1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編 (光文社古典新訳文庫)

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本棚登録 : 396
感想 : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751418

作品紹介・あらすじ

ユーモア、犯罪、皮肉な結末。アメリカの原風景とも呼べるかつての南部から、開拓期の荒々しさが残る西部、そして大都会ニューヨークへ-さまざまに物語の舞台を移しながら描かれた多彩な作品群。20世紀初頭、アメリカ大衆社会が勃興し、急激な変化を遂げていく姿を活写した、短編傑作選。O・ヘンリーの意外かつ豊かな世界が新訳でよみがえる。

感想・レビュー・書評

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  • 短篇23編。O・ヘンリーはやっぱりいい。「最後の一葉」「賢者の贈り物」ばかりが有名だけど他の作品も知られてほしい。

    「献立表の春」…可愛くて甘酸っぱいラブロマンス
    。可愛いの一言に尽きる。いつ読んでもほんわかする。

    「甦った改心」…個人的NO.1。金庫破りの恋。

    「十月と六月」…印象的な文章が多かった。

    「警官と賛美歌」…刑務所のほうがマシというのは今も昔もあまり変わらない。

    「ミス・マーサのパン」…女性のささやかな思い込みがもたらす悲しい結末。タイトルとしては「魔女のパン」のほうが好き。

    全タイトル
    多忙な株式仲買人のロマンス
    献立表の春
    犠牲打
    赤い族長(レッド・チーフ)の身代金
    千ドル
    伯爵と婚礼の客
    しみったれな恋人
    1ドルの価値
    臆病な幽霊
    甦った改心
    十月と六月
    幻の混合酒(ブレンド)
    楽園の短期滞在客
    サボテン
    意中の人

    心と手
    水車のある教会
    ミス・マーサのパン
    二十年後
    最後の一葉
    警官と賛美歌
    賢者の贈り物

  •  23編収録の短編集。

     これは日本人男性作家じゃ書けなかった作品だな、とそれぞれの短編を読んでいて思いました。アメリカの様々な姿を舞台にしている、というのもその一因ではありますが、一番の理由は話の内容です。短編という制約があるからかもしれないですが、一切の迷いや、ややこしい表現もなく、ストレートにハッピーでロマンティックなエンディングを用意、男女の愛の成就を描く点です。

     イメージですが日本の恋愛ものは、一直線に愛の成就を描くのではなく、良くも悪くもうじうじした男女が右往左往し、言外にメッセージを込めつつ恋愛を成立させる、というイメージがあります。O・ヘンリーの作品たちはいい意味で非常に分かりやすく恋愛に向かっていきます。それがロマンティックさの理由のように思います。

     そうしたロマンティックさのイメージと裏腹なシニカルな短編も何編か選出しているあたりも、この短編集の良さだと思います。作品集の最後に近づくにつれ「また幸せな結末だろうな」と油断しながら読んでいて見事に転ばされたことが何度かありました(笑)

     しかし、それを最後の『賢者の贈り物』でチャラにするどころか、見事にロマンティックさを取り戻します。これは作品の並び順も結構計算されているのかな、と考えてしまいますね。

     このロマンティックさは、有川浩さんファンの方が読んだら案外はまるんじゃないでしょうか? 一編一編のページ数も少なめでとっつきやすいと思うので、いろんな女性層に読んでもらってときめいてほしいな、と思いました。

  • 一つの話が短いのにどれも意外な結末が待っていて凄い。十月と六月、私も騙されたけど、これ男の方が年上っていう価値観、思い込みが無いと騙されないよなと。(勿論大尉という位もあるが)騙されるタイプの話、読者が持っている常識に左右されるなと思った。

  • 味わい深い人間模様を綴る短編集。
    ラストのオチが秀逸で、一辺倒ではなく意外性をはらみ楽しい。お気に入りは、途中まで読んでオチが解りつつも巧みな明かし方で感動を呼ぶ「水車のある教会」、やはり外せない名作「最後の一葉」、罪の重さと良心の天秤に思いを馳せる「甦った改心」、真に思い合う夫婦の皮肉で心温まる「賢者の贈り物」あたりかな。あとがきで作者の小説になりそうな身の上を知り、その経験が多彩な作品を紡ぐ事になることに納得。
    貧乏とお金持ち、恋人、罪人と正直者といった立場をうまく短編に仕上げる作品集、機会があれば再読したい。

  • ※購入理由
    2019年の乃木坂文庫 田村真佑カバー
    装丁買いでないと手に取らない本、ジャンルだね。
    今後興味が広がれば‥

  • 「最後の一葉」「賢者の贈り物」等、感涙ものと言われるこれらの作品でも皮肉な結末だと感じるひねくれ者の私ですが、すべての話がこの短いページ数の中ですとんと落とされることには感激します。岩波文庫の傑作選を読んでいるたのでいくつか重なっていたものがあり、同じ話を読むと訳者さんの力というものを見せつけられる思いがしました。岩波も読みやすいですがこちらの方がさらに理解しやすく砕いてある気がします。「献立表の春」などはこちらの訳がとても好きです。でも岩波は言葉選びの美しさを感じましたので甲乙つけがたいですね。今回は一度に読まずに一か月かけてのんびりゆっくり少しずつ楽しみました。「甦った改心」「二十年後」は再読でも好きで、今回初めて出会った中では「サボテン」にやられました。すごく情けないけれど誰もが多かれ少なかれ心当たりがありそうです。/覚え書き…第2回O・ヘンリー誕生日読書会参加http://bookmeter.com/event/event_show.php?id=2493

  • 「賢者の贈り物」のオチをはじめて知ったときの衝撃を胸に読みました。
    色々な訳が出回っているなかで本書を選んだのは、解説が長かったから。著者の波乱万丈な人生に沿った作品集だということがわかり、デビューには最適な一冊だったと思います。

    短編23作品、ストーリーが素直に楽しい。お約束なのに巧みなオチは、わかっているのに驚いてしまい、思わず誰かに言いたくなります。短くわかりやすいストーリーなので、自分で簡単にあらすじをまとめることができ、人に話すのにちょうどいい。各話のタイトルも、ストーリーが思い出せるのものになっているので、話に花が咲きそうです。

    読みはじめは修飾の多い独特な言い回しが読みづらかったのですが、慣れれば彩りとして表現を楽しめます。最終的にストーリーと同じくらい楽しみなポイントに。
    特に印象に残ってるのは「蘇った改心」「十月と六月」「心と手」。
    お気に入りの一冊となりました。

  • 千ドル、1ドルの価値、蘇った改心、最後の一葉、賢者の贈り物

  • 2016年4月24日に開催されたビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「金」。
    まちライブラリー ブックフェスタ2016in関西参加イベント

  • 「賢者の贈り物」 2016/2/16
     日々の暮らしにも事欠くほどの貧しい家庭の夫婦が、お互いにクリスマスプレゼントをするために自分の一番大事で高価な代物を犠牲に、愛するパートナーへの贈り物を買った。その贈り物はお互いの犠牲によって何の意味も価値もないものになってしまったが、本当にそうなのだろうか。その価値のない贈り物をし合った二人を筆者は、聖書に出てくる3人の東方の賢者に例えるほど、彼らを「賢者」であると言っている。彼は何故彼らを「賢者」であるといったのか。「賢者」とはいったい何なのだろうか。
     物語中に「年100万ドルの収入のものと週20ドルの収入の違いとは何であろうか」という問題提起がある。収入や生活環境でいえば、明らかに前者のほうが豊かな生活であることは誰にでもわかる。しかし、主人公夫婦が貧乏だからといって不幸であるようには思えない。つまり、収入の差による物の豊かさや出来ることの多さは幸不幸にはそれほど影響を及ぼさないということである。
     では、この物語がお互い価値がなくなることなく贈り物をすることができたら、彼らは「賢者」ではないのだろうか。この賢者であると言わしめた要素はおそらく相手を想う「愛」ゆえに自分の大切なものを犠牲にしたことである。そのため、贈り物の価値がなくなってしまったこと自体にはそれほど大きな意味はないのかもしれない。
     二人はお互いのプレゼントがお互いの犠牲によって価値をなくしてしまったがために、お互いの本当にプレゼントしたかったもの、「愛」を与え合うことができたのではないだろうか。それは筆者が聖書に出てくる賢者を引用してきたことと非常に合う。豊かな生活を送る者も愛なくして贈り物はできない。いや、クリスマスだから何かものをあげないといけないという義務感から物を与えられても、「愛」があるとは言いづらいし、感じにくい。心も満たされない。そのようなことを儀礼的にい合う仲の二人だったら、筆者は「賢者」とは決して表現しなかっただろう。筆者が一番言いたかったことは、贈り物の本質は「愛」であり、「愛」があれば、例えその贈り物の価値が無くなってしまっていても、心は十分すぎるほど満ちることができるということかもしれない。彼らは贈り物自体には大きな意味はなく、「愛」を贈ることに成功しているから賢者なのだろう。たとえ収入が少なく、高価な贈り物ができなくても大した問題ではなく、「愛」を贈ることこそ大事だということだろう。

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