アンナ・カレーニナ〈3〉 (光文社古典新訳文庫)

制作 : 望月 哲男 
  • 光文社
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本棚登録 : 280
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751630

作品紹介・あらすじ

イタリアから帰国し息子セリョージャとの再会を果たしたアンナだが、心の平穏は訪れない。自由を求めるヴロンスキーの愛情が冷めていくことへの不安と焦燥に苛まれながら、彼とともにモスクワへと旅立つ。一方、新婚のリョーヴィンは妻キティとともに兄ニコライの死に直面するのだった。

感想・レビュー・書評

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  • アンナとドリーの会話シーンの緊張に耐えきれなくて、部屋の中をうろうろしてお水を飲んだ。19世紀の小説がこんなにギリギリと胸を締め付けるなんて。

    始めのうちはリョーヴィンの部がかったるかったのだけれど、今はそれがなければアンナの部が辛すぎて読み続けられないな、と思っている。アンナは自分の意思があるばかりに、余計に社会から制裁を受けている感じがある。なんでアンナばかりが追い詰められなければいけないんだろう。

  • ヴロンスキーとのイタリア旅行から帰国したアンナは、どうしても息子に会いたい一心でかつての我が家に戻る――。一方、新婚のリョーヴィン夫妻は、新しい生活をスタートさせるが――。

    2巻の感想で、アンナの心情がさっぱりわからない、と書いたけれど、3巻を読んでいくうちに、それも当然のことだったのかもしれない、と思うようになってきた。
    この巻でも、やはりアンナの行動ははっきりしない。自分が心の内で思っていることと矛盾した行動を取り、時にヒステリックなまでに感情を高ぶらせ、それでも輝くばかりに美しく聡明である。
    彼女自身も混乱しているのだ。どうしたらいいのか、ほんの数時間、数十分先のことさえわからないでいるのだ。今手の中にあるものだけが頼りで、これを離したら、それこそ自分はどうして生きているのかわからない、という状態にまで来ているのかもしれない。
    だからこそ、彼女は異様なまでにヴロンスキーを自分に繫ぎとめておきたいと思うのだろう。

    しかしそれでも、アンナの行動ははたから見れば、自分勝手で利己的としか映らないであろう。彼女自身も、そのジレンマに身を焦がさんばかりに苦しんでいることだと思う。
    だからこそ、彼女は美しくあろう、聡明であろうとしているのかもしれない。たとえどんなに道徳的、社会的に認められない存在であろうと、その二つを維持することで、彼女のプライドが保てるならば、彼女はいくらでも美しく聡明になる努力をすると、私は思う。だから、アンナが輝くばかりに美しい理由も、わからないではない。
    しかし、その意地だけで本当に「美しく」見えるのかとなると、少々疑問だが・・・。

    アンナともっとも対照的な家庭生活を営んでいるであろうドリーの視点から、アンナの生活を観察する場面は非常に興味深かった。この場面があったから、アンナの心情に深みが増したと思う。
    リョーヴィン夫妻の新生活のほうは、幸せいっぱいでお互いがお互いをこの上なく愛していながらも、細々とした悩みに煩わされる様子がリアルだった。

    物語の蕾が膨らんだ3巻。最終巻でこれがどういう形で満開となり、また散るのか、わくわくどきどき。

  • 第3巻はとてもドラマチック。
    軸となるのはリョービンの結婚と兄・ニコライの死、アンナの方はヴロンスキーとの生活の始まりと、セリョージャとの別れと再会。
    これまでどちらかというとか弱い印象であった、キティは、義兄の死に際して強さと、その母性を見せ、「母になる」と印象を与える。
    頑固だったリョービンも柔らかさを見せ、キティとの愛のある生活に浸る。
    冷たい堅物、いかにもな官僚だったカレーニンは迷いと弱さを見せ、宗教に縋りを得る。
    動じず、凛とした美しさをもったアンナも、嫉妬・息子への愛・社交界からの離別などに不安定な姿を見せる。

    どんな日常であろうと、どんな性格であろうと、人は一様でなく、迷い、変わっていき、時に強く、時に崩れていく姿が描かれる。
    背景にあるのはロシアの貴族の生活でも、根底の社会生活、職業上の立場、家庭と親戚づきあい、など、描かれるものが現代日本と変わらない、と思えるほどすごくリアル。
    やっぱり、凄い作品だと思いました。

  • タイトルの『アンナ・カレーニナ』の響きが重くのしかかってくる。いつまでアンナはカレーニン夫人と呼ばれるのだろう。
    読む進むうちに、枝分かれしてきた不幸がどんどん芽吹いていく。花落つるときまで読み切ろうと決意する。

  • 内容も面白いが最後の読書ガイドが素晴らしい
    長編だからついつい以前のエピソードの事を忘れてしまいそうだけどこれを読み事により全体を把握出来大きな流れを失わずにいられる。

  • アンナさん、生まれてくる時代を間違えた?
    21世紀だったら、この生き方全然ありのような。
    あるいは、それならそれで、もっと破天荒になってんのかな?
    まともな感想は最終巻で。

  • ヴロンスキーやアンナが悪いというわけではなく、どこの男女も基本的にはこういう本能だろうな。

  • ぐいぐい引き込まれる面白さがある。
    長編だが、「だれる」感じが全くない。

    本巻巻末の解説は、本書のみならず読書一般に深みを与えてくれるものかもしれない。

  • 「幸福な家庭とは」
    この巻の登場人物はそれぞれ自分が求めているもの、足りないもの、手にしていたが気がつかなかったもの...について考えを巡らせる。
    カレーニンとセリョージャ、カレーニンとリディア、コズヌィシェフとワーレニカ...親子のすれ違い、虐げられたものへの愛、運命のいたずらが描かれる中、主人公であるリョービンとキティ、アンナとヴロンスキー二組の夫婦関係が対比される。
    リョービンはキティを愛し、守り、独占しようとし、キティを理解していくうちに、今まで無関心だった外の世界に関わっていく。
    アンナはセリョージャとヴロンスキーを欲し、それだけをよりどころにするあまり、少しずつ壊れていく。
    愛情が狂気に変わる片鱗を見せるアンナは美しく、事業と政治に冴えを見せはじめるヴロンスキーは理性と感情が離れ始めていることに気付く。

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