シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)

制作 : Edmond Rostand  渡辺 守章 
  • 光文社
3.81
  • (37)
  • (34)
  • (23)
  • (8)
  • (6)
本棚登録 : 367
レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (532ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751715

作品紹介・あらすじ

ガスコンの青年隊シラノは詩人で軍人、豪快にして心優しい剣士だが、二枚目とは言えない大鼻の持ち主。秘かに想いを寄せる従妹ロクサーヌに恋した美男の同僚クリスチャンのために尽くすのだが…。1世紀を経た今も世界的に上演される、最も人気の高いフランスの傑作戯曲。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 即興で素晴らしい詩を詠み、音楽家として美しい歌を披露、熱血漢な剣客でもある知的で多才なシラノ・ド・ベルジュラック。しかし唯一特徴的な鼻が災いして恋には後ろ向きな男性でもある。シラノは従妹ロクサーヌに想いを寄せているが、ロクサーヌが容姿端麗なクリスチャンに心奪われていることを知り、ロクサーヌとクリスチャンの恋がうまくいくようとことん脇役に徹する――。

    シラノというキャラクターに惹かれる理由は、日本の古き良き武士道のような気風を感じるせいかもしれません。表向きは豪気に振舞いながらも、心のなかでは不器用なほど素直でまっすぐな想いを抱えている。自分の心を偽り、男女の恋の成就に尽力する。彼女の喜ぶ顔が見たいから。彼女に幸せを掴んでほしいから。すべては愛するロクサーヌのために。

    個人的に「かっこいい男」の代名詞と言えば映画『紅の豚』のポルコ(マルコ)がぶっちぎりの首位なのですが、シラノもまた、ポルコに迫るほどの良い男ぶりを発揮しています。よくよく考えると飛行機を乗り回しパイロットとして他を寄せ付けない腕を持ちながらも、親友への遠慮からジーナとの関係に踏み込めずにいるポルコと本作主人公のシラノは、どこからしら近い気質を感じるのは私だけでしょうか。

    戯曲ならではの印象的なフレーズも多く飛び交います。冒頭は注の多さのとっつきにくさも感じましたが、次第に一つの舞台で、客席から出演陣の熱のこもった演技を追っているかのようにストーリーに没頭できました。
    今回は光文社版を読みましたが、いつか岩波版も読んで訳の違いを楽しんでみたいです。

  • 慣れない形式、慣れない時代設定だったけどとても読みやすく、長台詞も読んでて気持ちいい。構成も隙がなく、第五幕が圧巻だった。

  • 内容は現代の感覚に通じるモノが多く文句なしに面白い。訳文も十分に実演に耐えられるものだ。光文社の「新訳」の中でも成功例に入ると思う。ただ注が不必要なぐらいに饒舌で「これは~への複線」とネタばらしまでするのはどうか?という疑問だけが残る。

  • 心意気だ!

  • 少し文体が独特なため
    初めて戯曲を読む人には
    お勧めはできないかな、という感じです。
    中身は面白いですよ。

    たといシラノのように
    腕が立ち、立派な人間にすら
    弱さがあるのです。
    それは「醜いほどの鼻」だったのです。

    シラノは従妹のロクサーヌに恋心を
    抱いていたのです。
    ですがそのコンプレックスゆえに…

    それは、彼の言葉を借りた青年によって
    見事成就はするものの
    その青年も死んでしまうのです。

    なんと言うか、悲しいです。
    少しの本当の勇気がシラノにあれば
    よかったのに…

  • シラノは詩人で軍人、敵をわんさか作ってしまうけど、心優しい剣士。
    しかし、彼の鼻は大きく醜い。それを気にして、秘かな想い人・ロクサーヌにも想いを告げられずにいた。そこに、ロクサーヌに恋した美青年・クリスチャンが現れ、彼の恋が成就するよう尽くすのだが…

    台本のような本で、読んでて楽しい。舞台を観ている感覚!
    内容もかなり好き。シラノが決闘しながら、バラードを作るとこ、後は何と言っても最後のシーン‼︎
    空元気でロクサーヌを訪れるシラノ。そこで、最後の手紙を読む。
    「そのお声は…」
    「そのお声は!」

    洒落てる。
    1世紀前の人にも人気があった『シラノ』。今でも通じる面白さって、凄い。

  • 注釈の多さにビックリ。(○○の伏線、って必要?)
    最初は渡り台詞が読みにくかったけど、慣れたらサクサク読めた。

    才能溢れるシラノ。唯一「大鼻」というコンプレックスのせいで好きな人に自分の気持ちを伝えられない。そんなシラノの恋が切ない。

  • 分厚さと注釈の多さにめげそうになった。テンポが良いのでなんとか読めた。舞台で見たら楽しいんだろうなぁ。“鼻”って文学における重要なファクターになってることが多い感じ。2012/229

  •  戯曲というとちょっと硬い印象があるかもしれない。けれど、読んでみれば案外そうでも無かったりします。この『シラノ』にしても、独特の文章形態に慣れてしまえばすらすらと読める。文章ひとつひとつの繋がりもリズミカルであり、読みながらも役者の掛け合いが見えてきそうである。物語の概要としては、少し変わった恋愛物とでも言おうか。一人の女性に恋した二人の男が、お互いの弱点を補いながら彼女の心をつかんでいく。全体としてはコメディタッチであり、故に文章がすんなりと心に染みわたる。戯曲というのも、たまには面白いと思えるはずである。

    (請求記号: 北棟書庫B1階 B081/2N/I-95)

  • 恋を語るなら、美しい詩人のように。

    物語のヒーローが美形だなんて、誰が決めたんだろう。顔は醜いけど、恋心を語るなら誰にも負けないシラノ。宝塚で見たときは、そりゃ全員美形なのでなんとも思わなかったけど、切ない。クリスチャンが途中で気付いてしまうことすら切ない。ロクサーヌが恋しているのは、愛しているのは、その愛のために戦場まで来てしまったのは、クリスチャンにじゃない、クリスチャンの名を借りたシラノの恋心に応えて、だから。ロクサーヌも気付く暇なかっただろうし、それもまた切ない。喜劇って、切ない。

全36件中 1 - 10件を表示

プロフィール

エドモン・ウジェーヌ・アレクシ・ロスタン(Edmond Eugène Alexis Rostand)
1868年4月1日 - 1918年12月2日
詩人・劇作家。マルセイユに生まれる。1890年、2歳年長の詩人ロズモンド・ジェラールと結婚。そのときの代父はルコント・ド・リール、後見人は、アレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)。1891年長男モーリス、1894年に次男ジャンを得るが、モーリス(Maurice)は、後に作家。ジャン(Jean)は、後に生物学者となる(藤田嗣治の作品に『ジャン・ロスタンの肖像』"Portrait de Jean Rostand" がある)。
29歳で書いたコクラン主演の『シラノ・ド・ベルジュラック』が大当たりし、翌年レジオン・ドヌール勲章叙勲。その後、『鷲の皇子』(サラ・ベルナール主演)で再び大成功を収め、わずか33歳でアカデミー・フランセーズに選出される。第一次世界大戦で従軍を志願したが健康上の理由でかなわず、地方の前線を視察後戻ったパリでスペイン風邪をこじらせ逝去。

シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)のその他の作品

エドモン・ロスタンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
フランツ・カフカ
ヘミングウェイ
村上 春樹
アレクサンドル ...
ジェイムズ・P・...
ウィトゲンシュタ...
有効な右矢印 無効な右矢印

シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)に関連する談話室の質問

シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)に関連するまとめ

シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする