嵐が丘〈下〉 (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社
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本棚登録 : 416
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752002

作品紹介・あらすじ

ヒースクリフはリントン家の娘イザベラを誘惑し結婚する。一方、キャサリンは錯乱の末、娘を出産して息絶える。キャサリンの兄ヒンドリーもヒースクリフに全財産を奪われてしまう。ついに嵐が丘を我が物としたヒースクリフだが、その復讐の手は次の世代へとのばされていく。

感想・レビュー・書評

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  • この数か月、本は読んでも週に2、3日、一度に消化するのは多くて30ページ、というていたらくだったのに、本書の最後200ページは一晩で読んでしまった。160年以上前に書かれたとは思えないくらい鮮やかでためらいがなくて、しかも面白かったその理由を一言で説明できない。推理小説仕立てなところ、南米文学的過剰、純粋な復讐心、語り手の小市民性がもたらす安心感。しかしこれは恋愛小説だろうか? ヒースクリフはキャサリン1世に対する執着で鬼になってしまった。鬼になったまま人間に戻れなくなるようなことの原因が愛であってよいものか? しかし自分が恋愛やら愛やらをどう定義しているのかはっきりさせなくては、これらの問いに答えを見つけるための思考の方向も見つけられそうにない。ページをめくり終わっても読み終わらない本だ。

    登場人物たちの名前がかぶさりすぎている点については、もう少し考えたい。意味がないとは思えないから。

    どの翻訳で読もうか迷っている人へ。この小野寺健訳は読みやすいです。人間が生々しいし、感情の揺らぎが伝わってくるような柔らかさがありました。

  • 英文学の講義を取っている。課題その2。

    『嵐が丘』は子供向けにリライトされたものを読んだことがあって、キャサリンとヒースクリフの恋愛小説だとずっと思っていた。
    のだが。
    これ、恋愛小説?
    二人の間にロマンティックな感情が介在するようにはとても思えないのだけど。いや、確かに強靭な絆は存在していて、二人は互いに互いの片割れという唯一無二の存在なのだが、その関係性が「あらかじめ与えられている」ように見える。いつから、なぜ、彼らがこれほど強く結びつくようになったのかが全く不明なのだ。恋愛小説の重要なファクタとして恋人たちの関係性の発展を描くという面があるはずなのに、そこんとこはまるっとすっぽ抜けている。常人の理解を超えてどこまでも惹かれ合うキャサリンとヒースクリフは、なんだか人間のように思えなかった。

    さて、一旦気づいてしまうと、ほとんどすべての登場人物が人間とはかけ離れた動きをしているような気がしてきて困る。聞くところによると、『嵐が丘』は登場人物の誰にも感情移入できない名作として名高いらしい。それも頷ける。これでもかとばかりに強烈な喜びや憎しみが描かれるのに、その感情の発生メカニズムがほとんど見えてこないのが不気味でならない。奇妙な隔絶感をずっと感じていた。

    下巻に入ると、第二世代が登場する。第一世代と同じ名前と気性を受け継いだ子どもたち。相変わらず行動原理がよく分からないままに愛し合い、憎み合う。与えられた人格が永遠に固定している。持ち主のいない激情の塊がただ飛び交う様を見せられているようで、だんだんと当てられてくる。疲労困憊しつつ終わりを見届けた。


    私には最後まで、ヒースクリフのことが分からなかった。ただ何か大きな恐ろしいものが滅びるのを見た。

  • 2021.04.04
     上下巻を通してなんと陰鬱な内容
    下巻はいつまでも続く同じような感じに飽き飽きした
    最後、展開に明るさが見え流れが変わってきたけれど、
    やはりまた....

  • やっと読み終えた〜!
    2時間くらいで読めるだろうと思ったのに、読み進めるのが辛くて時間が掛かってしまった。読了して、なんだか精神が削られたような気分です。
    ただの恋愛物語、復讐物語ではなく、色々と考えさせられるものがありました。
    キャシーとヘアトンの愛情が、幸せが、永遠に続きますように。

  • 人間の心の底のマグマが描かれてはいる。ただやはり解説の内容から忖度しても、それは母国語で読んでこそ伝わってくるマグマであり迫力なのかもしれない。

    非常にこなれた訳で読み易くはあるが、まどろっこしく無駄なセンテンスも多くあると感じてしまうのは、私だけだろうか…?傑作と呼ばれる小説ほど、長編であっても無駄なセンテンスが一切無く、繰り返し読めば読むほどに「この箇所はこういう意味、役割を担っていたのだなぁ…」といった発見があるものだ。
    そして何より、初回に読み終わった時の衝撃といったら、計り知れないものがある。

    そうした衝撃は、あまり感じなかった。

  • 社会生活を送る上で普通の感覚の人間なら隠そうとする部分を全てさらけ出してぶつけ合う人間達の物語、という印象を受けた。意外なハッピーエンド。

  • ■ほかの訳も読んでみないと最終的に結論を言うことはできないんだけど、でも、イメージしてたよりもずっと「恋愛モノ」じゃなかった。いま私たちが言うところの「恋愛」とは違う。さらに、キャサリンとヒースクリフの間には身分差があるけど、社会的な問題提起をした小説でもない。
    ■キャサリンとヒースクリフの「愛」って、小学低学年ごろから二人で冒険や悪戯をしてきて、「こいつとは、同じことを同じように楽しめるし、同じことを嫌悪できる」っていう、ほんと「一体感」。この感じって、いわゆる恋愛とは違う。この二人の会話シーンも大人になってからも全然艶っぽくない。キャサリンが出産してそのまま死んじゃう前日まで、怒鳴りあってるし(笑)。
    お互いにお互いが孤独にならないための最高の「伴侶」なんだけど、でも「ベターハーフ」ではない感じ。 生活とか社会とかそういうものの上にうまく乗らない。キャサリンの結婚相手の選択は順当だったのは確かなんだよね。ヒースクリフとキャサリンが結婚しても、のたれ死にそう。
    ■私はこの物語って、閉じこもり気味の生涯独身の女性が、想像力(妄想力?)だけで描いた、恋愛ドロドロ劇…なのかと思い込んでたんです。でも違った。 これはむしろ恋愛(性愛)経験少ない人だからこそ描けるお話だ…。
    ■あと、最後まで読んでみてはじめて、ケイトブッシュの同名曲がほんとに名作だとわかった。小説ではわれわれは語り手のネリーの主観からキャサリンとヒースクリフをうかがい知ることができない。(だからこそ、二人の絆が強調される)けど、この曲の歌詞はヒースクリフの目に映るキャサリンなんですよね。小説では入れなかった二人の世界に踏み込めるワクワク感とか感動があるんだ…と、ハラに落ちた気持ち。

  • 嵐が丘と言えば、ロミオとジュリエットのような、お互いの家柄とか立場とか国境とかが壁になって、心やさしい男女が、相手を思いやりながらの恋愛小説と思ってました。完全なるロマンス。甘々。
    それがまったく違ってて、苛烈極まる小説で、恋愛小説というよりもサスペンスホラーみたいな感じです。サスペンスはさておいて、ホラーです。

    下巻の途中あたりからやっと、ヒースクリフが好気になりかけてきました。
    視点が第三者という事がこの小説のいい所でもあり、主人公を好きになれない駄目な所でもあると思います。ヒースクリフ視点だったらもっと違っていて、彼を好きになれると思います。
    家政婦から見たヒースクリフは極悪非道の男としか映りませんが、最後あたりに見せる、キャサリンの影を見つめるヒースクリフの傷のような愛情を感じ取る事が出来て、やっと気持ちが分かるようになったというか・・・。

    とにかくこの小説は辛い、ほろ苦い、切ない。つんけんばっかりした人ばかりだから、素直になってしまえばいいのに・・・という場面が多々ありました。
    どうしてこの小説が出版された時、厳しい評価を受けたのか分かりました。これはあまりにも過激過ぎた。

  • この訳が良かったのか、大人になってから読んだからなのか、子どもの頃なんだかよくわからなかった「嵐が丘」という小説が、非常によくわかりました。
    大キャサリンとヒースクリフの決定的な擦れ違いが悲劇を生んだのですね。しかも結局キャサリンは何が悪かったのか生涯分からないまま死んでしまったわけで……
    それと、個人的にはネリーとヒースクリフの間にも、お互いにしか分からない奇妙な縁があったのだな、と思いました。

    そして、この本を人に紹介する時は冗談めかして「リア充爆発しろと滅茶苦茶やった男が結局リア充に負ける小説だよ」とか言ってます。いやすいません。実際キャサリン・リントンとヘアトンが仲良くなっていってヒースクリフが心かき乱される終盤は笑うとこでもないのについニヤニヤしながら読んでました。ほんとすいません。

  • 愛か憎悪か。より深淵な感情が物語を衝き動かす。英国北部の広大な二大豪邸に道徳と教養を奪われた無法者が放たれる。禍いは明らかだ。自然美溢れる丘陵地帯を舞台に荒れ狂う魂が躍動する。獰猛な恋慕に終焉は無く、未だに奥底で燻り続けている。

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