消え去ったアルベルチーヌ (光文社古典新訳文庫)

著者 :
制作 : 高遠 弘美 
  • 光文社
3.47
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本棚登録 : 71
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751562

作品紹介・あらすじ

プルーストが生涯をかけて執筆し、20世紀最高の文学と評される『失われた時を求めて』。本書は"大伽藍"とも形容される超大作の第六篇にあたり、シリーズを通じての主要登場人物アルベルチーヌと、語り手である「私」の関係に結末をつける、重要な一篇である。

感想・レビュー・書評

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  • いきなり飛ばして最後という
    かなり強烈なことをやっていますが
    作品としては非常に心理描写が
    面白いものでした。

    明らかに非は男の人にあるでしょう。
    不必要な束縛で相手のプライドを
    ズタズタに引き裂いたのですから。

    だけれども、正直、彼を笑うことは
    できないですね。
    人は誰しも時にでっかいポカをやらかします。
    中には笑えないほどひどいケースも…

    今回の彼の場合は最悪のケースでした。
    もしも彼が素直にアルベルチーヌを
    迎えに行っていたら…!!

    文章がかなりカチコチに詰まっていますが
    それでも読ませるんですよね。
    おそろしや。

  • 人は自分のことになると皆目わからないということか。私の苦悩をただちに鎮めることが必要だった。私は自分自身にやさしくありたいという気持ちになって言い聞かせた。
    あとほんの少しだけ我慢しよう。誰かが手を打ってくれるはずだ。まずは心を鎮めなくては。こんなことはたいしたことじゃないか。
    私の人生で最大の不幸だった。にもかかわらず、不幸が私に与えた苦痛より、不幸の原因を知りたいという好奇心の方がおそらくは強かった。
    心にこうむった衝撃の結果として生まれた苦しみはひとつのかたちにとどまることに満足できない。人は様々な計画を立てたり情報を集めたりすることで、苦しみを消し去ろうとする。あるいは苦しみが限りない変貌を繰り返すことを願う。その方が自らの苦しみが純粋な形で残るより、有機を奮い立たせなくてすむからである。
    最初の苦悩はいったん断ち切られたあとでも、自律した生命力を躍動させ、いつのまにか私の中でよみがえった。慰めに満ちた決意より前から存在しているだけに相変わらず恐ろしい力を発揮した。本来であれば、久能を鎮めてくれたはずのそうした決意の言葉を、私の苦悩を知らなかった。
    人は自分の魂の中に隠れているものを絶対に知ることができないものだ。
    苦悩が消える?かつて私がそんあことを真剣に信じたことが一度でもあったか。死は存在する者を抹消し、残りの者はそのままにするとか、死は相手の存在がもはや苦悩の原因でしかないと感じている者の心から苦悩を取り除くとか、苦悩を取り除いたあとには何も岡中井といったことを私は信じることができたのか。

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