ジーキル博士とハイド氏 (光文社古典新訳文庫)

制作 : Robert Louis Stevenson  村上 博基 
  • 光文社 (2009年11月10日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751951

ジーキル博士とハイド氏 (光文社古典新訳文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 表面では立派な性格を持ったジーキル博士が、一方ではエドワード・ハイドという残虐な殺人鬼としての顔を持つ話は有名だが、改めてこの短編を読んでいてまるで小さな推理小説のようにも思えた。
    しかし、私が最もそそられた点は「ジーキル博士の事件の全容」の告白である。
    彼の苦悩はまさに宗教的なものであり、自分は二重人格であることを認めてさえいた。まるで「聖闘士星矢」のサガのようである。
    薬を飲んで、著名な学者であるジーキル博士の肉体を脱ぎ捨てエドワード・ハイドの肉体を身につける。そしてそれが彼にとっては愉快であった反面、自分を苛んでいたのはもはや絞首台の恐怖ではなく、ハイドであることの恐怖であった。

    これはこの小説のジーキル博士だけでなく私たちにもある種言えることだろう。私たちは顔を使い分け、一部では善人を演じ、一方ではとてつもない悪人になり、かつそのことを知り、良心に苛まれている。特に匿名であればあるほどそうだ。

  • 誰もが知っている、ジキルとハイド。
    でもだからこそ読まれることは少ないという稀有にして不憫な本作に、時間があるうちに挑んでみました。

    映画などで形作られているハイド氏とはかなり異なる容貌に驚き、ひしひしと伝わるジーキル博士の苦悩に考えさせられます。
    自分の中にいるもう一人の自分、それを解放したときに待っているものとは?
    本来の自分とは一体どちらなのか。

    引き込まれる作品です。

  • 二重人格を意味する慣用句「ジキルとハイド」はよく使われるが、話そのものを読んだことはなかったので。平易な訳だからつかみとして優秀。

  • タイトルをワードとしてはよく耳にするものの、原作を読んだことがなかったので読んでみようと手に取った。物語は長くはないが、濃度の高いものだった。誰しもが自身の中に二面性(ないしは多面性)を感じることがあると思うが、それを分離しようと思うに至り、かつそれを実現する薬を見つけたジーキル博士は確かに狂気じみていたのかもしれない、一方でとても現実的にも感じられた。薬は決して魔法の薬ではなかった。二面性の分離は長くは続かない。切り離すのではなく、きちんとしたコントロールの下、どう折り合いをつけて生きていくのかということを考えさせられた。

  • もはや有名すぎて読む人が少ないと前書きに書かれている通り、私も名前とあらすじしか知らなかったので読んでみました。
    一章読んだら眠れなくなるほど、続きが気になります。
    短編なのですぐ読めるため、時間がない人も是非読んでみてください。

  • 『ジキルとハイド』…善と悪、二重人格などなんとなく知ってたけど、改めて物語をちゃんと読んでみた。
    印象としては、2つの人格という単純な二面性じゃなくて、ハイド(悪)はジーキル博士(善)が普段は抑えている願望のようで、ある意味ハイドの方が素の人格のようにも思えた。
    だからジーキル博士が単純に善に見えなかったし、人ってみんなそういうものかもしれないなぁと。

  • 怪事件の結末に向けて頭がグチャグチャした。
    ラニヨン医師の死ぬシーンなどは特に薄気味悪かった。

    ただ、ジーキル博士の告白するところには、
    様々な欲望に葛藤して悶えている姿が、自分も含め、どんな人にもあると思う。

  • ずいぶん昔に原書を読んで以来ご無沙汰だったので、和約で読んでみることに。
    ハイド氏の狂気やアタスン氏の恐怖や苦悩など、あたかも読み手がハイド氏を目の当たりにしたかのような嫌悪感を抱かせるため、訳者さんが努力されたであろうと感じました。
    広く知られる「ジキルとハイド」だからこそ、きちんと読んでおいてよかったと思う作品です。

  • 古典の名作である。
    子供の頃にアニメか映画では観たことあったが本は読んだことなかった。
    スティーブンソンが最近当たり気味なので読んでみたのだが何とも言えぬ後味になった。


    用は構えすぎたのだ。
    人間誰もが持つ二面性を象徴的に表した深さを書いているのかと、私はかんがえていたのだが、ところがどっこいこの作品は本当に変身ものなのだ。
    いや、とは言えその人の中にある表の人格に対を成す存在として容姿ごと変化するのだが。
    実際の己とは繋がらない容姿すら得られるのだから、畏れもなく残虐や非道な行動を取られる。
    そりゃたのしいさ。
    しかしそうしてのめり込んで行くうちに現実の己との境目が曖昧になり浸食されて行ってしまう。
    でもよく考えてみたらスティーブンソンの描く物語にはそう言った深さはいつもない。
    この人の物語はいつもそうした紛らわしをしないのだ。率直に物語で読者を楽しませる。正しいのだろう。
    そして、よく聞く話とは言うことなかれ、この物語こそそれらの物語のおおもとなのだ。
    視覚的にみた方が面白さはある物語だと思う。
    特にジキルとハイドを同じ俳優が演じる場合には特に、

    にしてもスティーブンソンってほんと多方面に物語を展開できる希代のストーリーメイカーだなって思うわ。
    また他の作品もよみたいな。

  • ジキルとハイドとはこういうことだったのかぁ。

    人間の心とは複雑なもので、決して平面的に見られるものではないってことか。
    立体的だから、どこか一カ所の側面ばかりに重心を置いたら転がっちゃう。
    その正反対の自分と向き合わないと、バランスがとれない。

    善人と悪人は表裏一体かもね。

    自分でも信じられないくらいの汚い部分があるから、それを発散させることで善人である自分を保っていられるのね。
    つまり善人でいるには、自分の汚い悪人の部分もちゃんと知っておく必要がある。

    …じゃあ善人代表のキリストが人間だとしたら、自分の邪悪な側面をしっかりわかってるってこと?そうじゃないとおかしいもんね。人に説法するくらいだし。。。(´ _`)
    完全なる善人はオバケだな。

    とってもそれが分かりやすくて、同時にミステリーとしてワクワクしながら読めた。
    メッセージ性が強い。

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