野性の呼び声 (光文社古典新訳文庫 Aロ 2-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751388

作品紹介・あらすじ

ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。大雪原を駆け抜け、力が支配する世界で闘い、生きのびていくうちに、やがてその血に眠っていたものが目覚めはじめるのだった。

感想・レビュー・書評

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  • ジャック・ロンドンが描く、犬と人間、そして狼との関係【柴田元幸】 - ENGLISH JOURNAL ONLINE
    https://ej.alc.co.jp/entry/20210415-ej-literature

    不運の大型犬は、いかにして橇犬チームをまとめた? 名著『野性の呼び声』から見えてくる理想のリーダー像|Real Sound|リアルサウンド ブック
    https://realsound.jp/book/2020/11/post-648590.html

    野性の呼び声 - 光文社古典新訳文庫
    https://www.kotensinyaku.jp/books/book40/

    野性の呼び声 ロンドン、深町眞理子/訳 | 古典新訳文庫 | 光文社
    https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334751388

  • 先日小川洋子さんのラジオ番組で紹介され、とても読みたくなって購入
    児童書に入れるべきなのでしょうか?

    有名な犬の物語だけれど
    まるで犬のバックが語っているようだ。

    へんに擬人化されず、ハラハラドキドキ読み進める。
    カナダ北部の厳しい自然描写
    犬・狼
    そして、様々な人間描写

    ラストはあくまでも美しい

    ≪ 闘いの 中から目覚める 太古の血 ≫

  • 自伝的な作品『マーティン・イーデン』が非常に素晴らしかったことから、まだ未読の作品も多い(翻訳自体がない作品も多いのだが・・・)ロンドンについて、ぱっと手に入りやすい古典新訳文庫から選んだ1冊。40年の生涯という短さの割にはロンドンは多作な作家だと思うが、翻訳されている作品が少ない分、クオリティが高い作品が選ばれているのかもしれない。そう思わせられたほどに本作も素晴らしい作品。

    主人公はサンフランシスコの名家で暮らしていた1匹の犬がふとしたことからカナダ・アラスカの極北の地へと売られ、極寒の地で重い荷物を運び続ける橇犬として活躍する様子を描いた三人称小説である。主人公はこの犬そのものであり、彼がいかにして自らの野生の本能を極北の自然の中で発揮していくかがドラマティックに綴られている。もちろん、主人となる人間たちの造形も生々しく、限界の環境で暮らす人間たちの生活の厳しさも十分に伝わってくる。

    これを読むと、やはりロンドンの作品をもっと読みたくなってきて、引き続き、和訳が出ている作品については全部読んでみよう、という気持ちにさせられた。

  • NUMA BOOKSに選んで貰った1/12冊。
    ほんとは現代教養文庫、辻井栄滋訳のものなんだけどブクログでヒットしなかった。

    読み始めた時はどうしてこの本がわたしの元へ来たのかよく分からなかったけど、なるほど読み終わると気持ち良かった。

    本来というものは美しい、と思わせてくれる作品だった。
    野蛮に見えがちな野性をありのまま描いてなお美しかった。
    向かうべき到達点に見えた。
    題材が犬だったこともあるかもしれないけれど、ロンドンが書く人の本来についてもとても興味がある。

    小説だけでなく戦地ルポなども書いた人なのでいくつか作品を読んでみようと思う。

  • やはり、ジャックロンドンの描く凍てつく大地、野生を剥き出しにして生きる動物の物語はいい。
    何不自由なく暮らしていた大型犬が盗まれ、さまざまな飼い主の間をさまよいながら秘めていた野性を開放してゆく。
    息をもつかせぬ展開で一気読み。

  • かなり面白く夢中で読んだ。
    淡々とした文章で書かれつつも、犬橇や戦いの場面で引き込まれ手に汗握った。
    冬の寒い時期に定期的に読みたくなる。

  • 暖かく幸せな場所で育った犬バックが、極北の冷酷で厳しいルールにたくましく適応していき、やがて犬の王へ上り詰める。バックは決して全ての人間に忠実ではない。抜け目なくしたたかで、生きるためなら盗みは躊躇わず、必要なら容赦なく犬を殺しもする。アラスカという過酷な環境で強く生き抜こうとするその姿は、ゴールデンカムイの「生きて輝け」という言葉がとてもしっくりきた。

  • なかなかハード。映画を見るのは躊躇してしまう。

  •  裕福な家庭の飼い犬として過ごしていたバックが誘拐され、アラスカの橇犬として売られるところから始まる。健気な犬が前向きに頑張る話ではない。バックは文明的な生活を忘れ、弱肉強食の掟に順応していく。

     バックは狼ではなく、あくまで犬である。人間に仕え、鞭を振るわれて橇を引く。忠義を尽くすべく愛した人間もいる。だが、父祖から脈々と受け継がれた眠れる記憶が呼び起されていく。バックをとおして、野生の生き物が持つ警戒心、狡猾さ、容赦のなさ、闘争心は当然に人間にも備わっているということに気が付く。実直や寛容に価値を置く世界に暮らしていても、猛獣の気配を気にしながら闇の中で眠った記憶がその身に刻まれている。

     どんなに教育によって徳を身に付けていても、野生の世界を生き延び、生を継いできた父祖の終着が自分なのだ。身体的なルーツには逆らえない。脳も遺伝子とそれが作り出す化学反応の制約下にある。自分のものだと思っている価値観、情動、意志、判断といった精神活動もどこまで自分のものか分からなくなってくる。脈々と続く何か大きな流れの中の1点に過ぎないのかもしれない。自分の中に自分以上の何かが宿っており、「呼び声」があれば感応するかもしれない。本能の空恐ろしさ、生命に対する畏怖を突き付けられる物語だった。

  • 詳細は、あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノートをご覧ください。
    http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1502.html

    映画「野性の呼び声」 2020年2月28日(金)公開 
    すごく見たかったのに「コロナ禍」で見そびれた・・・。
    それでは、と原作を読んだらすごく面白い!
     

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著者プロフィール

ジャック・ロンドン(Jack London):1876年、サンフランシスコ生まれ。1916年没。工場労働者、船員、ホーボーなどを経て、1903年に『野生の呼び声』で一躍人気作家に。「短篇の名手」として知られ、小説やルポルタージュなど多くの作品を残した。邦訳に『白い牙』『どん底の人びと』『マーティン・イーデン』『火を熾す』『犬物語』などがある。

「2024年 『ザ・ロード アメリカ放浪記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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