罪と罰〈3〉 (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社
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レビュー : 91
  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751845

作品紹介・あらすじ

殺人を犯した者の詳細な運命がつづられる最終巻。ラスコーリニコフをはじめ、母、妹、友人、そして娼婦ソーニャなど、あらゆる「主人公たち」が渦巻きながら生き生きと歩き、涙し、愛を語る。ペテルブルグの暑い夏の狂気は、ここに終わりを告げる…。

感想・レビュー・書評

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  • 「『罪と罰』を読まない」をきっかけに今さらの初読。

    いやぁ、登場人物がしゃべるしゃべる。説明ゼリフではあるのですが、しゃべりのリズムが心地よくてグングン読めました。他の訳を読んでいないので比較はできないのですが、このリズムの良さは亀山訳のおかげでしょうか。

    読んでいるあいだ、演劇を見ているような感覚でした。いわゆる「静かな演劇」ではなく、演劇をあまり見ない人がイメージするようなザ・演劇。
    マルメラードフのお葬式の場面などはドタバタコメディの様相。
    台詞量もあるので、野田秀樹あたりに舞台化してほしいです。

    登場人物のキャラもいいので、冒頭に人物イラスト紹介つけて、ラノベレーベルから出して中学生に読ませたい。文豪だから読めじゃなくて、中二だから読めって感じで。

  •  世界文学の名作を亀山郁夫訳で。もっと抵抗感があると思ったが、予想外に読みやすい。文庫本としてのタイポグラフィーもちょうどよく、読み手にやさしい作りになっている。本作りには、こういう工夫も大事。

     この作品は、決して長い時間を描いたものではない(亀山の「解説」によれば、1865年7月7日から20日までの2週間)。登場人物も決して多くないし、その出身や背景も多様とは言えない。ストーリーとしては、要するに、自分の才能を誤解・誤認してしまった若者が殺人の罪を犯し、そのことに現実感を持つことができないまま、追いつめられて自白に至るというだけの話でしかない。だが、たしかにここには「世界」があり、「人間」がいる、と感じさせてくれる。坂口安吾は『吹雪物語』で、こういう作品を書きたかったのではないか?

     この作の持続を支えているのは、とにかく饒舌な人物たちのありようである。内言をふくめ、彼ら彼女らはひたすらよくしゃべる。言葉を口にする中で何事かに気付き、語られた言葉の断片が相手を動かし、追いつめていく。この物語に住んでいる人物たちの魅力は、こうした対話の言葉の圧倒的な質と量に支えられているのだ。
     
     〈選ばれし者〉の思想、善なる目的のための手段、肥大する自意識と周囲の現実との気が遠くなるほどの距離、思想と行動との乖離、圧倒的な貧困、饒舌な対話――。この物語には、「昭和10年代」の若手作家たち、〈青年〉たちの問題のほとんどが刻まれている。かれらの多くがこの作品にハマっていく理由もわかろうというものだ。

  • 海外小説の初心者としては、読み終わった直後は何もかも腑に落ちなかった。しかし、そこからひとつずつ、良心、罪悪感、罰といったものが意味するものを考えていくと、これまで歴史を学んでいても理解できなかった、信仰を持つ人々の感覚や行動心理が少しずつ自分に近づいてきて、どんどん目から鱗が落ちていって、なんだかものすごく面白い作品なんじゃないか、という気持ちに襲われてきた。
    きっと慣れてきたら、読むことと考えることを同時進行できるようになって、読んでいる最中から面白くて仕方なくなるんだろうな、と思う。

    小説が、ノンフィクションや学術書よりも現実世界を理解させてくれることがある、と実感させてくれた一作。しかし読みこなすまでの道のりは、果てしなく遠い気がする。

  • 自分は凡人の権利を踏みにじることが許される天才側の人間だと思い込むことは罪ですか。
    英雄気取って流した血に、自分は只の凡人でしかないと気付いて絶望し葛藤し苦悩するのは罰ですか。
    そんな現実に、精々傷ついて頭を冷やせばいい。
    ラスコーリニコフには、彼をするソーニャがいて、彼を心配する家族がいる。
    そんな平凡な幸せがすぐ傍にあるのに‥。
    人を殺めた罪が消えることはないけれど、然るべき罰を受けることは無駄じゃない。
    私にはまだ難しくて理解しきれていない気がするから、いつかまた必ず再読します。

  • 原書名:Преступление и наказание

  • 殺人を犯した罪もその罰の意味も分かっていなかったラスコーリニコフがエピローグでようやっとその意味を理解する、そこに至るまで本当に長かったですが読んで良かったと思えました。

  • 言うまでもないが、人類史上最高の小説のひとつ。
    新訳なので人名がごっちゃにならず読みやすかった。海外文学が苦手な自分でも読みだすと止まらなかった。
    「ひとをなぜ殺してはいけないか」という答えがここに示されている。人間の良心に訴える名作。人生に迷ったときにもういちど読み直してみたい。

  • 構成、スケール、テーマ、どれもとても大きい。世界的な文学作品といわれることはある。キリスト教的な愛を描いているが、もっと不変的な愛について考えさせられる作品である。 これを読んだあとに、筋肉少女帯のこれでいいのだも聞いて欲しい。

  • 最後まで読んだところで、しまったー!と思った。
    これは改心完了して終わる話ではなくて、改心の入口に立つまでの話だったのかー!!
    そう思って読めば、間のイライラも軽減された気がする…。
    まあ、多分それでもラスコーリニコフはビンタしたいと思うけど…。
    ラズミーヒンは好きだし、スヴィドリガイロフは彼についてだけ一作にまとめて欲しい面白さだった。
    他の登場人物も、それぞれのエピソードは面白く、正直、ラスコーリニコフがいないところが楽しみだった。

  • この長い小説がたった2週間(14日間)の出来事であることに驚きつつ。
    まぁ、こんだけ内面綴ればそうなるか、と納得もしつつ。

    ここで語られる、人を殺すのが悪いことなのか?という問いかけには、ある意味賛同するものがあります。
    私は、「権利がある」とラスコーリニコフが考えるような選民思想的な考え方は一切ないけれども、結局、殺人=罪というのも、今のこの瞬間の社会が決めたルールに過ぎないよな、とは、実際思います。
    常にその思いは消えない。
    このルールは誰がつくった?っていう話ですね。
    大部分の人にとって気持ちが良いし、楽に生きるために必要だから維持されるルールだけど、それを納得できない人にとっては、別に殺人が「いい」とか「悪い」とかいう話ではないんですよね~。
    単に、行為と社会的罰則が存在するのみ。

    そうぃう意味では、一部、共有します。

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