鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社
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本棚登録 : 505
レビュー : 61
  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751166

作品紹介・あらすじ

「正気の沙汰とは思えない奇妙きてれつな出来事、グロテスクな人物、爆発する哄笑、瑣末な細部への執拗なこだわりと幻想的ヴィジョンのごったまぜ」(解説より)。増殖する妄想と虚言の世界を新しい感覚で訳出した、ゴーゴリの代表作「鼻」、「外套」、「査察官」の3篇。

感想・レビュー・書評

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  • 昔、岩波文庫で読んだのですが、あの時は「ダメだ、こりゃ」と思ったのです。だが、今回、新訳で読むと「まったく違う」。不思議だなぁと思った。生き生きしている。テンポがいい。査察官は、とくに笑えた。古典文学で、ここまで笑えたのは初めてだと思う。というのも落語風に翻訳していて、リズムがよく少し軽い感じで話しが展開していくので、古典という違和感を感じることなく読めたのが良かったのかもしれない。おもしろいですよ。コメディであり風刺なのかな。でも、当時のロシアがよくわかんないから、何となく風刺しているという風?。

  • 江戸落語の会話体で訳されているので「ゴーゴリ feat. 浦雅春, 落語 MIX」といった趣。たしかに落語文体は似合っているのだけれど、笑うことをあらかじめ前提に置かれたようでちょっと不自由を感じた。岩波とか講談社の文庫から先に読めばよかったかな。

    人が役割としてのみ機能しているところ、笑えるんだけどいい気持ちにはなれないところがソローキンのご先祖っぽい。解説によると『ディカーニカ近郷夜話』に登場する人物はぴょんぴょん飛び跳ねるらしいし、ロシア文学の伝統の一派を開いた人なんだろうか。

    ゴーゴリ自身がかなり奇妙な人なのがよくわかる解説は読んでよかった。ほかの本も相当変なんだろうなと期待が高まった。

  • 以前別の訳で読んで理解できなかったゴーゴリですが、こちらの訳では思い切って落語風になっているために、無闇に深い意味を求めずただの滑稽話として読めて良かったと思います。正直、私には登場人物たちがかわいそうでたまらず全く笑えませんでしたが、馬鹿馬鹿しいシュールなギャグだと言われれば、まあそうかもしれないと腑には落ちました。そういう物語に面白みがあるとして支持されているのは、理解できます。ただ個人的には作者の真剣な心の中身が開示される物語の方が好きなのと、ギャグならギャグで、人が不幸になるのを見て笑うタイプのギャグはどうも趣味じゃないので、評価は前回と同じ星2つとさせていただきました。

  • 「鼻」「外套」と戯曲「査察官」の三編入り。
    ゴーゴリ初めて読んだんだけど、声に出して笑ってしまう。ザ・ロシアのユーモアという感じ。
    「鼻」は飛びきり明るいダリといった感じの映像が思い浮かぶ。ロシアの文学って極端だよなぁ。

  • おもろい!
    落語調の文体で翻訳した訳者に座布団10枚!!

  • 恥ずかしながら名前は知っているがいつの時代の人も分かっていない。ただポップで、ドフトエフスキーが「我々は皆ゴーゴリの『外套』から生まれ出でたのだ」が気になったのと、『鼻』がどんな話なのか異常に気になったので、がちがちの訳の岩波文庫でなく、なんとなくライトな訳本のイメージのある光文社版を購入して読んでみた。
    一言で言えばなんとも不思議な世界。決してすごくこった話でもないし、派手でもない。それなのになんだろうこの読後感。『鼻』にいたっては何ともいえず笑えてくる。しかも結末としてなんともすっきりしない。パンの中から出てきた鼻が服着て歩いて違和感がない。くすくす笑えるのになんだかぞっとするそんな作品だった。
    『外套』に関しても、主人公の何とも言えない感情の浮き沈み、最後は幽霊と化すあたりまで含めてなんだかすごい。深くは理解できないが、圧倒的な存在感を感じる。
    『査察官』はどたばた勘違い劇で、特別上手なトリックがある訳でもないのにおもしろい。単純で面白いのか。きっと本人たちの真剣さが笑えるのだ。そしてこれは最後の場面がといかく秀逸。なんとも言えない間と静かさに笑いがこみあげてくる。言い方が的確かどうか分からないが、ちびまる子ちゃんの「がーん」という場面を想像してします。
    肩をはらず楽しい読書ができた。次はプーチキンを読んで、いよいよドフトエフスキーかトルストイだな。

  • 『鼻』がエキセントリックでおもしろかった。
    ナンセンスでわけがわからないんだけど、そこが好き。
    普段は強引なストーリー展開の小説はあまり好きではないけど、これは「なんでそうなるの?」とか、「これはどういう意味?」とか、細かいことは考えずに読んだせいか素直に楽しめた。

    『査察官』は本当は博打好きで怠け者の下級役人が、都会から来た査察官になりすまして田舎の権力者たちをだます話。
    嘘がだんだんとエスカレートし、しまいには大風呂敷を広げてしまうという展開、また単純な人々が疑いもなくそれを信じ込んでしまうところは、落語にそっくり。
    日本人にも親しみやすい話だな、と思った。

    話の長さ的にもとっつきやすく感じられたので、「ロシア文学」と聞くと、「長い・暗い・難しい」というイメージのある人にもだまされたと思って読んでみてもらいたい作品。

  • ロシアが産んだ新感覚な笑いのエンターテイナー作家、ニコライ・ワシーリエヴィッチ・ゴーゴリの代表作3本を落語調で翻訳。

    やっぱり「鼻」は何度読んでも訳が分からない。でも、クセになるおもしろさ。巻末解説の「4次元的創造力」という言葉に納得。「鼻」のあまりのシュールさに慣れてしまうと、続く「外套」、「査察官」の世界観が当たり前すぎて、物足りなくなる。

    よって、ゴーゴリ初体験の方は「鼻」を後回しにして読むべし。

  • 岩波文庫『外套・鼻』を積読状態にしていた折に、
    古典新訳文庫で新訳が出てたので買ってみたら、
    ゴーゴリが落語調に面白く訳されていたので、
    すぐに読み終わってしまった。
    落語の語り口がゴーゴリと相性がよく、
    無理のない自然な訳文になっていて、非常に読みやすかった。
    こういう面白い翻訳の試みは積極的にやってほしいと思うけど、
    同じく古典新訳文庫の『歎異抄』の関西弁の方は失敗だと思います。

  • 訳者の訳がおもしろい。
    ロシアの文化、地理、歴史について浅学のため
    理解に苦しむ箇所も多々あったけど、
    こう、風刺的でかつユーモアがあり短編なので結構好きなタイプでした。

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