アンナ・カレーニナ〈3〉 (光文社古典新訳文庫)

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感想 : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751630

作品紹介・あらすじ

イタリアから帰国し息子セリョージャとの再会を果たしたアンナだが、心の平穏は訪れない。自由を求めるヴロンスキーの愛情が冷めていくことへの不安と焦燥に苛まれながら、彼とともにモスクワへと旅立つ。一方、新婚のリョーヴィンは妻キティとともに兄ニコライの死に直面するのだった。

感想・レビュー・書評

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  • 第2巻のレビューすらまだ書いてないのに読み終わってしまった。
    共に難産と自殺未遂から復活したアンナ&ヴロンスキーのカップルがイタリアへ不倫旅行し芸術を楽しむシーンから始まっている。いや振り幅すごすぎるって。
    その点リョーヴィンとキティの夫婦はほんとうに穏やかで明るい愛情を着々と育んでて好感が持てる。キノコ狩りだとか猟銃だとかでえんえんと続く農村での田舎暮らしエピソードは平凡であり退屈なのだけれども、アンナたちの章の後ではそれがホッとする。読んでて面白いのはもちろんアンナたちなんだけど、まぁその高低差の楽しみを最初から最後までずっと味わえる巻だった。
    出奔により社交界からも追放されたアンナは次第にメンヘラのようにヴロンスキーに依存するようになり、そこまではそんなアンナを可愛らしく思ってたヴロンスキーがいよいよ束縛の煩わしさを如実に感じ始めたところで終わっている(あれっ、これどっかで見たことあるやつだ……)。
    自分たちだけはいかに特別な関係だと想い合ってようが、不倫って結局どこのどの時代でも同じようにありきたりで、だれのどの顛末も同じようにありきたりなんだろうか。アンナの相談に乗るシーンでは、夫の浮気に何度も苦しみ不平不満を垂れながらも3人の子供たちを育てるドリーの母性が切り取られたようにぽつんと宙に浮いていた。
    サレ夫かつ最もリアリストなカレーニンが少ししか出てこなかったのが寂しい。

  • 5部はとにかくカオスで面白い。

    まずはリョービンとキティの結婚式から始まるのだが
    リョービンのあの性格ゆえ、そう簡単には行かない。
    やはり自分などキティが愛してくれるのだろうか?
    思いとどまるなら今だと、キティに告に行くが…
    たぶん5分後には仲直り。
    式の当日には、シャツを荷物と一緒に馬車で送ってしまったとかなんとかで…花婿大遅刻!

    リョービンの兄、ニコライの最後。
    看取りのためについて行くと聞かないキティに困惑するリョービン。しかし、キティは、保養所での経験を活かし、ニコライに誰よりもつくし、働く。
    その姿にまた己の情けなさに落ち込むリョービン。

    そして、私の心配どころセリョージャ!
    彼は誕生日にママが会いに来てくれるとどこかで信じている!!
    カレーニンは、イワーノヴナ伯爵夫人の手中にあり、宗教へと導かれる。
    そこへ、アンナ!私たちのアンナ!
    全てを振り切って、札束を小間使いに投げわたし、家に入ってゆく。愛しいセリョージャの誕生日祝いに。

    後半6部は、
    ドリーが子どもたちとリョービン夫妻の家で過ごす夏。彼女の主婦らしさ。
    そして、リョービンの家から馬車でアンナを訪問に行く。
    アンナとヴロンスキーの贅沢な暮らしぶりに辟易としつつも、彼女は決して人前で悪く言わない素晴らしい女性。幸せにいて欲しい。

    リョービン、ヴロンスキー、オブロンスキーたちは選挙へ。

    留守中のアンナの精神状態。
    もうアンナはヴロンスキーに好かれるために必死。
    ドリーにも説得され、カレーニンとの離婚を考え始める。。

    と、こんなカオスぶり。
    リョービンとキティの幸福な家庭ぶりと、
    見せかけだけの、壊れてゆくようなアンナとヴロンスキーの行く先との対比を描く、
    とくにアンナとリョービンの中にある感情のゆらぎ方とか、
    トルストイの表現の上手さといったら!

  • 前巻で、リョーヴィンとキティが再会する場面で泣いた。
    感動のあまり、笑いだした直後に泣けてくることって、確かにあるよな。このまま、二人をそっとしておいてほしいと思った。

    でも、「幸せな家族はいずれも似通っている。だが、不幸な家族にはそれぞれの不幸な形がある」という本作の冒頭文が呪いの文句のように思い出された。本作が追究しているのが、不幸の形だとすれば、リョーヴィンとキティはどうなってしまうのだろう。。

    ___________
    中盤、傷を負ったリョービンのキティに対する気持ちの乱れ、また、ヴロンスキーにはとうてい理解しえない、息子に対するアンナの愛情が引き起こす心の乱れが、平行して危なっかしく描かれる。
    ___________
    本作は、あらゆる登場人物の心理が俯瞰的に、神的な視点から描かれるのだけれど、猟犬の心理までもが描かれていて、驚愕した。逆にめちゃくちゃ新しいと思った。

  • アンナとドリーの会話シーンの緊張に耐えきれなくて、部屋の中をうろうろしてお水を飲んだ。19世紀の小説がこんなにギリギリと胸を締め付けるなんて。

    始めのうちはリョーヴィンの部がかったるかったのだけれど、今はそれがなければアンナの部が辛すぎて読み続けられないな、と思っている。アンナは自分の意思があるばかりに、余計に社会から制裁を受けている感じがある。なんでアンナばかりが追い詰められなければいけないんだろう。

  • ヴロンスキーとのイタリア旅行から帰国したアンナは、どうしても息子に会いたい一心でかつての我が家に戻る――。一方、新婚のリョーヴィン夫妻は、新しい生活をスタートさせるが――。

    2巻の感想で、アンナの心情がさっぱりわからない、と書いたけれど、3巻を読んでいくうちに、それも当然のことだったのかもしれない、と思うようになってきた。
    この巻でも、やはりアンナの行動ははっきりしない。自分が心の内で思っていることと矛盾した行動を取り、時にヒステリックなまでに感情を高ぶらせ、それでも輝くばかりに美しく聡明である。
    彼女自身も混乱しているのだ。どうしたらいいのか、ほんの数時間、数十分先のことさえわからないでいるのだ。今手の中にあるものだけが頼りで、これを離したら、それこそ自分はどうして生きているのかわからない、という状態にまで来ているのかもしれない。
    だからこそ、彼女は異様なまでにヴロンスキーを自分に繫ぎとめておきたいと思うのだろう。

    しかしそれでも、アンナの行動ははたから見れば、自分勝手で利己的としか映らないであろう。彼女自身も、そのジレンマに身を焦がさんばかりに苦しんでいることだと思う。
    だからこそ、彼女は美しくあろう、聡明であろうとしているのかもしれない。たとえどんなに道徳的、社会的に認められない存在であろうと、その二つを維持することで、彼女のプライドが保てるならば、彼女はいくらでも美しく聡明になる努力をすると、私は思う。だから、アンナが輝くばかりに美しい理由も、わからないではない。
    しかし、その意地だけで本当に「美しく」見えるのかとなると、少々疑問だが・・・。

    アンナともっとも対照的な家庭生活を営んでいるであろうドリーの視点から、アンナの生活を観察する場面は非常に興味深かった。この場面があったから、アンナの心情に深みが増したと思う。
    リョーヴィン夫妻の新生活のほうは、幸せいっぱいでお互いがお互いをこの上なく愛していながらも、細々とした悩みに煩わされる様子がリアルだった。

    物語の蕾が膨らんだ3巻。最終巻でこれがどういう形で満開となり、また散るのか、わくわくどきどき。

  • 第3巻はとてもドラマチック。
    軸となるのはリョービンの結婚と兄・ニコライの死、アンナの方はヴロンスキーとの生活の始まりと、セリョージャとの別れと再会。
    これまでどちらかというとか弱い印象であった、キティは、義兄の死に際して強さと、その母性を見せ、「母になる」と印象を与える。
    頑固だったリョービンも柔らかさを見せ、キティとの愛のある生活に浸る。
    冷たい堅物、いかにもな官僚だったカレーニンは迷いと弱さを見せ、宗教に縋りを得る。
    動じず、凛とした美しさをもったアンナも、嫉妬・息子への愛・社交界からの離別などに不安定な姿を見せる。

    どんな日常であろうと、どんな性格であろうと、人は一様でなく、迷い、変わっていき、時に強く、時に崩れていく姿が描かれる。
    背景にあるのはロシアの貴族の生活でも、根底の社会生活、職業上の立場、家庭と親戚づきあい、など、描かれるものが現代日本と変わらない、と思えるほどすごくリアル。
    やっぱり、凄い作品だと思いました。

  • おもしろい。リョーヴィン推しです。

  • (・・・・・・前回からの続き)

    【三冊目】
    1.リョーヴィンとキティ、あわただしい準備期間を経ていざ結婚へ。
    2.アンナとヴロンスキーはイタリアの小さな村に逗留中。画家のミハイロフにアンナの肖像画を描かせる。
    3.リョーヴィン、理想と現実のはざまに落ちこみマリッジ・ブルーになる。
    4.ニコライ兄がいよいよ危篤だとマリアから知らせが届く。リョーヴィンは急いでひとりで駆けつけようとするがキティがどうしても自分も行くという。やつれはてたニコライ兄は最後の気力を振り絞って、枕元のマリアに憎まれ口をたたいている。瀕死の兄になすすべを知らないリョーヴィン。しかしそれをしり目にキティが看護に大活躍。長期間の危篤状態に看護の者たちはみな疲れ果てるが、ついに潮が満ちニコライ兄は息を引き取る。
    5.リディア伯爵夫人がカレーニンに接近する。彼女はセリョージャに、あなたのお母さんは死んだのだと告げる。
    6.アンナ、衝動的にカレーリンの家に侵入してセリョージャを抱きしめる。
    7.精神が不安定なアンナ。ヴロンスキーとの落ち着かない愛の日々を送る。
    8.リョーヴィンが家でシチェルバツキー家の面々と団らん。義理の兄のコズヌィシェフとワイレニカの仲があと一歩のところまで進むが結局不首尾に終わる。リョーヴィンとオブロンスキーとヴェスロフスキーの3人で一泊二日の狩猟旅行へ。おおっぴらにキティを誘惑しようとするヴェスロフスキーに怒って、リョーヴィンは彼を追い出す。
    9.ドリーはリョーヴィンのところを抜け出してアンナのところへ。ドリーはアンナの贅沢な暮らしぶりに驚く。また、アンナがヴロンスキーとのあいだにできた女の子にあまり関心がなさそうなのにとまどう。アンナとカレーリンはまだ離婚が成立していないが、離婚してしまったらアンナとセリョージャの縁が切れてしまうからアンナはこのままでいるのだという。

    【四冊目】
    1.貴族間での選挙のこと。ヴロンスキーにとっては初めての経験だったがひさしぶりに少しの間アンナを忘れられた。
    2.ヴロンスキーは、アンナの離婚が成立していないため自分の娘もカレーニン姓になっていることに我慢がならない。アンナもヴロンスキーの愛情をつなげておくため正式に彼との結婚しておかなければいけないと焦る。そのために、セリョージャを諦めてカレーニンと離婚しようとする。
    3.キティの出産。うろうろ歩き回るだけのリョーヴィンはじゃまでしかたがない。めでたく男の子が生まれるが、リョーヴィンは生まれてきた我が子をちょっと気持ち悪いものと見ている。
    4.経済状態のひっ迫しているオブロンスキーがカレーリンに要職を斡旋してくれと頼みに行く。加えて妹アンナとすっきりと離婚してくれるようお願いする。カレーリンはアンナの窮状を全く理解しようとせず、離婚についてはきっぱり断る。オブロンスキーはカレーリン邸でセリョージャと会うが、セリョージャは母を強く拒否する反応を見せる。
    5.なにもかもうまくいかないアンナと、アンナの欲求不満を一身に浴びるヴロンスキーが衝突。不和は日に日に昂じていく。
    6.アンナの精神が崩壊していく。アンナは、所用で実家に帰ったヴロンスキーを追って汽車に乗るが、支離滅裂な言動はもう見ていられないレベルだ。駅に着くとアンナは死ぬことを思い立ち、走り来る汽車の前の線路に飛び込む。
    7.エピローグ。時間をかけて書き上げたコズヌィシェフの新刊は結局なんの反響もなかった。ヴロンスキーは魂の抜け殻となり、死地を求めてトルコとの戦争に出征していった。オブロンスキーは念願の要職に就けた。キティはあいかわらず明るく強く生きている。無宗教だったリョーヴィンはいろいろ考えるうち、少しは神の光の方を向くようになってきた。……おしまい。

  • 社交界から排除されたアンナ、ヴロンスキーと農村生活を送るキティ、リョーヴィンそれぞれの交友関係の描写が面白い。家族にしろ地域社会にしろ地方行政や官僚組織にしろ、システム化されているように見えても結局、動かしているのは人であることがわかる。人であれば、厳格、安定してるようであっても、脆さもあり、そのあたりの微妙な心理状態を上手く描いていると思う。

    「「結局、あの時アンナさんが来てくれて、キティは助かったのね」ドリーは言った。「ただしあの方にとっては不運だったけれど。本当に、すっかり逆になったわけね。あの時はアンナさんがとっても幸せそうで、キティは自分を不幸に思っていたでしょう。まったくどんでん返しじゃない」p303
    「アンナはもっぱら談話のリードの面でホステス役を務めていた。このような少人数の食卓で、おまけに管理人や建築士のようにまったく別世界の人間が混じって、慣れない贅沢な環境に怖気づかぬようがんばりながらも、全体の談話に長くは混じれないでいるような場合、ホステス役が談話を盛り上げるのはきわめて難しいものだ。だがドリーの見るところ、アンナは持ち前の如才なさで、その難しい役割をいとも自然に、むしろ喜んで勤めているようであった」p486
    「享受している権利に見合った義務の感覚がないために、そうした義務を否定してしまうわけです」p493

  • 人物描写が上手すぎる…!
    描き方はシビアなのだけど、思わず笑ってしまうところも意外と多い。
    アンナはしんどい…しんどいよ…。

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