赤と黒(下) (光文社古典新訳文庫)

制作 : 野崎 歓 
  • 光文社 (2007年12月6日発売)
3.70
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  • Amazon.co.jp ・本 (645ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751463

作品紹介

神学校を足がかりに、ジュリヤンの野心はさらに燃え上がる。パリの貴族ラ・モール侯爵の秘書となり、社交界の華である侯爵令嬢マチルドの心をも手に入れる。しかし野望が達成されようとしたそのとき、レナール夫人から届いた一通の手紙で、物語は衝撃の結末を迎える。

赤と黒(下) (光文社古典新訳文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 上巻であれだけ読むのに苦労したので、下巻はその分厚さに、読む前から尻込みしていた。

    ところがである。面白い。下巻に入った途端、私のこの本への評価が一変してしまった。
    舞台は、地方都市から大都会・パリの社交界へ。すると、それまでまどろっこしかったスタンダールの筆が、人が変わったように生き生きと感じられた。躍動感に溢れ、個性的で、したたか。フランスの歴史や当時の時代背景は全くわからないけれど、人間模様の面白さで惹きつけられる。

    そして、侯爵令嬢マチルドとの、あまりに熾烈で、同時に凍りつくような恋。
    主人公・ジュリヤンのあまりにも「感じやすい」激情と、マチルドの「高慢すぎる」退屈が、とんとん拍子に進むわけがない。駆け引きと打算、プライドと欲求、読んでいるこちらの方がひやひやする危なっかしさだ。
    二人はお互いの中に恋を求めながらも、その中に自分しか見ていないのだと思う。だから恐ろしく計算的でありながら、同時に主観的だ。その相反する感情に引き裂かれながらも、ただただ自らの身を焼き尽くそうとするかのような二人の恋に、私はひどく同情してしまった。彼らを哀れだと思ったのである。

    ・・・というわけで、私はこの本は下巻の前半三分の二くらいをとても面白く読み、その評価を☆5にしたいくらいなのだが・・・
    最後の最後の終わり方が意外にもあっさりしたものであったこと、レナール夫人の魅力がどうにも最後までしっくり来ず、いまいちその部分が納得できないこと、などを考えると、やっぱり☆4かなぁ、と思う。
    けれど、前半であれほどげんなりしたのに下巻でこんなにスリリングな読書ができたので、途中で放り投げないでよかったなあ、とも思った。

  • 主人公のジュリアンよりも、後半のヒロインであるマチルド嬢に魅かれました。
    ただのプライドの高いお嬢様とはちょっと違う。
    誇り高く情熱的な騎士のようなかんじ。
    ジュリアンの信念がいまいちはっきりしないのに対し、マチルド嬢の激しい性格はある意味すごくわかりやすい。
    現代日本ではちょっとお目にかかれないような人なので、実際にこんな子がいたらひいちゃうだろうなぁと思いながらも、友達になってみたい気がするから、本って不思議。
    それにしても、最近手に取る小説がことごとく人妻を誘惑する話のような気がするんですが、世の中にはそんなに人妻を誘惑する話があふれているのかなぁ。
    本のチョイスの問題なのか…謎めいてます。

  • 主人公のジュリアン・ソレルは、あらすじを読む限り、自らの出世のために女を利用した冷徹で計算高い男というイメージがあったが、確かにそういう部分はあるものの、非常に人間味があり印象的で魅力的なキャラクターであると感じた。
    筋書きは実際に起きた事件からスタンダールが着想して書いたもので、当時の宗教・階級対立などの時代背景も面白いと思う。

  • ジュリアンがついにパリへ。
    ジュリアンはもはや、線の細い男の子ではなく、パリに出してもおかしくない、深い考えとか世渡り術とか恋愛経験を吸収した美青年になっている。

    私は古典とか歴史とか、趣味とするほど好きなわけじゃないので、心理とか恋愛テクニック方面の視点から読んでました。フランスの革命期の政治の所とかはすっとばし気味笑

    ラ・モール嬢の感じた、「私は本当はあの人に恋などしていなかったのかしら?」という当惑が本当によくわかってしまった、21の秋!
    その過去形の文体も。
    ラ・モール嬢はその美貌と高貴な身分のせいか、自尊心が高まりすぎて、感情やら、イベントやらをまるで義務のようにこなす。はい、これもした!みたいな。うれしいのに、気持ちと正反対の態度や表情になってしまう…まさにだれかさんそっくり。
    そう考えると、古典といえど悩みは全くもって現代的で、てか本当に現在進行形で、タイムマシンのよう。
    1830年に書店に並んだ本だからね!!

    にしてもすべては妊娠させてしまったことから始まったと思うな。
    ラストは、それまで2.5人称で語られていたのにちょっと不思議な展開だった。

  • ジュリアンとラ・モール嬢との恋の駆け引きは、まるで小学生同士の小競り合いのように滑稽でおもしろかった。身分の違いは人の心に思いがけない光を宿らせる。

  • 上巻と出版社が違うのは、図書館で借りているからです。同じ出版社のものは誰か別の人が借りてました。
    主人公ジュリヤンの隣からレナール夫人がいなくなり、彼はマチルダの美貌に興味はなく。色恋から離れたジュリヤンはこれから立身出世して行くのかと見守るが、なぜこのジュリヤンは秘書をしているのか。疑問。裏口の口利きで司祭目指してるのか。手段を選ばない性格ですね。
    マチルダとの恋愛が始まった辺り、この二人の恋愛を見守るのがとても疲れました(面白くないという意味ではなく)。マチルダもジュリヤンも頭でっかち過ぎて、相手を振り回し相手に振り回され、どんどん焦燥して行って見える。それが読み手に乗り移る。
    社交界の人物描写も面白い。その時代の社会風景なんて全くわからないし、名前覚えるのに苦労しましたが、外人の名前を覚えられないのはいつものこと。
    途中で挟まった会議の存在意義はなんなのでしょう。疑問。
    ラストまで来たら、主人公、出世よりも恋愛が大事になってしまっていて、期待していたオチは望めそうにないと判断。せっかく軍隊に入ったのに。

    そして悲劇的な幕切れ。

    端々でのぼった疑問は解説が拾ってくれていたのでありがたい。

    ジュリヤンの姿は「俺ってばそのうちエライ奴になるんだからね!」とか言いつつ何者にもなれない現代若者の姿に通じるものがあって、これは自由主義が始まった当初から存在した問題なんだと思った。「ああ、19世紀よ!」という嘆きが好き。
    下巻後半から、「自分は裁かれる義務がある」と感じだす主人公と、彼を救おうとするヒロインの姿に、罪と罰を思い出す。無駄に頭がよくて自尊心の高い人間は、自分を裁きたがる模様です。こういう系統の話が好きなのかなあ、自分。

  • まさかの最後だった。
    レナール夫人はあの手紙に書いたことを、真実として書いたのか、それとも・・・
    主人公が穏やかな気分になれたことが、救いだと思った。
    ナポレオン戦争に関する書物を読んで再読したい一冊。

  • 源氏物語みたい

  • 19世紀フランスの小説家・スタンダールの代表作の後半である。パリを代表する大貴族の知遇を得ることに成功し、社交界でそれなりに名前を知られるようになり、さらにはその大貴族の娘に求婚され、立身出世の会談を順調に歩んでいたジュリアン。ところがそんなある日、以前愛し合っていた夫人から届いた手紙がきっかけで、彼の運命は大きく狂い始める…。
    この巻の読みどころは、ジュリアンに執拗に求婚する大貴族の娘である。ジュリアン相手に繰り広げられる恋愛の駆け引きは、ハラハラドキドキの展開でほほえましい。だがジュリアンが事件を起こして投獄されてからの彼女の動きは、はっきり言って狂気じみている。こんな行動をとられては、ジュリアンでなくてもひいてしまうだろう。最後の場面は、明らかに「サロメ」からヒントを得たに違いない。彼女は狂っているのか?イヤ、本当に狂ったのかも知れない。

  • 面白いけれども、恋愛が主題であり、ちょっと物足りなさもある。
    後半の流れが支離滅裂だとサマセットモームは指摘していたけど、言われてみればそうかも。

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