悪霊 (1) (光文社古典新訳文庫 Aト 1-11)

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  • Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752118

作品紹介・あらすじ

最近わたしたちの町で、奇怪きわまりない事件が続発した。町の名士ヴェルホヴェンスキー氏とワルワーラ夫人の奇妙な「友情」がすべての発端だった…。やがて、夫人の息子ニコライ・スタヴローギンが戻ってきて、呼び寄せられるように暗い波乱の気配が立ちこめはじめる。

感想・レビュー・書評

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  • 序盤はヴェルホヴェンスキー氏とワルワーラ夫人の不思議な関係が淡々と描かれていくだけで、一体なんの話かよくわからないまま物語が進んでいく。
    ぶっちゃけ、終盤に入るまではちょっと退屈だった。

    しかしドストエフスキー本人の言によれば、これは「罪と罰」「白痴」と順当に執筆経験を重ねたうえでの、満を持しての展開ということらしい。

    たしかに中盤以降、ワルワーラ夫人の愛息ニコライ・スタヴローギンの不気味な存在感がじわりと増してくるに従い、思わず惹きつけられる箇所も増えてきて、なんだか底知れない「悪のクロニクル」の予感を漂わせてくるのはさすがといったところ。

    その横に並ぶピョートルの「二流の悪」ぶりも、いかにもヴェルホヴェンスキー氏の息子といった感じの小物感で良い。
    リザヴェータやマリヤのような、どこか狂っているかのような女たちも怖い。
    総じてみんな、何をしでかすかわからない危うさ。

    このピーキーで破滅的な、作家の制御がまるで効かない(作家のほうでも制御する気はない)キャラこそがドストエフスキーの面白さの真骨頂だと思う。
    破天荒なキャラでもどこかきっちり管理されている感のあるトルストイの小説とは、ここが決定的に違う。

    巻末解説によると、これからバンバン人が死んでいくそうな!
    果たしてどんな展開を迎えるのやら。

    感情のない絶対悪が出てくるノワール的なお話って他に何があるだろうと考えたら、東野圭吾の「白夜行」をすぐに思い出した。

  • 文庫本の栞に書いてある『主要登場人物』を、多分300回くらい見たと思う。亀山郁夫さんは人名呼称を随分とシンプルにしてくれてるらしいけど、聞き慣れない長い名前を覚えるところがいつもしんどい。。
    前半ダラダラ、第一部第五章から物語が一気に加速を始めたところで、第二部へ続く。
    150年前にこんな超長編書いてるって、ロシア人すげえなあ。(ほぼドストエフスキー個人の凄さだろうけど。)
    ドストエフスキー本人がよく使う『ロシア的なもの』の意味が、掴めそうで未だ掴めず。残る二冊を読み終えた時に見えてくるか?

  • むかし手に取った時は、途中から何読んでるのかさっぱりわからなくなるほど、話が全く頭に入って来ず。
    一巻の途中であえなく断念。

    中村文則のエッセイ読んだことをきっかけに(バーの帰りに女の子の家にまんまと遊びにいけたのに、悪霊の続きが気になって仕方ない中村文則は、二兎を得ようとして女の子の部屋でモリモリ悪霊を読み進み、結局女の子との間には何も起こらず朝を迎えた、あの悪霊)、そんなにおもろいんかともう一度チャレンジ。

    2回目手に取った今回は、あら、こんな話でしたっけ?
    と思うほど、一度目の私のおぼろげな記憶にあった話とは全然違って、驚くほどスイスイと面白く読みました。
    一巻の終わりまで難なくたどり着き、読書ガイドを読んでからは火がついた!
    革命好きのあたしとしては、どうしても最後までたどり着きたい物語として認知した。

    最後まで読んで、感想としては、それでもまだ今の私向きの話じゃなかったということ。
    映画をたくさんみると、話なんか関係なく、この映画見ていたいと思える映画に出会えるようになるけど、
    この本もきっとそういう本なんだと思った。
    もっとたくさん本読んで、それでもっかい読んだらいつか、その豊かさが分かりそう。

  • 以前別の出版社のものを読もうとしたら訳が馴染めず序盤でリタイヤしてしまったけど、こちらは読みやすい訳なので読みきれた。
    この訳者の訳は批判されることもあるようだけど、細かいところは一旦おいておいてまず読みきることを前提とするなら一番向いてる気がする。
    しおりに登場人物表もついてるのでわかりやすいし。

    それでも後半までは話があまり進んでる感じがしなくてしんどかったけど、キリーロフの話は引き込まれるものがあったし、終盤やっとスタヴローギンとピョートルが登場してからは展開が気になって楽しく読めた。
    ここからだいぶ話に勢いがつきそうな気がするので2巻も楽しみ。

    (2024/01/22 再読)

  • 第一巻を読了。どんな話へと展開するのか気になる。

    ロシア文学は登場人物の名前がやたらと難解だ。そのせいで幾度挫折したことか...(この感じ、分かりますよね?)でも、本書には、登場人物をまとめた栞がついているのだ!少なくとも、今まで見たなかで、こんな便利な栞をつけているのは、光文社古典新訳文庫しかない(本格的に調べてないから、他はよく分からないけど)。本当に有り難いです。

    青木先生の実況世界史で本書が紹介されていた。確か、暗い話なので受験生は読まない方がいい、といった文言がついていたはずだ。それにビビって今まで読まず飛ばしだった。いま現在もある意味受験生ではあるが、読んでしまいたい。

  • いつものことながら登場人物を覚えるのが大変!

  • 俗悪と悲劇を結びつけるために多大な労力を要したであろう作品であり,構造を把握するだけでも複数回読まねばならないことは決まっている。その中で訳者による解説は心強い。

  • 読み終わりはしたけれど登場人物の関係性を正確に把握できているかどうか自信がない…やっぱりトルストイ文学は難しい。この話は実際にモデルになった事件があるのだとか。登場人物全員が一癖も二癖もある人物。物語の終盤ワルワーラ夫人の息子ニコライとヴェルホヴェンスキー氏の息子ピョートルの帰還したことから物語はやっと急展開を見せる。ワルワーラ夫人とヴェルホヴェンスキー氏の関係の行く末、ニコライとリザヴェータ、マリヤ、ダーリヤそれぞれの女性達との関係、ワルワーラ夫人がダーリヤをヴェルホヴェンスキー氏に嫁がせようとするその真意…物語の随所に謎が散りばめられており目が離せない。

  • (Mixiより, 2011年)
    世にも名高いドストエフスキーの名作。一読した感想は、大変難しかったです。ここまで複雑に入り組んだ、(そして本音がなかなか表に表れない)密度の濃い小説があるんだ、と感心しきりです。自分の文章処理の能力の低さを思い知りつつ、この本を理解できるようになりたい!ってのがまた一つ目標にもなり得たというか。まだまだ話の概要は掴めていないのですが。わからないなりに若い登場人物が大変魅力的だと思います。ドストエフスキーの描く大変「饒舌な」人物像が大好き。感情の高ぶりはその飾らない言葉で、怒濤のごとく表現される。普段はもの静かで、奇妙な行動をとるシャートフなんかが滔々と語り出すシーンの高揚感はたまらないと思う。

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