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本 ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784334752552
感想・レビュー・書評
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読みたかった本。立派な屋敷に家庭教師として雇われたわたし。奇妙な雇用条件に反し美しく素直な兄妹、邪悪な亡霊の出現と前任者のスキャンダルとものすごく煽る。のだがはっきりとわからないまま事態が進み唐突な結末に取り残された感。
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まずは自画自賛から
いやー面白かった
そしてこの物語を面白いと感じられる自分、なかなかの読書人ではなかろうか
非常に読む側の技量を試される物語だと思いました
読む側の技量って何か知らんけども
多くのことを読み手の想像力に委ねてくるんです
それでいて空白が少ないんですね
非常に緻密に計算しつくした上で必要最小限のことしか語ってないんですが、とてもたくさんのことが込められていて、読者はその想像力の及ぶ範囲で様々なことが読み取れる文章に感じました
読む人によって怪奇物語であったり、謎解きミステリーであったり、恋愛物語であったりとくるくると姿を変える物語
そしてそれは全て意図して書かれている
さらに言えばいろんな人の感想を聞いてみたい物語でした
短い物語なんで是非とも手に取って頂きたいなと思いました
特に19世紀のイギリスの文化や階級社会なんかの歴史的背景に詳しい人が読んだらさらに色々なことが読み取れるんじゃないかと思い、またちょっと違う沼にはまりそうで恐いですw
それにしても『光文社古典新訳シリーズ』凄いなこれ
歴史に残る古典の名作を新訳で読むってことに完全に魅入られたてしまった気がします
どんどん読むぞ、待ってろ光文社!-
2023/02/19
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2023/03/02
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『ねじの回転』とは、うまいタイトルをつけたものです。ただ、終わり方が”ねじった”まま終わってしまうので、読者としては、まるでネジ舐めした状態で放置されてしまったかのよう。ただ、natsuさんがおもしろかったと書いていたとおり、先が気になって読んでしまう面白さで、とても楽しめました。
あらすじ:
物語は、あるクリスマス・イヴの夜、暖炉の前に集った男女が語り合う怪談話の最中でのこと。一人の男が不気味な出来事を綴ったある女性の手記を読み聞かせるところから始まります。その手記の筆者の女性は、かつて田舎の古い屋敷で、二人の子どもの家庭教師をしていました。彼女は働く条件として、雇い主である子どもたちの伯父から「いかなる事態が起こっても彼には一切連絡しない」ことをいい使っておりました。
屋敷に着いた彼女は、そこで働くグロース夫人と懇意になったり、教え子となる二人の美しい兄妹、マイルズとフローラにすぐに惹かれることになります。ただ、マイルズに関しては、学校に通っていたのに放校になって帰ってきたことが気掛かりではありましたが。
そんな中、彼女は屋敷で不穏な気配を感じるようになります。グロース夫人の語るところによると、この屋敷に勤めていた召使いのクイントと前任の女性家庭教師であるジェスルが不可解な死を遂げているとのこと。やがて彼女は、亡霊となった二人が子どもたちに取り憑いているのではと思い至り、子どもたちを守ろうと決意しますが……。
と、全体的に不穏な雰囲気と不思議な緊張感が終盤まで続くストーリー展開に引き寄せられますが、読み終えるとその結末は曖昧模糊とした亡霊の謎も相まって、なんだかスッキリしない。ただし、その亡霊を認識しているのが誰なのか、また大袈裟とも思える子どもへの偏愛、そして日記を書いた本人が既にこの世にいないこと、さらには日記に書かれている事を全て正しいと思うのは誤りなのではと思うと、『ねじの回転』のタイトルがしっくりきます。まるでゴシック・ホラーの形式で綴られた、著者のイタズラに翻弄されて、読者の”頭のねじ”の締まり具合を嘲笑われているかのようにも思われます。最初に”ネジ舐めした状態”と書いたのは、自分としては、P235を家庭教師が”本当にしてしまったこと”に書き変えると……可愛さ余って……ということなのかなと。あくまで個人的な推測ですけど、気狂いな家庭教師による○人じゃないかと思っていますが真相やいかに?ホームズが生きていた時代なので、ちゃんと仕事しなさいとまで思った自分は考えすぎでしょうか?それにしても、残酷なシーンも無ければ、読み手を怖がらせようとするわざとらしさも無いのに、妙に情景が脳裏に残る著者の書きようには感心しましたね。
ところで、古典の宿命で複数社から出版されている中で、光文社古典新訳文庫を選んだのはただの消去法です。新潮文庫は、2人の子どもの幽霊がこっちを見ていてヤダなと……読んでみて壮大な勘違いでしたが(笑)。
あと、岩波文庫は『デイジー・ミラー』とのカップリングで、タイトルが『ねじの回転 デイジー・ミラー』なのに、ページを開いたら『デイジー・ミラー』『ねじの回転』の順に掲載されていました。訳者は『アスパンの恋文』『ワシントン・スクエア』の行方さんなので好きですが、たまたま腹の虫の納まり具合が悪かったのか、頭に来て買うのをやめたという、なんともまあ、そんなこともあるのです。未読の『デイジー・ミラー』を読むときには岩波文庫にしようかな。-
こんばんは!ヘンリー・ジェイムズ作品が続いていたので、そろそろ『ねじの回転』来るかなと、密かに楽しみにしていました!
新潮文庫の表紙は確かに...こんばんは!ヘンリー・ジェイムズ作品が続いていたので、そろそろ『ねじの回転』来るかなと、密かに楽しみにしていました!
新潮文庫の表紙は確かに怖いですね笑
ちなみにあとがきによると「やっと少しずつ前に進めるような、ねじの回転とはよく言ったものだというような、訳者泣かせの文体」で、「異なる翻訳を読みくらべたら、どこもかしこも表現の違いが目立つだろう。」だそうです。エネルギー吸い取られるような作品だったので、読み比べは遠慮しておきますという感じですが…^^;2025/05/31 -
こんばんは♪
訳者は、カズオ・イシグロの作品を多く訳している土屋氏でしたが、そんな人でもかなり苦戦したようです。
それもそのはず、この作...こんばんは♪
訳者は、カズオ・イシグロの作品を多く訳している土屋氏でしたが、そんな人でもかなり苦戦したようです。
それもそのはず、この作品は著者の後期作にあたり、夏目漱石や平田禿木も敬遠した複雑な構成の作品を書いていた時期にあたるようですからね。
なお、感想でホームズの名をあげましたが、コナン・ドイルは、ルイス・キャロルらとともに心霊現象研究会にしており、心霊主義の啓蒙に励んでいました。その研究会の会長のアンドルー・ラングが『夢と幽霊の書』を出版したのが1897年。『ねじの回転』は1898年なので、本作もそんな心霊ブームの影響を受けているのでしょうね。
ちなみに夏目漱石が『夢と幽霊の書』をロンドン留学中に愛読しており、その解説に作品への影響が書かれていて興味深いですよ。話しが脱線しましたが、図書館で解説だけ読んでみるのもいいかもしれないです。2025/05/31 -
『夢と幽霊の書』!
本屋で「夏目漱石の愛読書」という帯を見て気になっていた本です。ここで繋がっていたんですね!
読んでみます。ありがとうござ...『夢と幽霊の書』!
本屋で「夏目漱石の愛読書」という帯を見て気になっていた本です。ここで繋がっていたんですね!
読んでみます。ありがとうございます!2025/05/31
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ヘンリー・ジェイムズ初読み。
というかその御名すら寡聞にして存じ上げなかった。
タイトルもジャンルを窺わせない謎めいたもので(原題:The Turn of the Screw)、これがゴシックの系譜を継ぐホラー小説の先駆にして心理小説の傑作でもあるとは、このタイトルからはとても判断できない。
あっさりした文体ながら、そこから「え、こんな重大事をさらりと出す?」みたいな海外文学ならではのドライな意外性の味わい深さ。
まあこんな楽しみ方は邪道なのだろうが、近年においても何作も映画化されているのは本物の証左。 -
わー!わぁぁああーーー!
読後、リアルに叫びました。そうなるのか!そうくるのかぁ!!
世界観がゴシックホラーで、イギリスのあのじめっとしたそれでいて美しい田舎の空気感が感じ取れるので、大好物でした。
言葉の使い方も絶妙で、ねじの回転が一回転でも多く回れば、そりゃぎりっと奥に押し込まれるよね!そんなふうに表現するの、すごいね!!って、驚きばっかり。
気になる表現は山のようにあるし、平凡な自分には永遠に生まれないような言い回しにはただただ、感心するのみです。
おもしろかった。もし、ラストネタバレされてたとしても、きっと同じように驚いて叫んでた気がします。 -
いまいちよくわからなかった
評価が高い有名な本だから、自分の側の読解力の問題か
どんな話なのかさえうまく噛み砕けなかった
丁寧に再読。
噛み砕けはした。
ピーター・クイントとジェスル先生の幽霊からマイルズとフローラを守ろうとする家庭教師。
家庭教師の妄想で、子どもたちやグロース夫人は主人公の家庭教師の異常性に恐れていると読めました。
それにしては、マイルズ1人残して、グロース夫人とフローラは伯父のところに行くっていうのが何故そんなことするのか意味わからない
最後もどういうこと? -
19世紀から20世紀にかけて活躍したヘンリー・ジェイムズ中期の傑作。ゴシックホラーの様式を借りながら、無意識や語られぬもの=幽霊を巡って狂わされていく家庭教師とその家の子供2人。
Netflixでドラマ化されたように、単純にホラーとして読むことができる作品である一方で、怖いのは亡霊が出てくるからではなく、亡霊の出現を契機として破綻をきたしていく、家庭教師と2人の子供の顛末だろう。解説で言及されているように、それは19世紀末に登場したフロイト理論や心霊主義の影響を色濃く受けていて、どことなく亡霊によって狂わされていくマクベスを思い出させる。
著者のヘンリー・ジェイムズのお兄さんは哲学者のウィリアム・ジェイムズであり、とんでもなく文化資本を持つ家に生まれた人。解説によると『鳩の翼』『大使たち』『金色の盃』が後半期における傑作小説も面白いようなので、入手して読みたいと思う。今作自体も再読すると新たな発見がありそうなので、機を見て改めて読みたい。 -
いろいろなことが、オブラートに包まれて語られていく…
時代的な背景があるからかな、と。
マイルズが口にした、退学の原因とはなんだったのか。
マイルズが、「わたし」に対して示した、「成長する」につれて起こる変化…
「わたし」が雇用主に感じている感情などなど…
不思議な話でしたが、最近目にした記事などで、いろんな方がこの本を取り上げていて、読まねば!と思っていたら、図書館の書棚で発見したもの。
新訳版ですが、新潮社からも小川高義さんの新訳が出ているので、いつかチャレンジしたいです。
いろんな側面から「取り憑かれた話」…と理解。
ぐるぐるした展開が難解さにつながっているなあと感じたので3.8点ぐらい。でも、大好きな雰囲気を持つ作品でした。
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セクシュアリティ、階級、社会構造をいろんな視点から見て、いろんな解釈を読者に与えるような本だと感じた。
面白かった。 -
怪奇が起こる屋敷についての話だと思って読み始めたけど、だんだんこの語り手が恐れている亡霊は二人の子供たちに迫る「性の目覚め」を象徴するものなんじゃないか?という気がしながら読んだ。解説を読むに当たらずも遠からずというか、いろいろな解釈が可能であるように書かれた話のようで、怪奇の正体に思いをめぐらせて楽しんだ読者としては、書き手の狙ったとおりというところか。
巻末の訳者あとがきが軽快で地味に楽しい。読みやすい訳文で、原文の難解さはだいぶ緩和されていたのでは。
著者プロフィール
ヘンリー・ジェイムズの作品





