- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334748531
感想・レビュー・書評
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明治初期の、お雇い外国人・ベルツを題材にした物語。
連作短編ですが、狂言回しは一人の少年。
その少年の13歳から23歳までの約10年を追いかけた、
当時の世俗をネタにしたミステリーとなっています。
さすがにベルツの性格などは後付けと思いますが、
江戸から明治へと移りゆく様子が垣間見えるのも、面白く。
ラスト、続きがあるような終わり方ですが、、
それが書かれることは永久にないのが、なんとも残念です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
各章のタイトルは著名ミステリのもじりということだったので、ちょっと調べてみました。
1.『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか? 』 アガサ・クリスティ
2.『九マイルは遠すぎる』 ハリイ・ケメルマン
3.『人形はなぜ殺される』 高木彬光
4.『白昼夢』 江戸川乱歩
5.『羊たちの沈黙』 トマス ハリス
1.と2.と5.は調べるまでもありませんでしたが、3.と4.は知らない作品でした。(4.はちょっと苦しいので間違っているかも)
昔、『エイリアン通り』という漫画(成田美名子 作)を読んだとき、章題が映画のもじりだと気がついて、躍起になって元ネタを調べたことを思い出しました。 -
葛城冬馬、十三歳。明治元年生まれの髷頭の少年は、東京大學医学部教授・ベルツ宅の給仕として働くことになった。古式ゆかしき日本と日本酒をこよなく愛する教授は、比類なき名探偵でもあった。米国人水夫殺害事件、活き人形が歩き出す快事……数々の難事件を、冬馬の調査をもとに鮮やかに解決してゆく。史実を絶妙に織り交ぜながら綴る、傑作ミステリー!
(2008年) -
3
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タイトルを見た時に、アガサ・クリスティへの
オマージュか?と思ったのですが、どうやら色んな作家さんの
有名な作品名をもじっただけのようです。でも面白い(^◇^;)
「なぜ絵版師(えはんし)に頼まなかったのか」
「九枚目は多すぎる」「人形はなぜ生かされる」
「紅葉夢(こうようむ)」「執事たちの沈黙」の5編を収録。
明治のお雇い外国人として東京帝大で医学を教えたベルツと、
その弟子となった葛城冬馬たちが遭遇する数々の事件を描いた
軽めな時代ミステリですね。
シリーズ化している他の作品のようなミステリを
連想してはいけません。
カバーイラストからもわかるように軽い内容なので
箸休めにちょうどいいと思います。 -
おもしろかった☆江戸時代から御一新があり、その直後の明治初期のお話。その時代の実在の人物がチラホラ出てきており、その史実もちょっと調べたりしてなかなか興味深い作品です☆キャラもなかなか魅力的な人物で主人公の冬馬はもちろん、大酒飲みのベルツ先生やコロコロ名前が変わる歌之氶さんも好きになりました☆表題の、なぜ絵版師に…が良かった!なんとなく、世にも奇妙な物語チックなとこが好きです。続編はないんでしょうね…作者さんは随分お若くして亡くなっていたのでびっくりしました。
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おじがいるのに天涯孤独にされてしまった主人公。
日本大好きな医学部教授の元に奉公する事に。
5話の連続短編で、小さかった主人公は
最後には二十歳過ぎた大学生に。
不思議な話であったり、医学に関係する話であったり。
最初の話は、地味な仕返し、とも言えます。
2話目はそこまでして持って帰って
植民地にしたかったのか、と。
3話目は落ちの頑張る気持ちは分かりますが
その後の事を考えると、大変なものがあるかと。
ちょっともやっとするのが4話目ですが
この時代を考えると、こうなる事も。
そして最後の5話目は…忠誠心というのは
すごいものだな、と。
そしてすべてに関連して、主人公の友人(?)は
結局きちんと長続きする職が持てたのでしょうか?
お金には困ってなさそうに生活しているので
あまり心配する必要はないかも?w -
明治時代、いいなぁ。実在の人物に重ねて物語を紡ぐなんて、すごく自由な発想。そんで、面白い。面白いよ。