ぼくは落ち着きがない (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 392
レビュー : 59
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334749538

作品紹介・あらすじ

両開きのドアを押して入るとカウンターがある。そこは西部劇の酒場…ではなく図書室だった。桜ヶ丘高校の図書部員・望美は今日も朝一番に部室へ行く。そこには不機嫌な頼子、柔道部と掛け持ちの幸治など様々な面々が揃っている。決して事件は起こらない。でも、高校生だからこその悩み、友情、そして恋-すべてが詰まった話題の不可資議学園小説が文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 学校特有の匂いやザワザワした空気感、友との会話の合間に感じる小さな不安感や充実感、、、。
    高校生の頃に自分が感じた、そうした感覚や感情がじわりと蘇ってきた。
    主人公の望美の心のつぶやきを辿っているうちに、自分も図書部の部室の横並びの席の片隅に座って、紅茶を飲んでいるような気持ちになった。

    地味めで、クラスでは浮きがちな子も多い図書部の部員の毎日には、それほど劇的なことは起こらない。でも、毎日、何かしら心にひっかかる出来事があり、それについて自分なりに何かを感じながら、過ごしている。心の中に自分の想いをしまい込む日もあれば、何かに衝き動かされるように行動することもある。それがむしろリアルな感じがして、一気に読み切ってしまった。

    『ジャージの二人』を読んだ時にも感じたのだが、長嶋有さんの作品は、「ちょうどよい距離感」のようなものがある気がする。俯瞰気味に物事を捉える人物が必ずいるせいだろうか。作品に入り込みすぎず、自分も何かを考えながら、読み進める。それが心地よい。

  • 本を読むということの(いろいろひっくるめてすごく簡単に要約すると)面白さが、ものすごくたくさん詰まっていて、書かれていて、読みながらずっと読んでいることにうれしくなる小説だった。

  • 30ウン年生きてきて一番しんどかった時期に読み、クラスでは目立たない子達がなんとなく居場所を持って背伸びしないで生きていく姿にまったりと救われました。
    特に「本はつまり、役に立つ!」の部分に電車の中で思わず号泣。
    自分の芯を持って生きている人は強い。

  • 「チェリーブラッサム」がサビの校歌にだけはツッコミたい。

  • ぐるぐると身近なことを、
    真剣と暇に任せてと致し方なく、
    のすべてて考え続けていた日々を、
    持っていた人はどのくらいいるのだろうか。

  • 「皆、誰かに期待なんかしないで、皆、勝手に生きててよ。」

    高校の、図書部のおはなし。

    タイトルの「ぼくは落ち着きがない」は、むかし図書部にいた先生が書く、次回作のタイトル。
    おそらく、図書室につながる両開きのドア(西部劇なんかにあるやつ)を擬人化して「ぼく」としているのではないだろうか。
    私は、作中の先生が書いた同タイトルの小説を読みたい、と思ったのだけど、これを読み終わることでその願いはかなってるのか、なんて厨二みたいなこと考えました。

    青春小説特有のかる~い会話劇が私はもんのすごく苦手なんだけど
    長嶋先生はやはりセンスがあります。
    滑り知らずというわけではないけれど薄ら寒くもない、あーわかるわかる、があるから安心して読めるんだ。
    雑多に登場人物が出てきて
    思い思いしゃべって
    ときどき気になる人もいて
    事件もことごとく地味、なんだけど、それがいい。
    高校生の自分をおもいださせてくれるのが、青春小説の醍醐味かも。

  • これから世界に向かってノックしようとしてる子たちのテリトリーに、ずかずかと踏み込む先生たち。
    ノックしてないし。無神経である。
    そこで彼らがどう対抗するかと思えば、「ありったけのゴミを持ち寄る」
    腹いせと実用性を兼ねた素晴らしいアイデア。

    一人じゃ大した量にならなくても、みんなで集めればゴミの山に…。

  • ちょっとここで純文学に行くか?でもちょっと重いなと思って手にとったのがこれ。図書館大好きな高校生の青春(?)小説、若干純文学。

    図書部員の中山望美は、毎日図書館の裏の図書部の部室に入り浸っていた。そこでは高校のマイナー部活の例に漏れず、部室でとりとめのない話あり、夢を語ることあり、自作の小説ありの日常が繰り広げられている。

    ということで、日常系小説とでもいうか、小さな事件が起こる普通の日々を、望美の感情とともにダラダラと綴られている。「〇〇じゃないか、とは言わなかった」なんていう、普通の小説に慣れている読者にとっては、何だよう、なにもないなら書かなくて良いようというような表現が最初から最後まで続くため、苦痛かもしれない。

    ただ、ある程度生々しい高校生の日常を楽しみながら読める人にとっては、非常にフレッシュな感覚で読めるのではないかと思う。個人的には面白かったしね。

    親友が宣言して登校拒否になったり、司書が小説家デビューしたりと、日常的にはやや大きめの事件も起こるが、それらも淡々と流れていく。ページを繰った途端に「〇〇が没になったのはもう2週間前の話だ」などと時間がすっ飛んだりする。

    今どきの小説としては、こういう特になんでもないことを、純文学のようにこねくり回した表現もなくダラダラと綴るというのは普通なのかもしれないが、頭が古いので新鮮に読めた。

  • 図書室にある図書部で起こる事件のみを描いています。
    主人公の望美は女子高校生らしさが全くないのですが、部員の観察者として優れていて、日常のちょっとしたやり取りが楽しい。
    何故ここでという所で終わっているので、ラストでびっくりする。

  • どこかで誰かがこの本を読んで「なるほど、本は役に立つなあ」と思っている瞬間が存在するなら、それだけで嬉しいな

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著者プロフィール

長嶋有(ながしま・ゆう)
一九七二年生まれ。二〇〇一年「サイドカーに犬」で文學界新人賞を受賞しデビュー。二〇〇二年「猛スピードで母は」で芥川賞、二〇〇七年『夕子ちゃんの近道』で大江健三郎賞、二〇一六年『三の隣は五号室』で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2019年 『掌篇歳時記 春夏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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