スナーク狩り (光文社文庫プレミアム)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 1363
レビュー : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334749705

作品紹介・あらすじ

その夜-。関沼慶子は散弾銃を抱え、かつて恋人だった男の披露宴会場に向かっていた。すべてを終わらせるために。一方、釣具店勤務の織口邦男は、客の慶子が銃を持っていることを知り、ある計画を思いついていた。今晩じゅうに銃を奪い、「人に言えぬ目的」を果たすために。いくつもの運命が一夜の高速道路を疾走する。人間の本性を抉るノンストップ・サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • 先がどうなるのか気になって一気読みでした。偶然が重なったのか、はたまた運命だったのか、本当にいろいろな人の人生が一晩で変わってしまったと思います。加害者が本当に反省しているのか、罪を償う気持ちがあるのか、そしてそういう気持ちがあったら被害者遺族は加害者を赦せるのか。答えは出ないけれど考えてしまいます。そして、この作品を読んで一番に思ったことは、修治は織口のことを追いかけていかなければ罪を犯さずにすんだのに、と。彼が父親のように慕っていた織口を放っておけなかったのかもしれませんが、状況が犯罪をさそってしまうこともあるのではないかと。 何だか救われない気持ちです。 ただ、慎介という男には腹が立ったので、そのまま勘違いした人生を送ることにはならず、少し溜飲が下がった気持ちです。

  • 自業自得という言葉がある。
    自分がした悪い事の報いを自分の身に受けること…という意味だ。
    何の罪もない人間の命を、自分のくだらない欲望の邪魔になるからといとも簡単に奪うことができる人間。
    そんな人間にふさわしい最期だったのでは?と思う。
    第三者は、誰が聞いても納得するような「正義」というものをふりかざす。
    裁判などでよく耳にする「更生の余地がないとは言えない」
    更生する可能性がゼロでない限り、そのあるかどうかもわからない可能性を信じるということだろう。
    何らかの事情があってやむなく他者の命を奪う人もいるだろう。
    けれど、自分勝手な言い分で平然と命を奪うような人間が本当に更生できると思っているのだろうか?
    日本の刑務所は更生施設ではない。
    建前では更生や社会に適応できるように働きかけをするために施設なのだろうが、実際は罪を犯した人間を社会から一時的に隔離するだけのような気がする。
    罪もない人を殺しておいて「反省しています」と言うだけで罪が軽くなるようなことがあってはならないと思う。
    織口も、関沼慶子も、佐倉も、自分の命を賭けている。
    安全地帯にいては出来ない事をやろうとしている。
    法律的には許されないことに違いないが、その心情は理解できる。
    この物語はいろいろなものを投げかけてくる。
    共感も、怒りも、悔しさも、後悔も…共有できるものがたくさん詰まっていた。
    そして、最後の付記にあったこと。
    罰せられるべき人間がしっかりと見合った罪で罰せられること。
    本当に大切なことをそれなのだと思う。
    死んでしまった人間はもう何も語ることができない。
    だからこそ余計に、生きている人間だけが有利になるようなことは慎むべきだと。
    こんなことを思うのは偽善だろうか。

    ずいぶんと昔に書かれた物語だ。
    そのことをすっかり忘れていた。
    警察に慶子の車が発見されたことを何故佐倉に知らせないのか。
    不自然に思い、そして気づいた。
    この物語が書かれた当時は携帯電話などなかったのだと。
    機器の進化は小説にも影響を及ぼしている…とあらためて感じた出来事だった。

  • なぜか母さんから送られてきた荷物の中に潜り込まれていた本。ちょwww小説とか俺明治文豪と森見登美彦しか読まねーのにwwwいらねーwwww宮部みゆきとかブレイブストーリーの印象しかねーwwって思いながらも割と暇だったのと、学術書的なものから離れたかったので読んでみた。
    ・・・
    意外に面白かった悔しいwwwなんか最後はハッピーエンドになるんだろうなーはいはいワロスワロス・・・えっ

    って感じで終わったったww気になるやつは読めwwうぇうぇ

    92年に出版されたらしいが所々に時代を感じさせる。まず、携帯電話がない。あれば一気に解決する感じなのに。テレフォンボックス、電話帳、時刻表もうなんか懐かしいもののオンパレードwww技術の発展はまさに日進月歩ですな。

    なんでもいいけど小説と同じくらいの早さで経済学書も読めるようにならないかなーと思った23の冬

  • 何度目かの読了。濃くてのめり込む。何度でも。

  • 【あらすじ】
    その夜―。関沼慶子は散弾銃を抱え、かつて恋人だった男の披露宴会場に向かっていた。すべてを終わらせるために。一方、釣具店勤務の織口邦男は、客の慶子が銃を持っていることを知り、ある計画を思いついていた。今晩じゅうに銃を奪い、「人に言えぬ目的」を果たすために。いくつもの運命が一夜の高速道路を疾走する。人間の本性を抉るノンストップ・サスペンス。

    【感想】

  • 犯罪あるいは詐欺、だまし討ちにあった被害者や被害者遺族は黙って法の裁きを受け入れることができるのか。
    法の裁きは万全で、彼らが納得することができるのか。あるいは、そもそも加害者が反省していようとしていなかろうと、被害者や被害者遺族は黙って事実を受け入れるしかないのだろうか。

    普通の人であった被害者やその家族が、犯罪者に対する復讐を行うと決意したその時から、彼らもまた怪物となってしまうと宮部みゆきは展開していきます。

    しかも、ルイス・キャロルの『スナーク狩り』を引用して、怪物が怪物を仕留めた時の展開まで持っていっています。

    結局、犯罪は不幸しか招かないという悲しい展開ではあります。

    ところで、本作品では多少テクニックに走りすぎているような気もして、展開が分かりやすいというか、ひっくり返してまたひっくり返して、最後はお決まりにひっくりかえすといったお仕事小説のような感じが少しした。著者にとったらそんなことは絶対にない!ということなんだろうけど。

  • 記録

    私刑の気持ちよく分かる。
    それをあたしは悪いことだとは思えないな
    と改めてこの本を読んで思った。
    怪物は怪物のままだ。
    結局良い人が死んで残された人も苦しんで、
    でも近くに1人でも理解者がいれば
    気持ちを吐き出せる人がいれば
    違うのかなぁ。
    慶子も範子も修治も神谷親子もみんな
    幸せになってほしい。

  • 時間があれば。

  • 一日の間のめまぐるしい出来事を描く小説で、一気に読んでしまった。
    関沼慶子は、競技用散弾銃を持ってかっての恋人の結婚式に現れる。だが、先に恋人の妹国分範子と再会してしまい、計画が崩れてしまう。
    一方、仕事を通して知り合った緒口邦男は、別の復習のため、計画を立てる。それに気付いた佐倉修治。
    様々な人々がストーリーに絡んできてハイスピードで話は展開していく。

  •  デビューから6年目の1992年、まだまだ初期の作品。

     比較的初期の作品を少しまとめて読んで思っていたことですが、デビューからしばらくの間、宮部みゆきの「書きたい欲求」って本当にすごい熱量です。
     それも、ただ書きたい、というのではなく、「こんな語り口で」、「こんな舞台で」、「こんなトリックで」、「こんな登場人物で」、「名作のあの作品みたいな作品を」なんて具体的な欲求です。シリーズ化すればいいのに、と思うほど魅力的な舞台や語り口――例えば、引退した警察犬が語り手だとか――であっても、だいたいその一作で終わりなのは、宮部みゆきにとって、もっと他に山ほど書きたい形の作品があるからなんでしょう。

     この作品の「書きたい欲求」は巻末の解説で言及されています。
    『銃を撃つシーンがあって、車で走るシーンがあって、チェイスみたいなシーンがある、ロードノベル的な、ハヤカワのポケミスに入っているようなものを一つ書きたいという動機しかなかったんです、最初はね。』だそうです。

     出来上がった作品は、「あれよあれよという間に、複数の登場人物が金沢に向かって夜の高速道路をひた走りはじめる」もので、宮部みゆきにしては珍しい(ですよね?)緊迫感や疾走感のあるものとなりました。

     でも、慣れないことをしたためか、アラが多すぎます。本当に穴だらけです。

     そもそも佐倉修治はただの職場の同僚の復讐をどうしてそんなに必死になって止めようとするのか、という作品全体のリアリティにかかわる部分から始まって、若くて美人でお金持ちの独身女性が、一度行っただけの釣具店の店員に簡単に自宅を教えてしまうとか、修治はかなり酒を飲んだ状態で車を運転しているはず、というような、今現在の価値観や常識と25年前のそれとの違いや、ハイウェイラジオを聴くつもりでラジオを付けたのに周波数を合わせてない(おそらく、宮部みゆきがハイウェイラジオのことをよく理解していないんだろうと思います。)といった作者の知識・取材不足だとか、釣具店の社用車に「イベントに来た客が、キーをつけたままドアロックしてしまう――というアクシデントがままあるので、フィッシャーマンズ・クラブの車の物入れには、中古車ディーラーの使う、万能キーのようなものが入れられている。もちろん、使い方も指導されている」といったご都合主義だとか…。一つ一つ取り上げていったらキリがないほどのアラがあります。

     あまりに多すぎて、作品に入り込むことがどうしてもできませんでした。

     加害者(殺人をした人。通常ほぼ主役に近いはずですが、本作では端役です)は「長い長い殺人」「模倣犯」「理由」に出てくるようなサイコパスで、織口は無事復讐を遂げた割にラストに救いがないことと合わせて、「試作品を読まされた」感があります。
     正直、作者の「書きたい」ものと読者の「読みたい」もののズレがかなり大きい作品だと思います。あまりお勧めできません…

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プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。
1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。
大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。
『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。

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