

    でも、私は森見ファンとしてこの本を読んだのです。決して再読なんかじゃない。

    結論から言うと、大好きな森見さんが、もっと大好きな太宰のことを、大好きということが、とてもとても嬉しくて楽しい本。太宰の良さ、太宰好きの森見さんの良さが相乗効果で半端無い!

    笑える笑える。おちゃめな太宰。自虐的な太宰。毒舌な太宰。ばかな太宰。もう全て切れ味抜群。エピソードではなく文章で、ここまで笑えることは本当に幸せだと思う。ありがとうございます。

    そして、改めて読み返してみて発見が多々ありました。ていうか自分忘れすぎ。
    まず一つ。森見さんの言うとおり、「走れメロス」は決して感動の友情ストーリーではない。そんな優等生ぶった読み方ではなくて、もっとリズミカルに、もっとひねくれて、ツッコミを入れながら楽しむものだなぁと。
    そして、「猿面冠者」のすごさ。何も感じなかった自分はどれだけ馬鹿なんだと思うばかり。太宰すごい。
    色々読み返してみようと思いました。

    面白すぎて感想がうまくまとまりませんが、編集後記にあるように「太宰治なんて、『走れメロス』と『生まれてきてすいません』の人でしょ?」っていう人に、ぜひ読んでほしい。
    太宰好きな人が太宰を好きなのは、欝だからじゃなくて、笑えるからなんだよ!巧いからなんだよ!あと、優しくて純粋で頑固だからなんだよ、私は。いや、欝好きの人もいるかもしれませんけれども。


    個人的に入れて欲しかった短編・・・
    「チャンス」「乞食学生」「美少女」「グッド・バイ」「おしゃれ童子」

  • 選者・筆者両氏に興味を持って購入。非常に面白かった。特に、擬人化作品が気に入った。『失敗園』の野菜たちの可愛さに始めからやられてしまった。
    オモチロイ太宰を堪能できる一冊である。森見ファンにとっては編集後記がまた楽しい。

  • 「失敗園」、「カチカチ山」から始まる並びで既に、「編集後記」での森見登美彦氏の意図が十分伝わるのではないかと思う。
    だが残念なことに、「森見登美彦氏だから」と手に取った人以外には「太宰治なんて、『走れメロス』と『生まれてきてすいません』の人でしょ?」
    のまま本に触れられないままなんじゃないかなぁと思うのです。

    太宰嫌いの人に対して「『お伽草子』すら読んでないのに何を言うか」、という批判があったことをどこかで聞いた覚えがあるのですが、
    この本の内容を見ると、同じ思いなのではないか?と思われました。

    納められている作品のいくつかは青空文庫にも納められている作品があるので、スマートフォンを持ち歩く人は、気にかかったタイトルをダウンロードして読んでみる事をお薦めします。

著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

太宰治の作品

ツイートする