罪と罰〈2〉 (光文社古典新訳文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (465ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751739

感想・レビュー・書評

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  • この粒だった登場人物たち。ひとりひとりの末路はどうなるのか?
    (みんな名前は覚えにくいけど...)
    殺した犯人は、司法的に、そして気持ち的に、許されるのか?逃げ切るのか?
    テーマがセリフで厚塗りされて、その左官作業の果てに、ひとりひとりが人間らしく跋扈しはじめます。
    分厚い。分厚いです、ドストさん。
    つかみは正直、入りにくいですが、車輪が回りだしたらとまらないカッパエビセン。

    もう最終の第3巻を読み始めているので、忘れないうちに、第2巻の備忘メモ。

    第1巻では、極貧のインテリ青年、ラスコーリニコフさんが、いろいろあって、高利貸の強欲老婆を殺す。
    そして、意図していなかったけど、帰宅してきてしまった老婆の妹も殺してしまう。
    もともとは金品強奪のために殺したのだけど、神経衰弱気味、心神喪失気味のラスコリさん、まともに金品も奪えず、目撃されそうな危機をなんとかかいくぐって脱出。
    その後も、逮捕される恐怖と熱にうなされて、盗んだわずかな金品も隠して、結局懐具合はもとのまま。

    2巻では。
    時を同じく、故郷から母と妹がペテルブルグにやってくる。
    妹は、兄の出世のために、俗物根性嫌な奴、ラージンとの結婚を進めようとしている。
    この俗物根性野郎と、ラスコリ君が全面対決。嫌味と議論の応酬の末に決別。
    同時にラスコリの親友の「情熱家の良いヤツ君」が、妹に一目ぼれ。妹の守り神に立候補。
    この俗物君が、それなりに素敵な嫌味男で、これが「金の力」で迫ってくる。
    第2巻の中で、この男を最終的に妹が、完膚なきまでに袖にして、破談にする場面があって、これがなかなか溜飲が下がります。スカッとします。
    そこまでのストレスのかけかたと、破談の快感が、実に小説らしい魅力でエンターテイメント!

    殺人者になったラスコリ君は、罪悪感と疲弊感と猜疑心でぐちゃぐちゃになって、犯行現場を再訪してしまったり。
    警察に目をつけられて、ポルフィーリーという刑事には、「証拠はないけどお前が犯人だろ?」的な追い詰められ方。どきどきの心理戦。
    このポル刑事vsラスコリ君、手に汗握るありさま。
    読者としては、心神喪失で感情的になりがちなラスコリ君が「俺がやったんだ!」と激情しないか、ハラハラドキドキ。

    そして、「超人たる者は、目的の為には殺人もOKだ」という、ラスコリ君の「思想」も、暴かれて行きます。

    一方で、ラスコリ君とひょんなことから知り合った、極貧アル中の中年失業者のおっさんが、馬車に惹かれて、野垂れ死に。
    その葬儀の場で知り合ったのが、そのおっさんの娘で、娼婦に身を落とした少女、ソーニャ。
    このソーニャが、汚れても清らかで敬虔な少女なんですね。

    思想のバックボーンがあっての、確信的な殺人だったんですが、やはり罪の意識もぬぐえないラスコリ君。
    そして、司法の手におびえるラスコリ君。
    自分が殺人者だと判ったら、親兄弟は?親友は?...
    ラスコリ君は、自分の心の中では、自分はもう、死んでいるような状態。汚れて堕ちてぐちゃぐちゃなんですね。
    そんなラスコリ君は、同じように「娼婦」というところに堕ちて、「死んだ方がましじゃない?」という境遇でも謙虚で清らかなソーニャさんに惹かれます。

    2巻の終盤では、ソーニャさんに、新約聖書の「ラザロの復活」を朗読させるという場面があって、
    これがどうみても、筆者としては相当に「クライマックス」として書いていることが分かるんですが、
    キリスト教的な基盤が無い読者にとっては、悲しいかな、いまひとつピンとは来ません。

    なんだけど、そこでつまずかずに、「よくわかんないな」とスルーして読んでも面白いから、国境と言語を超えた名作なんですね。

    第2巻ではさらに、「スヴィドリガイロフ」さんという、やたらと濁点が名前に多いオッサンが登場します。
    このスヴィドリさんは、「ラスコリ君の妹さんが、故郷で家庭教師として働いていた家庭の主人さん」なんですね。
    そしてこのスヴィドリさんに、ラスコリ妹は言い寄られて、仕事を失って色々苦労しちゃってる。いわば仇敵。
    ところがこのスヴィドリさんが、どうにも「最終兵器」的なダークサイドの魅力をギラギラに輝かさせて登場します。
    もはやモラルも宗教も飛び越えた、「絶対虚無」というか、ニヒルそのもの、というか。
    これにくらべれば、ラスコリ妹に迫る「俗物君」なんてかわいいものです。
    そしてこのスヴィドリさんは、最早、「善玉」だか「悪玉」だか、表層レベルでは分からないくらい、悪魔的なんですね。すごいですねえ、ドストさん。

    刑事のポルさんは、頭脳明晰経験豊富に、ラスコリを自白に追い詰めつつある。

    ラスコリ妹に迫る俗物おっさんは、破談にされたけど、貧しい一家にまだまだ意地悪をしそう。

    娼婦ソーニャは、希望ゼロの最低負け組人生を清らかに生きて、罪悪感で潰れそうなラスコリ君の心の支えとなりつつあり、超ディープながら、恋、愛の予感。

    ラスコリ親友の「情熱的で良い人君」は、ラスコリ妹に惚れて惚れてしまって、うーん、この恋、応援したくてたまらない。

    自分の犯罪捜査と、妹の将来と、ソーニャを支えたい気分とで、大変に大忙しなラスコリ君の前に、スヴィドリ君が目的不明に表れた。

    たったの2冊で、これだけの人生模様と、格差の悪夢が濃霧のように立ち込める非情の町・ペテルブルグを描き切っている、ドストさん。
    たしかに、語り口は、くどいです(笑)。演劇的も言えます。
    強引な力技も目立ちますが、とにかく怒涛のように畳み掛けてくる、ジェットコースターのようなエンターテイメントでもあります。
    殺人。犯人を応援したくなるスリル。そもそも、「許されて良い殺人」とは?
    不公平で理不尽な格差と貧困の中で、どのように救いを見いだせるのか?
    たちはだかるコロンボのような味わいの名刑事。

    さあ、全てが決まる第3巻へ。

  • 解説がわかりやすい。

  • 本編4部まで読み終えて「恐ろしく面白い物語だな!」と思ったあとで巻末の解説を読んだのですが、これがとても理解の助けになりました。それぞれのキャラクターが持つ個性的な持論も解説してあり、また物語の至るところに散りばめられた作品解釈の鍵のありかも示唆されています。作品内で引用されている聖書のエピソードについても、ざっくりとですが解説があります。

  • 解説がとても丁寧で、今作は解説の助けを借りて俯瞰で読む方が私には合うのだろうと思った。
    でも、元々共感読書タイプなので、やはりどうしても登場人物達の目の高さで読みたくなる。
    そうするとね、うん、やっぱりね、ラスコーリニコフ平手打ちしたい。
    (3巻未読の感想)

  • もういまや本文については3巻まで読み終わってしまったので、ややはなしがどこまでだったかの区別はついていないのだが・・
    この2巻は、第3部と4部が収録されているのだが、ひたすら、罪を犯してしまったこと(というか、失敗したことへの、というのがあとで分かるわけだが)への苦悩と人への猜疑心・怯え、自殺等含めた今後の対処への逡巡、などがひたすらだらりと繰り返されるので、「こんな風に思うんだろうかねぇ」と興味深くもある半面、ちょっぴり中だるみして面倒くさくなる部分があることも事実。

    最後の解説によって、ドストエフスキー自体が、牢獄に長いこと入っていたことがある(彼が何か今で言う犯罪を犯したわけではないが、要は、思想犯だった模様。)ということが分かって、少しだけ納得した。

  • 10/2

  • 今月の4冊目。今年の6冊目。

    1巻を何年前に読んだか忘れていましたが、やっと2巻を読み終わりました。自身の知識不足もあり、解説を読んだけど、やっぱり内容の理解が深められませんでしたね。まあとりあえず読んだっていうだけでもなにかしらのためにはなると思います。

  • 2015年2月8日読了。

  • 2015年21冊目。

    ラスコーリニコフが過去に書いた論文が出回っており、そこにある「天才はその偉業を残すために凡人を踏みにじる権利を持つ、その義務すらある」という思想が一巻で展開された殺人の根底にあるものを映し出す。
    犯した罪を明かそうと決意するも、予審判事ポルフィーリーとのやり取りの中で自身の罪が“不当に”明かされそうになるとむきになってしまう。
    まるで「自白」にこそ美徳があるとしているように思えた。
    彼の犯罪はどう帰結するのか、三巻に期待。

  • 2015/1/8読了。
    段々と主人公の動機がしっかりしてくるとのことであったが、元々金がないという理由で殺してただけだと思っていたので後付け感があるというか無理矢理シリアスにしようとしているとしか思えない。あと一巻読んだらそれもまた違う感想になるのかしら?

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