- Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334752415
作品紹介・あらすじ
ダーシーの屈折した恋の告白にエリザベスは反発した。だが、ダーシーの手紙で己の誤解に気づき、数ヵ月後の思わぬ再会で彼への感情は変化していく。そこへ、末妹の出奔、彼の叔母君の横槍が…。恋のすれ違いを笑いと皮肉たっぷりに描く、英国文学の傑作、決定訳登場。
感想・レビュー・書評
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結論から言って、むちゃくちゃ面白い内容でした。
当時のイギリスの階級制度など、基礎的な知識はあった方が楽しめますが、なるほど人間関係のいざこざは100年以上経っても変わらないものなのだな、と改めて思いました。
『傲慢と善良』から、内容が気になっていたので読んでみましたが、前半は、自分には合わなかったのか、正直なぜ名作と言われるのかわからないほど退屈でした。
まず登場人物が多いのと、人間関係がなかなか複雑で、行きつ戻りつ読みました。
しかし、後半部、いや、前半部の最後の手紙から物語は一気に面白い展開に。
内容を話すとネタバレになりますが、偏見というものはなかなか消えないもので、それは自分に自信があればあるほど、間違いに気づかなくなります。
ただの恋愛小説ではない、人間模様の複雑さや、自分が他人を見る目は、曇っていないだろうかという戒めは、ミルフィーユのように、一冊の中で重厚感を持って読者の口へと運ばれていくように感じられました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
続きが気になって(きっと恋は成就するのだろう、と結末は想像できるにもかかわらず)一息に読み切ってしまいました。
このあたりの「魔力」は上巻でも感じた通り、まさに韓国ドラマを見ているようでした。
姉の恋愛を邪魔し、憧れていた人の前途をつぶしたと思っていた憎い相手でしたが、そのことが勘違いだと気づいたエリザベス。ダーシーが自身に寄せてくれた好意をむげに断ったことを恥じていましたが、思わぬところで再会したこと、またその時のダーシーの態度が今まで以上に好意を寄せるものであったことを受けて、いつしか想いを寄せるようになります。
しかし、ダーシーの因縁の相手と末の妹が駆け落ちをしたり、強大な権力を持つダーシーの叔母がエリザベスとの交際に反対したりと、次から次へと恋の障害が立ち上がるところにはやきもきさせられますし、互いの想いが成就するところ、これまでの障害が一気に解決する様子は読んでいて爽快です。結末もそれぞれのキャラクターの個性が十分に発揮されたもので、説得力がありましたし、なにより読後感が充実していました。
今でも人気が出る恋愛ドラマの原型が、すでに1813年に作り上げられていたのかと思うと、驚くばかりです。 -
ふとこの登場人物たちの中での高慢度ランキングを考えてみた。レディ・キャサリンは、まあ、当然。お生まれ、お育ちのおかげ。だが、実はミスタ・ベネットがかなり高位になるのではないかな。
彼の心情はどうやら「馬鹿は嫌いだ」。妻の頭が空っぽだったと気付いた時(そんな女性をつかまえたのは自分なのだから責任は自分にあるのに)、彼は見事に妻を無視することにしたらしい。一方、娘、エリザベスが自分の知性に応えてくれると気付くと、彼女だけを対等に扱い、やはりほかは無視(まあ、ジェインはそうでもないようだけれど)。エリザベスのすぐ下の妹、メアリが本や音楽にかじりつき、結果空気読めないちゃんになってしまったのは、もしやそのためでは、とも思われる。彼女もそこそこ知性がありながら顔立ちが今ひとつ。母親の愚かさを知っているのに、尊敬する(?)父の愛情は姉に集中。としたら、学問で父親を振り向かせる以外にないじゃない!
さらにその下の娘たちにいたっては完全放任。
かくしてベネット氏の老後は、たとえ娘を訪問する楽しみができたとしても、いささか索漠としたものになったのではないだろうか。
以上ひねくれた読み方をしてみました。 -
オースティンの面白さを、正確に表そうとすると、なんだかう〜んと唸ってしまう。面白さ、と言っていいのかどうかもアヤしい気がする。
しかし惹かれる、読みたいと思うのは何故だろう。
激しさや、これと言って大きなアップダウンがあるわけではないんだよね。静かで、牧歌的とも言えるかもしれない。
恋愛沙汰にしても、キッタハッタや転落があるわけではない。
そもそも生活に困らないお金持ちの人たちの話なので、気持ちが切羽詰まったりしないんである。
邸があって庭園があって馬車やパーティがあって。部類で言えば、コージーな。
TVの昔の”トレンディドラマ”の時も、「あんたたち、少しはマジメに仕事しなさいよ!!」と思っていたが、ここにいる人たちには女性はともかく男性たちにも、差し迫った仕事の様子は見えない。
おっとりと、恋愛や人の気持ちにかまけていられる。
そういう意味では、19世紀の”トレンディドラマ”、と見ることも出来る。。。
「ああ、リジー、愛情のない結婚だけはしないでちょうだい」なんてセリフも差し込まれはするが、愛情も何も、相手の方にお金あってのことである。
母親も、娘たちのお相手に関しての基準は「資産」のようで、リディア→ジェイン→エリザベスとヒートアップしていく様子が可笑しい。
一番好きなのは、エリザベスの、レディ・キャサリンへの啖呵の場面である。そーだ、言ったれ言ったれ、と心の中で大応援である。エリザベスという女性のバイタリティが頼もしい。
このシーンがあるから、おっとりとした恋愛模様だけでなく、メリハリがついているのかも。
解説で《カントリーハウス小説》というくくり方をしているが、なるほどね、フォースター、ヴァージニア・ウルフ、イーヴリン・ウォー、そしてカズオ・イシグロ「日の名残り」と、イギリス小説の大きな魅力の一つであることは間違いない。 -
上下巻とも読み終えました。この本を読むにあたって,十八世紀のイギリスの上流階級の生活を理解していないと十分本書の魅力が分からないのかもしれないと思いました。イギリス文学の傑作と言われているその意味合いまで,残念ながら今回初めて読み込むことができませんでした。
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胸を張って自分の意見を伝えるエリザベスの姿がかっこよかった。恋愛って誰かの干渉を受けながらする者じゃないよね、2人でするものだよね。
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ダーシーが本当に素敵な人だなと思う。彼の高慢さで家族や周りの人に理解されないのではと途中までもどかしかった。エリザベスが自分の気持ちに素直になれて、本当に良かった。彼女は家族が色々大変であったけど、思慮深く、彼女がとる行動は流石だと思った。最後はスッキリ。面白い作品だった!
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本当に良かった
上では文章に慣れるのに少し手一杯だったが、下ではそのような事が無く物語の内容に集中できたし、エリザベスとミスタ・ダーシーの関係性の変化がとても面白く、エリザベスが困惑しているのも感じ取れて好きなのに自分の偏見によってダーシーの気持ちを断った自分の存在から素直にも行動できないもどかしさがなんとも言い難いが私は好きだった。
図書館で借りてる本だが、買って何度も読みたい。 -
1度読んでいたはずなのに細かい部分をかなり忘れていた。
ダーシーがピングリーとジェインを引き離そうとしたのが母や妹達の品のなさにあったとか、リディアとウィッカムの駆け落ちを収束したのが他ならぬダーシーだったとか、レディー・キャサリンが訪ねて来たことなど、いずれも物語の重要なポイントだった。
古い話なので、まどろっこしい所はあったものの人物描写が生き生きと描かれ楽しめた。-
2019/10/20
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映画は見てませんが、割と現代にも通じるラブコメなので、映画になりやすい題材だろうと思います。いずれ機会があったら見てみたいと思います。映画は見てませんが、割と現代にも通じるラブコメなので、映画になりやすい題材だろうと思います。いずれ機会があったら見てみたいと思います。2020/06/09
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大好きな大好きなこの小説。
色々な翻訳を読み比べながら、
いつも心の片隅で、
「読んでみたい」と言ってくれた人に
紹介するとしたら?と考えていた。
今回光文社文庫のこちらを読んで、
「これかも?」と思った。
たった一つ、気になるところは
姉妹間の会話の口調がざっくばらん過ぎる、
と言うこと。
しかしそれは単なる私の好みの問題だから、
他の人には関係ないことだもんね。
今まで読んだ中で初めて女の人の翻訳と言うのも
大きいかも。
会話の言葉遣いが自然に感じた。
文章もわかりやすくて
エリザベスちゃんのお母さんが
聞こえよがしにダーシー様の悪口を言うところ、
ウィッカムがエリザベスちゃんに嘘をふきこむところ
なんて、
もうしっかり情景が浮かんで、
いたたまれなくなって、本を閉じたくなったほど!
(でも読むけど)
最後の方のある人との「決闘」(と言わせて!)のところなんて、
結果がわかっているのに、
なんだか今まで以上に
「エリザベスちゃん頑張れ~!」ですよ。
そして、「エリザベスちゃん、すべてにおいて
上手い返しが出来てよかったね!」となるのです。
巻末にたっぷりと解説があって、
オースティンの生涯から、
イギリスの軍隊についてや
相続について詳しく教えてもらえるから
作品の味わいも深まりますねえ。
どの翻訳を読んだら良いかわからない
と言う方はこちらを読んでみたらいかがかしらん。
でも、私が一番好きなのは
阿部知二さん訳(河出文庫)なのだよねえ。
こちらの翻訳の地の文の古めかしい感じと言い、
会話の適度な堅苦しさと言い、最高だ!