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- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334752361
感想・レビュー・書評
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真面目な中年男性が小悪魔的な少女にあらぬ思慕を抱いた揚句破滅への旅に向かう・・・というプロットはまさに「ロリータ」。ロリータの原型にしてナボコフが初期にロシア語で書いた作品というのが興味深い。ナボコフはこのテーマがよほど気に入っていたのだろう(笑)マグダの蠱惑的な悪女ぶり、クレッチマーが蟻地獄のようにトラップに嵌っていくどうしようもなさを、実に巧みで緻密に描写しており、「うーん巧い」とうならされる。
タイトルが示しているように視覚がポイントとなっているようだ。クレッチマーはマグダとの旅の途中で事故に遭い視力を失う。マグダの愛人との奇妙な3人同居生活を強いられていることに気付かない。このあたりの設定の分かりやすい「いかにも」感は、面白いがナボコフの若さでもあるのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示