タイムマシン (光文社古典新訳文庫)

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本棚登録 : 231
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752460

作品紹介・あらすじ

時空を超える"タイムマシン"を発明したタイム・トラヴェラーは、80万年後の世界へ飛ぶ。そこは、地上に住む華奢で穏やかなイーロイ人と、地底をねぐらにする獰猛なモーロック人という2種族による原始的な階級社会だった…。SFの不朽の名作を、巽孝之氏の解説で読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • SFの古典名作を光文社の新訳で。光文社の古典新訳文庫は翻訳が平易で読みやすいのでさらっと読めた。タイムマシンものの魁。他の翻訳でも味わいたいところ。

  • 80万年後の地球にいた地上人と地下人。
    暗に、今の世の中の問題意識を提示しているかのようだ。

    人間は動物を家畜化し、
    多くの場合(キリスト教など)霊魂は人間以外の下級動物には存在しないとしてきた。人間至上主義だ。

    快適さを求める人間の末路は?
    なさそうでありそうな未来の物語。

  • 溌剌とした冒険譚だと思っていたら、意外にえぐかった。80万年っていうスパンの大きさや登場人物の少なさがどこかの説話みたいで、ジャンルの祖としての汎用性を感じた。

  •  僭越な言いかたが許されるのであれば、かなり書き急いで出来上がった作品のように思える。
     作者自身「すぐ売れるものを書く必要に迫られて、駆け足で急場を凌ぐ破目になった」と書いている。
     もっともそれから書き直しはされているようでもあるが、やはり書き急いでしまっているんじゃないかな、という懸念は拭い去れない。
     1895年に発表されている作品であり、現在の目からすれば、ちょっと陳腐な印象も受けるが、それでもアイディアや彼が訴えたかったことは、面白いし、少しも色あせてはいないと思う。
     だから余計に「書き急いだのが勿体ないなぁ」と僭越ながら思ってしまうのだ。
     一見、テンポよく話が進んでいるように思える。
     だが、それはテンポが良いのではなく、一場面一場面を大切に書き出すのではなく、先へ先へと焦りながら早く物語を終わらせようとしているように思えてしまう。
     だから「書き急いでいる」と感じてしまうのだ。
     もっともっと深く、もっともっと長く、もっともっと時間をかけてじっくりと書き上げてくれたのであれば、もっともっと心に残る大傑作になっていただろうことは間違いない。

  • タイムマシン関連の原点であるウェルズの”タイムマシン”を
    初めて読みました。
    そういうはなしだったんだとなんとなく感動しました。
    これを100年以上前に書かれてあることに驚きます。
    また、イーロイ人とモーロック人のコンセプトが面白く
    思いました。

  • タイムマシンのネタに溢れてしまった現代、この小説を今読んで新しい魅力を見出すのは正直難しいが、それは読んだ時期が100年以上遅すぎたからであって、先駆であり古典であるというその属性には敬意を表さなければいけない。無論つまらなくはないが、どちらかというと、この小説が書かれた当時の情景描写にタイムスリップ的な読書体験をした。著者は80万年後の未来において、資本主義が行き着いた負の面を描き出すが、それは社会主義に見果てぬ夢があった時代の産物でもある。ただし、社会主義崩壊後の現代でも資本主義の歪みが無くなるわけではなく、ウェルズが今続編を書いたとしても、やはり未来図は変わらないのかもしれない。

  • 短いけど濃厚。実際に未来はこうなりそうで怖くなった。100年前以上の作品なのに想像力が今読んでも古臭くないのに驚かされる。

  • 映画やアニメでタイムマシンを見たことはあったけど、その名も『タイムマシン』という小説があることは知らなかった。普段SFものはあまり読まないので。
    今ではタイムスリップや近未来の小説などは珍しくないけれど、どの時代のどんな社会を描くのかで、作家の言いたいことというのがなんとなくわかる気がする。ウェルズの関心は資本家と労働者が存在する現在の資本主義社会は今後どうなっていくのか?というところにあったのかな。そう考えるとSFは様々な仮定のもとに読者にいろいろの問いかけをできるジャンルなのだな、と気づいた。今までSF=エンターテインメントと思い込んでいた単純さが恥ずかしい。
    80万年後という時代の設定も、人類が2種族に分かれるという発想も自分には思いつかないものなので、細かい内容はともかく話の枠組みは興味深いと思った。

  •  冒頭部、“サロン”を舞台に物語が語り起こされるのだが、エドガー・A・ポーや、シャーロックホームズシリーズと似た雰囲気を湛えている。
     そして、いびつな進化を遂げた未来社会の悲観的な様相。夜闇を照らす燎原の炎。暗赤色に染まって暮れゆく世界の終焉。寂寥感ともの哀しさが残る読後感である。

     ※以下、ネタバレ。

     十九世紀後半(と思われる)英国ロンドン近郊。夕食会。心理学者、記者、地元の名士らが集う云わばサロン的な集い。ホストの男が語り始める。その冒険譚は俄かには信じ難いものだった。紀元80万年の未来へと旅してきたというのだ。(男は“タイムトラヴェラー”と称される。)

     遥かなる未来社会。イングランドの豊かな自然、美しい田園風景で、花のように優雅に暮らす小柄で華奢なイーロイ人。やがて、獣じみた異形の姿を現すモーロック人。人類は、二つの異なる種族に分かれて特殊な進化を遂げていた。しかも、モーロック人は、夜闇にまぎれて地下の“巣穴”から現れ、無防備でか弱いイーロイ人を捕食していたのだ。
     異様な2つの種族。これは、無産の貴族階級・資本家階級のなれの果て、そして、劣悪な環境での暮らしを強いられ続けた労働者階級の末裔なのだ。本作執筆当時の社会主義の思想が色濃く反映されているようだ。

     その後、タイムトラヴェラーは、原野に火を放ち、モーロック人の群れの襲撃をかわしながら、捕獲されていたタイムマシンを取り戻し、命からがら未来社会を脱出する。
     そして、ここから少しばかり予想を超えた展開となり、心地よく驚かされた。タイムトラヴェラーは、“現代”に戻るかと思いきや、タイムマシンをさらなる未来へと疾駆させ、3千万年を超える未来へと向かうのだ。

     時の果ての世界。人類の気配、文明の痕跡は消えて久しく、蟹のような異形の生物が海岸に蠢いている。
    天空には、終末期を迎えて膨張した太陽が、力無い光を放っているのだった。

  • キテレツ大百科見てるときも思ったけど、みんなタイムスリップした先でのタイムマシンの保管に無頓着すぎないか?終焉に向かってく地球の描写がすごく良かった。

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