武器よさらば(上) (光文社古典新訳文庫 Aヘ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751340

作品紹介・あらすじ

第一次世界大戦の北イタリア戦線。負傷兵運搬の任務に志願したアメリカの青年フレデリック・ヘンリーは、看護婦のキャサリン・バークリと出会う。初めは遊びのつもりだったフレデリック。しかし負傷して送られた病院で彼女と再会、二人は次第に深く愛し合っていくのだった…。

感想・レビュー・書評

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  • 「君は僕のいい子だ」「あたしはほんとにあなたの子」男性からみた女性の理想像を描写した純愛小説。一方、男主人公が被弾し戦線離脱した時代背景としてもちろん戦時下の小説である。この純愛と戦争の相矛盾するこの作品の独創性や新規性に興味がある。私は内容を知らないので子どもを身ごもった男女主人公の行く末が気になるところ。ノーベル賞作家であるヘミングウェイの鋭角な文章描写が女主人公のキャサリンの柔らかいパーソナリティを際立たせていると感じる。学生時代にキャサリンと出会ったらメロメロになる確率100%です。

  • 戦火の下で生きる若者たちの日常は
    やはり戦況により破壊的に変化していく。
    一方で人と人との営み、心の動きは不変のようであり
    やはり不可避的に戦争の影を感じさせるー。
    豊かな筆致で描かれる情景が鮮明であり
    それだけに様々な感慨が去来する。

  • ▼時は第一次世界大戦中。場所はイタリア。主人公フレデリックはイタリア軍の下級将校で負傷者の輸送をしている。フレデリックはひょんなことで知った看護師のキャサリンと恋に落ちる。で、このふたりの恋の成り行きの話です。
    ▼主人公たちも若いが、書いてるヘミングウェイも若い。20代だったはず。おりおり、若いなーと感じる。文体は、「ああなるほどこれがハードボイルドな文体というものかなるほどそうだね」という味わい。
    ▼途中、フレデリックが戦死しかかる。それで敗戦の退却となる。そのくだりが圧巻。生々しい。実際ヘミングウェイは赤十字のメンバーとして第一次世界大戦のイタリア戦線に参加して負傷したそうで。(更にいうとそれでもって看護師と恋に落ちたそうでつまりはそのネタが「武器よさらば」)
    ▼全体に「とりとめもなく構成感が薄い」感じでそれが持ち味なんだろうなと。

  • 戦争が日常の一部である時代。
    それでも人は日々を等身大で生きる。

    ・アメリカ、イギリス、イタリア国民の違い

  • 「この世界には戦争をしたがる人間がいます。戦争をしたがらない人間もいます」
    「しかし、したがる人間が、したがらない人間に戦争をさせる」

  • 第一次世界大戦の話。
    戦争の話なのだろうとずっと思っていたが、内容は恋愛小説のようだ。
    しかしその中に戦争は大きな位置を占めている。
    戦争の悲惨な描写と、戦争とは関係ない恋愛の話とが織り交ざって出てくる。
    前半は主人公がどのような立場なのかがよくわからず、なかなか読み進まなかったが、後半は恋愛話が続き、しかも会話が多いのであっという間にページが進み読み終わった。

  • ヘミングウェイの代表作。第一次世界大戦期のイタリアにおけるアメリカ人の主人公とイギリス人看護婦の切ない恋の話。

  • 死と直面している第一次世界大戦中の、国籍を超えた愛の物語。

  • アメリカ人の主人公が傭兵としてイタリアの戦場にいる。病院で出会った看護士と深い仲に。傷が癒え再び戦場に。先が予測しづらく、続きが楽しみ。2021.2.11

  • 第一次世界大戦のさなかフレデリック=ヘンリーとバークリー=キャサリンという二人の男女の愛し合う様子が際立っている小説であった。ヘミングウェイは反戦への思いが強いがこの小説でもよく出てくる。キャサリンのふるまいは男性から見た理想像のようで実に甘え上手だ。下巻で二人の絆は割かれるのだがどういう展開か気になる。

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著者プロフィール

Ernest Hemingway
1899年、シカゴ近郊オークパークで生まれる。高校で執筆活動に勤しみ、学内新聞に多くの記事を書き、学内文芸誌には3本の短編小説が掲載された。卒業後に職を得た新聞社を退職し、傷病兵運搬車の運転手として赴いたイタリア戦線で被弾し、肉体だけでなく精神にも深い傷を負って、生の向こうに常に死を意識するようになる。新聞記者として文章鍛錬を受けたため、文体は基本的には単文で短く簡潔なのを特徴とする。希土戦争、スペインでの闘牛見物、アフリカでのサファリ体験、スペイン内戦、第二次世界大戦、彼が好んで出かけたところには絶えず激烈な死があった。長編小説、『日はまた昇る』、『武器よさらば』、『誰がために鐘は鳴る』といった傑作も、背後に不穏な死の気配が漂っている。彼の才能は、長編より短編小説でこそ発揮されたと評価する向きがある。とくにアフリカとスペイン内戦を舞台にした1930年代に発表した中・短編小説は、死を扱う短編作家として円熟の域にまで達しており、読み応えがある。1945年度のノーベル文学賞の受賞対象になった『老人と海』では死は遠ざけられ、人間の究極的な生き方そのものに焦点が当てられ、ヘミングウェイの作品群のなかでは異色の作品といえる。1961年7月2日、ケチャムの自宅で猟銃による非業の最期を遂げた。

「2023年 『挿し絵入り版 老人と海』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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