ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫)

制作 : Thomas Mann  岸 美光 
  • 光文社
3.31
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本棚登録 : 221
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751241

作品紹介・あらすじ

高名な老作家グスタフ・アッシェンバッハは、ミュンヘンからヴェネツィアへと旅立つ。美しくも豪壮なリド島のホテルに滞在するうち、ポーランド人の家族に出会ったアッシェンバッハは、一家の美しい少年タッジオにつよく惹かれていく。おりしも当地にはコレラの嵐が吹き荒れて…。

感想・レビュー・書評

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  • うーん、この訳は少々いただけん。
    読むのに骨が折れるとは、新訳を選んだ意味が無い。
    まぁ内容も必ずしも現代性を持ち併せていないというか、この作品を遥かに超えた現実があるからなぁ、、、
    しかしヴィスコンティは凄いな、映画が原作を完全に超えた作品ってなかなか無いですよ、異様な映画で必見の一作かと。

  • 濃厚な死の気配。
    老作家、アッシェンバッハを魅了して止まなかった青白い顔をした美少年タッジオ。彼は、性別や生死をも超越したような存在に思えた。

  • 劇的で美しくて破滅的で準古典ならではの明快さ。題材には時代を感じるけどこの美しさは普遍だと思う。ってか個人的にこういうお話は大好き。
    新訳読みやすかった!でもなんとなく味がなくてさっぱりした感じ。話はよく分かったから重厚な古い翻訳で読んでみたい。

  • トーマス・マンの代表的中編のひとつ。
    ヴィスコンティの映画でも有名。映画はテレビでちらっと見たことがある。

    内容は、よく知られているとおり、確固とした名声を築いた初老の小説家が、避暑地のヴェニスで美少年に魅せられるというもの。
    20世紀を代表する大小説家であるトーマス・マンが、堅実で緻密な描写で、一人の芸術家の破滅を描いた作品。

    おそらく傑作なのだろうが、個人的にはあまり面白くなかった。読んでも読まなくてもどうでもいいと思った本。
    ドイツのくたびれたインテリおやじが恋する相手が美少年ではなくて美少女だったら、もう少し関心がわいたかもしれないが。

    それに翻訳がどうも、イマイチなような気がする。

    この光文社古典新訳文庫は、世界の名作といわれている作品を、新しい飜訳で紹介しようという画期的な企画で(いま、息をしている言葉で、もういちど古典を!)、ラインナップも飜訳の出来映えも素晴らしいの一言。
    できればこの文庫で出る本は全部読んでみたいと思っているのだが、飜訳にはじめて不満を感じた。どこが、とははっきりいえないのだが。

    そういえば、昔この作品は読んだはずなのだが、内容はすっかり忘れていた。昔もやっぱり退屈だなあと思いなが読んだんだろうか。それなら2度ムダな時間を使ったことになるなと思いながら持っている岩波文庫を見てみたら、20年以上前に一度読んでいることが判明。
    しかも、アンダーラインなんか引いていて、けっこう感動した気配がある。

    そうだったのか。
    しかし、いったい何に感動したんだろう。
    むかしは美少年方面に関心があったんだろうか。

    チェックしている部分を読んでみると、どうやらその方面ではなくて、主人公のストイックな姿勢に関心を持ったようだ。その部分を読んでみると、なぜ新しい飜訳に不満を持ったのかわかった。

    昔読んだ岩波文庫版。訳者は実吉捷郎。
    この部分は、トーマス・マンの作品中でも有名な部分。

    アッシェンバッハは一度、あまりめだたぬ個所で、現存するほとんどすべての偉大なものは、一つの「にもかかわらず」として現存し、憂患と苦悩、貧困、孤独、肉体の弱味、悪徳、情熱、そのほか無数の障害にもかかわらず成就したものだ、と端的に言明したことがある。(p18)

    新しい飜訳では、

    アッシェンバッハはかつておよそ目立たない箇所で、現存するほとんど全ての偉大なものは「にもかかわらず」として存在する、悩みや苦痛、貧困、孤独、病弱、悪徳、情熱、そして何千もの障害にもかかわらず成立したのだと、ダイレクトに語ったことがあった。(p21)

    ほとんど同じような文章。
    ただ、新訳版は、最後に「ダイレクト」なんてカタカナを使ったせいで、文章の格調が台無しになっている。まるで博多の森を「レベスタ」といってしまったときのようなガックリ感が漂う。
    どうやらそういうセンスのなさと、この作品全体を流れる高い格調と美的な緊迫感があっていないようだ。

    あるいは、

    岩波文庫版

    一体世の中に、弱さのもつ壮烈以外に、壮烈というものがあるだろうか
    (p19-20)

    新訳版

    そもそも弱さのヒロイズムの他にどんなヒロイズムがあるのか
    (p23)

    「弱さのもつ壮烈」というとなんとなく伝わってくるものがあるが、「弱さのヒロイズム」となると、なんのことやらさっぱり。
    違いはカタカナ使用の有無だけではないようで、たとえば、

    岩波文庫版

    孤独でだまりがちな者のする観察や、出会う事件は、社交的な者のそれらよりも、もうろうとしていると同時に痛切であり、かれの思想はいっそうおもくるしく、いっそう奇妙で、その上かならず一抹の哀愁を帯びているものだ
    (p39)

    新訳版

    孤独と沈黙の人が行う観察や、その人が出会う出来事は、仲間の多い人の観察や出来事よりも曖昧であり、同日に切実でもある。そういう人の考えはより深刻で、変わっていて、どこかに悲哀の影がさしている
    (p48)

    前者は、おおそうなのかと思わず頷いてしまいそうな名文句、後者はたんなる叙述にすぎない。
    どこでそういう違いが出てくるのか、その秘密はよくわからないが、岩波文庫版では、漢字とかなの選択に一語一語こだわっていることはうかがえる。
    こう書いていて、実吉訳ならばもう一度読んでみようという気にはなってくるな。

  • この翻訳で読むのは初めて。老いた文学者を殺す──水の都、熟し過ぎた苺、コレラ、何かの化身であるかのような美少年。おぞましい。図書館本。74

  • 新訳で読んでみる

  • 生きた人間であるのに、まるで美術品のようで生の匂いのしないタッジオ。
    アッシェンバッハが、そんな彼に心惹かれ、引き込まれるように死に沈んでいく。
    不謹慎かもしれないが、それにこそ美しさを感じずにはいられなかった。

  • 老アッシェンバッハの、最初で最後の熱い恋。

    ヴェネツィアは境界、ゴンドラは渡し船、タッジオは彼を導く天使あるいは死神だったんじゃ

  • 重く淀んだ水、美しい少年、熟れたイチゴ。


    修飾や比喩の多い表現がちょっと苦手だった。

  • 【本の内容】
    高名な老作家グスタフ・アッシェンバッハは、ミュンヘンからヴェネツィアへと旅立つ。

    美しくも豪壮なリド島のホテルに滞在するうち、ポーランド人の家族に出会ったアッシェンバッハは、一家の美しい少年タッジオにつよく惹かれていく。

    おりしも当地にはコレラの嵐が吹き荒れて…。

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著者プロフィール

【著者】トーマス・マン(Thomas Mann)1875年6月6日北ドイツのリューベクに生まれる。1894年ミュンヒェンに移り、1933年まで定住。1929年にはノーベル文学賞を授けられる。1933年国外講演旅行に出たまま帰国せず、スイスのチューリヒに居を構える。1936年亡命を宣言するとともに国籍を剥奪されたマンは38年アメリカに移る。戦後はふたたびヨーロッパ旅行を試みたが、1952年ふたたびチューリヒ近郊に定住、55年8月12日同地の病院で死去する。

「2016年 『トーマス・マン日記 1918-1921』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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