- Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334751012
作品紹介・あらすじ
とつぜん引退を宣言したリア王は、誰が王国継承にふさわしいか、娘たちの愛情をテストする。しかし結果はすべて、王の希望を打ち砕くものだった。最愛の三女コーディリアにまで裏切られたと思い込んだ王は、疑心暗鬼の果てに、心を深く病み、荒野をさまよう姿となる。
感想・レビュー・書評
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シェイクスピアの言わずとも知れた悲劇の名作。良いテンポとユーモアのある表現が心地良い。
コアメッセージとしては「権力は持ち続けろ」「だれかに依存する状況は絶対に避けろ」というところか。
リア王は物分かりの良い風を装って、気前よく娘たちに自らの権力を分け与えた。自分と自分の兵隊を養う財産も放棄して、娘に交代で面倒を見てもらう悠々自適な老後を夢見たのだ。しかし娘たちは養い続けなければならない父親に嫌気が差して、彼を追い出してしまう。リア王は裏切られたショックに発狂し、廃人となってしまう。
あらすじとして悲劇だが、トリガーは王の愚かさにある。例え自分が王であり、頼るのが例え実の娘でも、ずっと依存し続けることはできないのだ。マキャベリは恐れによって人を統治しろと言った。「恩」などまたたくまに風化するものだと。その通りだと思う。権力は手放したら返ってくることはないのだ。
これが400年前に書かれたものだというのがまた面白い。人間の愚かさとは普遍的で不変的なものなのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
勧善懲悪のハッピーエンドだった原案を、シェイクスピアはこの滑稽なほどの悲劇に改変した。
本当の悲劇に「悪役」はいない。「悪役」はフィクションの中に閉じ込められた存在だが、劇中で猛威を振るう「この世の不条理」は、現実世界との向き合い方に暗い覚悟を迫ってくる。 -
初めてきちんと読んでみた。思っていたよりもドロドロ。ある一国の王家の没落にまつわる悲劇。2人の姉娘がとにかく性悪だなぁ…コーディリアとなぜここまで違うのか…。最後はまだ救いがありそうだったけど悲劇というだけあって後味は悪い。劇で見てみたい。
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初めての?古典。救いがないが、老害にならないよう、なのか権力は全部渡すな、なのか…
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子ども向けに書かれたのを読んだきりだったが、こんなに壮絶な内容だったとは音読するのは憚られるセリフの数々…よくまぁ、これほど悪口雑言、罵詈讒謗の限りを尽くせたもんだ
おおもとの物語はハッピーエンドらしい…なんで変えたんだろう -
いつも思うのだが、昔の人は言葉だけで人を信じすぎている。と思えば忠臣の忠告は聞く耳持たずなのは、どういうことなのか。道化がとても良い味出している。
リア王症候群という言葉があるらしく、昔の上司を思い出した。文明は確実に進歩したけれど、人間の本質は大昔から何も変わっていないんだな。
4大悲劇のうち3つまで読了。『シェイクスピア物語』で有名な話の粗筋も掴めたので、勢いに乗ってシェイクスピア読破していこう。 -
結局全員いなくなる…道化の部分は原文で読んだら韻を踏んでていいんだろうなー。
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原文のシェイクスピア独特のリズム感が伝わってくる。
NTL(映画)の予習のために読んだけど、これが英語で俳優がセリフを喋ったらどんな感じになるんだろうと想像しながら読んで楽しかった。 -
やはり劇として、それもできるなら原語で、観たいなと思わせられた。文章でも十分に面白かったけれど、ここに音としての韻が加わればさらに上の次元に昇華するような。
原典を読みたいがために語学の道に進む、その気持ちが一瞬でも理解できたように感じた。