- Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334752163
作品紹介・あらすじ
天才科学者フランケンシュタインは生命の秘密を探り当て、ついに人造人間を生み出すことに成功する。しかし誕生した生物は、その醜悪な姿のためフランケンシュタインに見捨てられる。やがて知性と感情を獲得した「怪物」は、人間の理解と愛を求めるが、拒絶され疎外されて…。若き女性作家が書いた最も哀切な"怪奇小説"。
感想・レビュー・書評
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フランケンシュタインは怪物の名前ではなく、怪物をつくった博士の名前。怪物に名前はない。
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1818年の作品
200年前ですよ!
圧巻!
そりゃあ残るわ、200年残るわ
そして間違いなくこの後の200年も残るわ
名作過ぎて震える
圧倒的に面白いのねこれに尽きます
そしてとんでもなく読みやすかった
訳者の小林章夫さんの力量に脱帽です
ご本人も触れていましたが、古典ものにありがちな注釈を極力廃して、本文の中で片付けようとしてるところがこの読みやすさに繋がってるんだと思う
ほんともうありがとうね
ありがとう『光文社古典新訳文庫』!
はい、本編!
やはりいろんな捉え方ができると思うんだけど、闘いよね
もう「苦悩」VS「苦悩」の闘い
怪物を生み出してしまった「苦悩」と怪物として生み出されてしまった「苦悩」の闘い
途中不幸自慢みたいなことにもなっとるけども
そん中で結局「人間」てなんなのよ?って考えさせられます
わいはこの不幸自慢に生み出した側の天才科学者フランケンシュタインの「身勝手さ」みたいなんをずっと感じていて腹立たしかったんだけど、この「身勝手さ」こそ「人間」なんだなとも思うわけね
今世界を悩ます問題の多くは「人間」の持つ「身勝手さ」の現れであるんじゃないかな〜って
この世界には多くのフランケンシュタイン博士が住んでいて、その「身勝手さ」が戦争や差別や環境破壊みたいな「怪物」を生み出している
そして最後にはこの物語と同じ結末を迎えるじゃないかな〜って思ったりします
結末?知りたかったら読んでみればいんじゃね?-
2024/01/16
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これ書いたのってまだ若い女性とかじゃなかったっけ。
初めて書いたのがこれって、天才すぎるわ。
いや、読んでないけどね。
BSとかで何か...これ書いたのってまだ若い女性とかじゃなかったっけ。
初めて書いたのがこれって、天才すぎるわ。
いや、読んでないけどね。
BSとかで何か観たきがする。2024/01/16 -
2024/01/16
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200年前の作品とは思えないプロットと壮大なテーマを扱う作品ではある。怪物が科学者の下に現れ、それまでの出来事を語るシーンまでは物語にかなり引き込まれた。しかし残念ながら作品の序盤で語られている最悪の結末に向かっていく路線が完全に見えた、作りかけていた怪物の伴侶を壊したあたりから作品への興味を失う。友人クラーヴァルとの旅行シーン等話の筋から脱線する感情描写に加えてや科学者の延々続く疲弊描写に退屈した。話の核となる怪物の語るエピソードが思慮深く興味深いし、感情移入するが故、怪物に寄り添えない科学者の偏見と稚拙な行動に興ざめしてしまう。
とはいえ、悲劇的ラストにしなければ凡作に終わった気もするが。
科学者の行動に正当性をもたせると共にもう少しスピーディーな展開を望みたいところ。
良い点をもう一つあげるならとても読みやすい文章であったこと。これは訳者によるところかもしれない。 -
初は、探検家の手紙から始まる。
探検家がフランケンシュタインに出会い、その話を書き記すというのが序盤だった。
正直、出だしは全く惹かれない。失敗したかなと思った。
探検して、氷に阻まれて進まない……なんだそれ。と。フランケンシュタインの語りも、最初は人が次々に出てきてよく分からない。でも、怪物が出てくるあたりから面白いと思い始めた。
最終的に怪物が、いろんな人を殺し続ける……という狂気に陥るのだけど、ちゃんと堕ちていく過程が描かれているので、共感しやすい。で、思う。
これ、毒親と毒親に育てられた子供の話じゃないか。……そーいえば、名著でも、そんな話があったような…なかったかな。
愛情を注がれない事がどれだけ人を、歪に変えていくのか。
怪物と言われるものも、最初は『何も分からない無垢なるモノ』
その見た目から、周囲に怯えられて迫害されて、どんどん狂気を育てていく。
フランケンシュタインの『生命を作りたい』という感覚には一切、共感できないケド。
でも、『生命を作りたい』は普通に考えれば、大半の人が『子供をもつことが幸せ』と考えてるのと同じものなんだろうなと思う。
それらも含めてやっぱり『毒親(親になれない親)』の話なのだろうなと。
最終的に怪物は、創造者であるフランケンシュタインを憎んで、周囲の人を殺していく。そして、最後に創造者に「自分を追いかけさせる」ことにする。怪物を追いかけて殺す事がフランケンシュタインの役目になる。
なぜ、怪物はフランケンシュタイン(創造主)を殺せないのか。というのも『親だから』の一言に尽きる。
最後にはフランケンシュタインは怪物を殺すことなく、死んでしまう。
怪物も一人で誰もいない場所へ行って、死ぬことに決めて物語が終わる。
殺し合うほど憎み合いながら、殺すことは出来ない。
怪物といわれるものを作った後悔はあっても、怪物にしてしまった後悔を持つことがないフランケンシュタイン。なんていうか……あまりにもリアルな毒親家庭の図を読まされている気分になった。最終的に怪物は『自分だけを追いかける親』を手に入れている。
子供が必死で自分だけを見てと言うのと同じだな……と思いながら読んだ。
最初に戻る。最初は探検家の話だった。
探検家の方は探検を諦めて帰る……というオチになっていた。
そして、探検家には帰りを心配している家族がいる。平和で幸せな探検家の家族と、憎しみと恨みで拗れた家族。
その対照が、ますます怪物とフランケンシュタインの影を際立たせているのかな。 -
自分のイメージするフランケンシュタインは、漫画「怪物くん」の主人公の従僕「フランケン」である。なんの映画か覚えていないが、「フランケンシュタイン」が雷の電気を注入して生を得るというのも記憶にある。しかし、原書では怪物を指すのでなく創造した学者、しかも若い人物の名前だった。ホラー小説というより、社会性、孤独の悲しさの面を感じた。犯罪者の一部にもかような人がいて、社会に馴染めず、社会から疎外され、自暴自棄に陥る。どのように矯正させるか、受け入れるかも長年議論されてなかなか進んでいないかのようにみえる。2023.6.25
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大学の授業のために読了。
正直読んで明るい気持ちになる本ではないが、とても考えさせられる内容だった。
この世に完全な悪は存在するのだろうか。
この物語を読むと、全てのことにはなにか理由があるのではないかと思ってしまう。
自分の考えと反した考えを持つ人を敵とみなしてしまうのは仕方がないことだが、人と人とが分かり合うには、難しくとも話し合いの後にお互いが妥協をすることが大切なのではないか。
普段の人間関係を考え直す良いきっかけにもなった。