きまぐれ砂絵かげろう砂絵 (光文社文庫 つ 4-43 光文社時代小説文庫 なめくじ長屋捕物さわぎ)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (585ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334748944

作品紹介・あらすじ

「長屋の花見」「舟徳」「野ざらし」と落語に材をとった作品で構成した、さながら"都筑寄席"ともいえる『きまぐれ砂絵』、水に浸すと花開く酒中花、南蛮渡来の燈篭、かいやぐらの太刀など、珍奇な風物を巧みに織り込んだ、江戸情緒溢れる『かげろう砂絵』の二冊を合本。砂絵書きのセンセーを中心に貧乏長屋のおかしな連中が繰り広げる人気捕物帳シリーズ第三弾。連作時代本格推理。

感想・レビュー・書評

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  • カタカナ語の漢字表記や、カタカナ表記の人名など独特の表現の時代推理小説。
    著者のあとがきにもあるように、落語を題材に書かれた捕物帳だが主人公は岡っ引きでも同心でもなく、センセーと呼ばれる砂絵師が探偵役で手下は同じ長屋に住む、特異なアウトローたちという設定。

  • 2010年12月20日、初、並、帯無
    2015年8月1日伊勢BF

  • 『なめくじ長屋』シリーズの5、6巻の合本。全篇が落語ネタという『きまぐれ砂絵』の趣向が個人的にツボ。謎解きもさることながら四季折々の江戸の風物が愉しい。お気に入りは、次いで『』野ざらし」、「夢金」、「酒中花」かな。

  • シリーズ3巻。ついに折り返しだ。きまぐれ砂絵はこれまでの7編を破って6編しかない、と思ったら全部落語のタイトルだそうで、創刊の時は“なめくじ長屋とりもの落語”の副題だったそうだ。解説も面白かった。作者による“推理作家の出来るまで下巻”からの再録だそうだ。自伝的なものかしらん。本当、江戸時代のことを全く知らない世代に読ませるんだから大変だろう。当時より半世紀以上も経った今ならなおさら。しかし一家心中とか、お家のために死ぬとか、平和な江戸時代と言われているけど、結構世知辛いよな、と思う。家の評判を守るために娘を殺すって。でも今だった親族間殺人は多いんだもんな。虐待もあるし。人間のやることは一緒なのか。

  • 落語「擬宝珠」を喬太郎師の口演で聞いた。面白い噺なのにあまり聞いたことないなあ、と思ったら、師が「速記録」から掘り起こした噺とのこと。で、喬太郎師がその噺を知ったのが、この「きまぐれ砂絵」。
    落語を題材に捕物帳に。「『夢金』が夢でなかったら」「『野ざらし』の隣の女が幽霊でなかったら」「『船徳』の船宿の女将さんが殺された」とか、落語を知ってたらにやりとする設定。
    都筑道夫はほんと楽しませてくれる作家。まだ、「小説」が一般的な「娯楽」として存在していたころの職人的な作家だ。

  • 江戸時代の話なのにあまり時代物という感じがしない、と常々思っていたのですが、その理由として武士の心構えがどうこうとか、武士の本分がどうこうとか、このシリーズにはそういうものが出てこないからだと『深川あぶら堀』を読んで初めて気づきました。
    むしろ江戸の習俗なんかはたくさんちりばめられているのに。
    これまで読んだ時代物のほとんどが武士や大店を抱える町人のように建前だの誇りだのを気にする人たちだったからかな。でもいま出ている時代物のほとんどは武士を扱ったもので、つまり手に取るもの自体偏ってるといえば偏ってる。

    話は少し血腥いのが多いかな。どちらかといえば、落語に題材をとったきまぐれ砂絵の方が好きな話が多かったです。

    巻末の本人が語った砂絵シリーズのことも面白かった。

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著者プロフィール

(つづき・みちお)1929-2003。東京出身。10 代から時代ものを発表していた読物雑誌の衰退に伴って海外ミステリ翻訳家に転向、『E
QMM(エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン)』日本版編集長を経て、1961年『やぶにらみの時計』を刊行、推理作家となる。トリッキーな趣向を凝らした作品の一方、ユーモラスなアクション小説、捕物帳を含む本格推理、ハードボイルド、SFミステリなど多彩な作風をもつ。永く無冠でいたが晩年に日本推理作家協会賞、日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2022年 『都筑道夫創訳ミステリ集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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