ちみどろ砂絵くらやみ砂絵 (光文社文庫 つ 4-41 光文社時代小説文庫 なめくじ長屋捕物さわぎ)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (603ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334748661

作品紹介・あらすじ

江戸は神田の橋本町、貧乏長屋に住まう砂絵かきのセンセーを始めとしたおかしな面々が、わずかな礼金めあてに、奇妙奇天烈な謎を解く異色の捕物帳シリーズ!四季折々の江戸の風物を織り込み、大胆かつ巧緻な構成で展開する探偵噺は、時代小説のみならず本格ミステリーファンをも夢中にした傑作揃い。その名作が装いも新たに、ボリューム満点の二冊合本で刊行。

感想・レビュー・書評

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  • 非人という非常に低い立場だが、センセーを中心に
    協力し合って犯人を追いつめ、金をせしめる。
    まず、キャラクターがとても魅力的。なめくじ長屋の面々がそれぞれの持ち味を活かし、息の合ったコンビネーションを見せるシーンは心が躍る。
    そしてトリック、ロジックも超一級品。
    魅力的な謎はもちろん、who,how,why,どれも存分に楽しめる傑作群になっている。

    高評価の作品。
    『よろいの渡し』
    服をすり替え、描いた痣も消す。一石二鳥のトリック。

    『ろくろっ首』
    「首を切ることで、正気の男が狂人に殺されたように見せかける」という首切りのホワイが見事。

    『春暁八幡鐘』
    「風呂桶を盗んでくれ」という奇妙奇天烈な依頼。
    長屋のメンバーの盗みの手際もさることながら、風呂桶を盗ませた理由に納得。

    『いのしし屋敷』
    蓋が割れた鏡と、畳についた矩形の跡。
    これだけから論理的推理によって、犯人を特定するさまは圧巻。ロジック好きということもあり、かなり好きな作品。

    『天狗起こし』
    偽の解決を挟んだ後の、真の解決。
    時代を活かした驚愕のホワイ。

    『南蛮大魔術』
    まず、序盤に登場するホームズさながらの推理がとても鮮やか。
    そして最終的には月の(なわけないが)御殿に連れていかれ、何だったんだ...と思わされてからの、予想だにしない真相。トリッキーな構成も面白い、異色の作品。

    『春狂言役者づくし』
    とにかくミスディレククションが巧い。
    完全に盲点。

    『地口行燈』
    犯人によって完成するダイイングメッセージ。
    無筆の人間が書いた"文字"を消すことによって犯人も無筆であることが分かり、そして消された後には犯人の痣を示す赤い汚れが現れる。
    トリックでは本書一。

  • なめくじ長屋シリーズ。一冊で二冊分楽しめるお得な新装版です。
    時代物だけど、これは時代物が苦手な人にこそ読んでほしい作品かも。わりと、現代人に向けての注釈が多くて、読みやすいです。あえて外来語を当て字にしたりしてるのも面白いし。
    そしてなんといっても、これでもかってほどの本格ミステリ度が! 密室殺人あり、予告殺人あり、そして名探偵による謎解きもあって。ミステリファンは見逃しちゃ駄目な作品でした。
    お気に入りは「天狗起し」。まさかここまできっちりとした密室殺人ものが時代物にあるだなんて! トリックもさながら、動機部分にもなるほど、と唸らされます。「南蛮大魔術」も、かなりスケールの大きいトリックかと思いきや。まさかそんな理由が、という部分に驚かされました。

  • 梟書茶房で題名見ないで購入。

    江戸のミステリ。
    親しみがない言葉が多くて
    あんまり頭に入ってこなかった、、、

  • 一風変わった時代小説。ナメクジ長屋に住む砂絵芸人のセンセーを中心に其々独特の特技を持つ非人達が江戸の町に起る謎の事件を解決して行く短編シリーズの第1作。
    事件解決の動機には金が絡んでおり、この点は必殺シリーズと共通するアウトローの面白さがある。
    一時期テレビ化されたようだが記憶ない。

  • ん~~。奇怪な事件が起こって センセーがとんとん、と 解いて…
    あんまり 入り込めなかったなぁ~。

  • ◆ お風呂でミステリ ◆ 第十四回

    ・・・ 第十四回 「なめくじ長屋捕り物さわぎ」 ・・・

    捕物帖第三段は、都筑道夫の「なめくじ長屋捕り物さわぎ」シリーズです。
    “半七”に憧れ、人情話になってしまった捕物帖を、本格ミステリに引き戻したい、と本当にバリバリの本格派。
    大道を流してあるくおもらいさんたちを手下に、いつも柳の下で色砂を使って絵を描いて見せている大道絵描きのセンセーが、摩訶不思議な謎を合理的に解いて見せる、都筑道夫の代表作です。
    衆人環視のなか、大川の船のなかから一人消えてしまったのはなぜか?
    とか
    屋敷の広間で庭石に押し潰されて死んでいたのはなぜか、とか……。
    ただ、岡っ引きではないので、彼らは謎を解いたら金にするんですけどね。
    短編集が10?冊でてます。
    本格派のミステリが好きなら避けては通れない(笑)シリーズです。

    2017年09月12日

  • なんかちょっとおどろおどろしい所とか、どの位史実に忠実なのかわかんないけど、妙にリアリティのある日常描写とか、それでいて現代語の当て字なんかひょいと飛び出す所とか、随分前に書かれた本という感じがあんまりしないで意外と読めた。

  • 『よろいの渡し』
    強盗殺人事件の容疑者・長七が渡し舟の上から消えた。長七を追跡する岡っ引き3人が乗る舟の上で突然服を脱ぎ川を泳いだ女。騒ぎがおさまると消えていた長七。

    『』

  • 2冊分を1冊にして刊行するんだからすごいものだ。それが6冊もあるんだから。なめくじ長屋という大道芸というか、非人扱いされている人達が砂絵描きの“センセー”を中心に謎を解いていくもの。連作短編集。時代物をあまり読みつけないので分かりにくとこもあるけど、当時の文化とかにも触れてあって面白い。しかし輪姦されたり、つくづく女は下に見られてたなと思う。マメゾーが泣いてた非人の姉妹が惨殺されたやつなんか本当ひどい。退職刑事といい、この作者は長い短編連作が多いんだなぁ。

  • 魅力的に描かれる四季折々の江戸の風物に加え、トリックやロジックのキレが半端ない。初期の2冊の合本とボリューム満点なのも嬉しい。お気に入りは「「よろいの渡し」、「本所七不思議」、「春暁八幡鐘」、「天狗起し」、「地口行灯」かな。

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著者プロフィール

(つづき・みちお)1929-2003。東京出身。10 代から時代ものを発表していた読物雑誌の衰退に伴って海外ミステリ翻訳家に転向、『E
QMM(エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン)』日本版編集長を経て、1961年『やぶにらみの時計』を刊行、推理作家となる。トリッキーな趣向を凝らした作品の一方、ユーモラスなアクション小説、捕物帳を含む本格推理、ハードボイルド、SFミステリなど多彩な作風をもつ。永く無冠でいたが晩年に日本推理作家協会賞、日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2022年 『都筑道夫創訳ミステリ集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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