罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社
3.95
  • (151)
  • (141)
  • (109)
  • (19)
  • (8)
本棚登録 : 1546
レビュー : 149
  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751685

作品紹介・あらすじ

ドストエフスキーの代表作のひとつ。日本をはじめ、世界の文学に決定的な影響を与えた犯罪小説の雄。歩いて七百三十歩のアパートに住む金貸しの老女を、主人公ラスコーリニコフはなぜ殺さねばならないのか。ひとつの命とひきかえに、何千もの命を救えるから。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『罪と罰』は高校生の時に読んだ以来の再読。当時は新潮社の文庫で上下巻を読んだ記憶があります。
    僕も40歳を超え、いろいろと自分の人生を振り返り、またこれからの生き方を見据えるという意味で、今ロシアの文豪の名作に再挑戦中しているところです。
    何故、ロシアの文豪なのかというと、自分でも分かりません。学生の頃から好きなものと言えば、文学ならドストエフスキー、クラシック音楽ならチャイコフスキー、そして政治家ならプーチン・・・というのは冗談ですが、ドストエフスキーとチャイコフスキーは本当に好きなのです(笑)。
    ロシアには行ったことともないし、ロシア語も勉強したことはないですけど、何故か惹かれるものがあるんですよね。もしかしたら僕、前世がロシア人だったりして(笑)。

    冗談はさておき、本書は言わずと知れたロシアの大文豪・フョードル・ドストエフスキーの傑作。処女作の『貧しき人々』、5大長編への転換点となった『地下室の手記』と読了し、いよいよ5大傑作長編『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』に取りかかろうと思い、最初の『罪と罰』を手に取りました。
    今回はいろいろと話題となった光文社古典新訳文庫の亀山郁夫氏の新訳で読んでみることにしました。

    本書は文字も大きく、行間も広いので老眼になりつつある僕には非常に読みやすかったです(笑)。分かりやすい訳文も良かったですね。ただ、この『罪と罰』を読む前に読んだ岩波文庫のトルストイ『戦争と平和』では、文章中に「これでもかっ!」というばかりに注釈がついていたので、それと比較するとちょっと不親切かなとは感じてしまいます(まあ、岩波文庫がお節介すぎるという意見もありますが・・・)。
    ただ、文末にまとめて『読書ガイト』と称する説明文が地図などと供にかなり詳細に記載されているので、それを読みながら読めば良いのかなと思いました。

    この『罪と罰』、読んだのはもう数十年前の話になるので内容についてはほとんど覚えてないのですが、クライマックスで主人公のラスコーリニコフが娼婦のソーニャに自分の罪を告白した場面だけは非常に印象に残っています。
    実際、この1巻を再読してみて、ほとんどの内容を忘れているということが判明しました(笑)。ラスコーリニコフが金貸しの老婆の妹も一緒に殺していたことなど全く記憶に無いし・・・(本当に当時、読破したのかということすら、ちょっと自信なくなってきた)。

    それにしても、どうしてあの告白のシーンだけを良く覚えているのだろう?
    それだけ高校生という感受性の高い時期に感じるものがあったのでしょうね。歳を経て、今回はあのシーンをどのように感じるのか楽しみです。

    『罪と罰』って日本人なら多くの人が知っているドストエフスキーの古典的名作ですし、「大学生のラスコーリニコフが高利貸しの老婆を自分の高尚な目的の為に殺害する」というあらすじも大体知っているという人がほとんどだろうけど、実際に読んだことがあるという人は少ないと思います(文春文庫の『「罪と罰」を読まない』って本が流行っているくらいだし・・・)。
    そう考えると『罪と罰』って「題名もあらすじも知っているけど実際に読んだことは無い本」ランキングを作ったら間違いなくトップを争う本の1つですね。

    『罪と罰』は「犯罪者の自己の行為の正当性を『一つの些細な罪は百の善に償われる』『選ばれた非凡人は、新たな世の中の成長のためなら、社会道徳を踏み外す権利を持つ』という犯罪理論から主人公が自ら進んで罪を犯したのだ」みたいに説明してあるものも多いけど、実際に本書を読みすすめると、主人公のラスコーリニコフはそこまで明確に犯行を企ててはいないんですよね。
    犯行にはかなり偶発的な要素が絡んでいて、犯行当時ラスコーリニコフは、貧乏生活に嫌気がさしており、しかも最愛の妹が金持ちの男に嫁がなければならないということを知らせた手紙を母親から受け取ったばかりで、主人公は自分の無力さを呪い、かなり心神喪失に近い状態のままで老婆を殺害している。そしてその場で帰宅するはずのなかった老婆の同居の妹までとっさに殺してしまい、金品を盗むのも中途半端になってしまう。
    ラスコーリニコフは犯行後も、そのショックから心神喪失状態で寝込んでおり、友人や下宿の女中から介抱されるといいう始末。

    このラスコーリニコフの精神状態についての描写は、ドストエフスキーの真骨頂です。陰々滅々としたラスコーリニコフの心の描写、精神状態の独白は、それこそ「ドストエフスキーの文体は暗い、読みにくい」と言われる最も大きな理由の一つですが、そこがドストエフスキーの小説の最も大きな魅力であるとも言うことができます。これを「愉しめるか、愉しめないか」でドストエフスキーを「読めるか、読めないか」が分かれると思いますね。

    本書『罪と罰1』では、犯行後、ラスコーリニコフが罪の意識から自暴自棄になり、自殺しようか、警察に出頭しようかと迷っているところに、自分の飲み友達である貧乏役人の死に直面し、その家族への有り金ほとんどを渡し、妻や娘たちから感謝をされたことによりラスコーリニコフの心情に変化が訪れるというところで終わります。

    いや~、やはり、ドストエフスキー、面白いです。
    このラスコーリニコフのジェットコースターなみの心の動き変化を楽しむだけでも凄い。
    のんびり読んでいこうかと思っていましたが、どんどん先を読みたくなりますね。すぐに2巻、3巻に取り組もうと思います。

  • ずいぶん前に買って、積読状態が数年続いていた。
    背表紙をほぼ毎日眺めながら
    そのうちに…
    と思っていたところ
    昨夜辺りから
    台風が近づいている
    そんなニュースを耳にしながら
    ひょいと手に持ってみた

    いゃあ これが
    なかなか 面白い
    何十年か前に途中でやめてしまったのは
    なぜだろう
    犯罪小説の古典的名作
    「罪と罰」をおもしろい
    と感じ取れるまでには
    それなりに人生を経なくてはならないのだろう

    なにより
    活字が大きくなっているのが 何よりうれしい

  • 罪と罰。
    恐らくは中学生くらいの頃に読んで以来ですから、およそで言うと30年ぶりくらいになります。再読。
    と、言っても前回は新潮文庫版。今回は光文社古典新訳文庫版。
    去年あたりから、「もう何にも覚えていないし、再読したいなあ」と思っていました。
    亀山郁夫さんの翻訳については、賛否両論があるようですが、僕は光文社古典新訳文庫さんを応援したいので(笑)、そちらで購入。

    「読んだ」という記憶以外に何も覚えていなかったのですが。
    改めて読んでみると、まあ、ほぼ、イっちゃってる青年が殺人事件を犯す、と言っても過言ではありません。
    そしてその背景には、資本主義的な大都会の貧困や格差の人間模様に満ち溢れています。

    まあとにかく、パワフルでクドイ。
    サウンドを敷き詰めるコルトレーンのような、濃さ。濃い。濃ゆいですドストエフスキー。饒舌。

    その代り、第1巻について言うと、それほど難解ではありません。
    とにかく主人公の心情にべっっったりと寄り添って、汚れた街を暴走していく感じ。

    主人公は、ラスコーリニコフ。「元大学生」という設定がどういうコトなのか、ちょっと判りにくいですが、要は貧しいインテリ青年。
    貧しい。実家も貧しい。田舎に母と妹がいる。あんまり貧しいので、金の為に、兄の為に、愛の無い結婚を妹はしようとしている。
    ラスコーリニコフはペテルブルグに暮らしている。時代は明治維新くらいの頃。(当時の現代劇です)
    当時のペテルブルクは、資本主義といっしょに地方の農民たちがどどどっと流入したようで、えらいこっちゃな犯罪貧困都市だったそうです。
    もうとにかく貧しくて、未来が無くて、娘は娼婦に落ち、父はのんだくれる。
    そんな人生模様が酒場に充満し、ラスコーリニコフと読者の目と耳を埋める。正直、その饐えた匂いが鼻まで支配されそうな濃さ。

    もう、のっけからラスコリくんは、イっちゃってます。
    ほとんど神経症?ノイローゼ?演劇的?ふらふらの痩せっぽちの、熱にうなされがちな病弱青年が、自分と未来と家族と犠牲と貧困と不公平と社会に、うなされています。
    そして、金貸しの老婆。徹底してがめつい高利貸し。
    家族もいない。義理の妹がいるが、日々その義妹を虐待している。

    こいつを、なぜ、殺してはいけない?

    まあ、読む側も大抵は、「青年が老婆を殺す話」ということくらいは知って読んでるってこともありますけれど、100頁も我慢したら、その犯罪に向けて堕ちていく、まさにダークヒーロー。悪漢小説。ピカレスク・ロマン、というのですかね。
    犯罪のプロじゃありません。シロウトです。どきどきです。
    計画、偶然、迷い。決断。斧。目撃者。現場。
    この心臓バクバクする感じ、ジェットコースター・エンターテイメント。

    殺しちゃってからがまた。絶体絶命かと思われた現場からの逃走。
    警察。悪夢。うなされて気を失って、復活したら。
    宿敵?「可愛い妹と結婚するいけすかない勝ち組野郎」との対決。
    自首するのか?生き延びるのか?悩みと彷徨。
    偶然という美味しさ。貧しい中年男の事故死から、その娘の、娼婦ソーニャとの出会い。その家族への支援。
    いたいけな幼女から感謝と祝福を受ける場面は、前後がどれだけ、くどかったりもたついたりしていても、圧倒的な小説らしい快感に満ちた名場面。震えます。
    こういうのが、くどくて、長くて、饒舌で、重くて痛くないと、こういう瞬間にならないんだろうなあ。
    すごいです。

    そして、なにかしら、やる気になって帰宅...ドアを開けると待っていたのは、田舎から出てきた母と妹。

    うーん。
    疾風怒濤の第1巻。

    やっぱり面白い。犯罪ミステリー。どきどき、第2巻へ。

    (って、名作だからそういう議論になりませんが、芥川龍之介さんが言った通り、ドストさんの描く女性像っていうのは、ひょっとして結構...紋切り?だったりするのか?
    「ドストエフスキーの女は、すね毛が見えている」。
    つまり、男性が頭で想像した女性像で、妙に男性的なことを言うか、あるいは紋切りな女性的情緒と健気さのイメージ?
    そのあたりを検証しつつ、2巻3巻を美味しくいただきましょう)

  • 米子の今井ブックセンターで、ブックカバー(安野光雅さんのデザイン)が欲しくて3冊購入。その後読まずに棚に眠っていたものを半年ぶりに引っ張り出してきて読み始めた。いやあ、おもしろい。しかも、読みやすい。そして、この内容。これが150年ほど前にロシアで書かれていたとは。テレビなどで見ておぼろげながらストーリーは知っている。主人公が「あれ」と言うのが何をさしているのかもわかっている。いつ「あれ」を実行に移すのかとドキドキしながら読む。そして、その「あれ」の場面での心理描写。罪を犯しているにもかかわらず、主人公を応援している自分がいる。何か頭の中でアドバイスしようとしている。ダメだ、こうしろなどと犯罪に手を貸しているようだ。何とも不思議な感情だ。第2部の終盤、いよいよ妹の婚約者、そして母と妹がやってくる。これから話はどう展開するのか。ところで、貧乏自体は悪いことではない。しかし極貧は困る。確かにそう思う。何らかのセーフティネットがこの時代になかったのだろうか。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    ドストエフスキーの代表作のひとつ。日本をはじめ、世界の文学に決定的な影響を与えた犯罪小説の雄。歩いて七百三十歩のアパートに住む金貸しの老女を、主人公ラスコーリニコフはなぜ殺さねばならないのか。ひとつの命とひきかえに、何千もの命を救えるから。

  • 全6部からなる世界的名作『罪と罰』の第1部と第2部が収録されている。
    聞きなれないロシア人の名前を覚えるのには苦労したが、すんなり読むことができた。

    どこにでも起こりうる一見単純な殺人事件も、犯人の内面に目を向ければいろんな要因が複雑に絡み合って起きていることがわかる。決断・決行に至るまでの精神的葛藤や、罪の意識による気を失うほどの苦悶。実際に殺人という大罪を犯した人にしかわからないであろうこのような心情が、臨場感を持って語られていて、自分も当事者の一人になった気分で物語に没頭した。
    小説という限られた世界の中で、犯人の心理がどのように変化していって、どのような最後を迎えるのか続きが楽しみだ。

  • カラマーゾフの兄弟ほどテーマが広範でないため読みやすい。そして面白すぎる。
    登場人物ひとりひとりが主人公のように深く掘り下げられているのは相変わらずで、なかでも敵役のスヴィドリガイロフとポルフィーリーの魅力は際立っているように感じる。

    細かく見ると、正義を成すために殺人を犯すことが許されるかという問いを哲学しているのだけど、ストーリーの大枠がサスペンスとして非常に良く出来ているので、ざっくり読んで楽しむこともできるし、深読みして自分なりに解釈する余地もある。

    こんな小説に出会えることは滅多にないので、ほんとに読んで良かった。
    これと比較すると他の犯罪小説と呼ばれる作品は陳腐に感じてしまう。

  • きっかけは、大江健三郎氏が、「小説の経験」の中で、「若い頃(彼は小学生)背伸びして読んでそれほど面白くなかったものが、今読むと全く違う印象がある」というような例としてこの本を挙げていたので。
    私も、読んだという事実だけは記憶しているのに、話はど忘れ。読んでみて、内容の深さに驚かされた。
    登場人物が皆、象徴的な性格で、1人として無駄に書かれていない。
    考え方も、非常に現代に通じるものがあり、共通点を見つけてびっくりしたりする。
    ルージンは、もろ、モラハラ男である。(自分より地位の低い、でも周りには自慢できるようなできた娘をそばにはべらして、善人ぶって自分に酔っちゃうのが大好き、とか。)
    カテリーナは、もう、ストレートにわかりすぎで、滑稽に描かれれば描かれるほど泣けてくる。
    スヴィドリガイロフも、にくったらしい役なのに、最期の夜の描写が見事。
    印象に残ったのは、この3人。
    今回、新訳を選択。今風の語り口で読みやすくはなっているんだろうけど、世間知らずのお母さんがなんだか忘れたが最初の方でカタカナ英語使ってたのが妙に場違いだったし、1対1の会話で、やたら「叫ぶ」って動詞を使ってるのが気になった。熱意をこめてつい声が大きくなるんじゃなくて、たんに興奮して金切り声挙げてるみたいな印象で...

    あとがきの解釈は、なかなか興味深かった。

    • read-readerさん
      やっぱり、背伸びして、難解な文章に触れるのもいいことなんですね
      やっぱり、背伸びして、難解な文章に触れるのもいいことなんですね
      2010/02/08
  • ドストエフスキー作品としては読みやすい。光文社古典新訳ということで、全体的にもすっきりして、物語が把握しやすい。それにしても、ロシア人の名前は覚えにくいというのは、どうにもならないな。

  • 読んでいるうちに全身が震えていた。

全149件中 1 - 10件を表示

罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)のその他の作品

罪と罰 1 (光文社古典新訳文庫) Kindle版 罪と罰 1 (光文社古典新訳文庫) フョードル・ミハイロヴィチドストエフスキー

フョードル・ミハイロヴィチドストエフスキーの作品

罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする