桜の園/プロポ-ズ/熊 (光文社古典新訳文庫 Aチ 2-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752590

作品紹介・あらすじ

美しく咲いた桜の園に5年ぶりに当主ラネフスカヤ夫人が帰ってきた。彼女を喜び迎える屋敷の人々。しかし広大な領地はまもなく競売にかけられることになっていた(「桜の園」)。滑稽で支離滅裂ぶりが笑いを誘うボードビル2つを併せて収録、チェーホフ喜劇の真髄を味わう。

感想・レビュー・書評

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  • はじめてのアントン.チェーホフ
    キンドル アンリミテッドで
    戯曲はじめて読みましたが140年以上も前の
    ボードビル一幕物「プロポーズ/熊」には抱腹絶倒。
    チェーホフ最期の作品4幕物「桜の園」は喜劇の中に哀愁漂う深いお話でした。桜はサクランボのことのようです。いろんな戯曲読んでみたいかも

  • 読んだつもりになっていたけど、読んでいなかった、というタイプの本です。

    この手のブンガクについて、ある年齢以降、

    「どれだけ、翻訳が難解にしていて、モトモトの魅力を削いでいるか」

    ということに気づいてしまって。
    気づいたら恐らく意識過敏になってしまって。

    で、その反動で、光文社の古典新訳はイイナア、とかなり盲信してしまっています。ほとんど感覚なんで。別に比較した訳でもないんですけどね。

    という訳で光文社の新訳で衝動買い。

    チェーホフについては、井上ひさしさんが描いたチェーホフの評伝芝居を観たことがあるのと、あとは・・・映画「黒い瞳」が素敵だったなあ、というくらいです。

    「桜の園」は、吉田秋生さんの漫画は読んだし、それを映画化した中原俊監督の「桜の園」は観たけれど。

    読み始めは、いつもながらロシア人の名前に頭がついていけなくなりました(笑)。それに戯曲という読みづらさも。
    なんだけど、三幕四幕くらいでは、引き込まれました。
    やっぱり面白いですね。

    お話は。もう面倒なんで、人名は出さずに書きますが。

    背景に、農奴制などから農奴解放、そして日露戦争に向かっていく、つまり徐々に徐々に封建的旧制度から近代に変革していくロシア、というのがありますね。
    要は、色んな価値観とかが変わっていく時代。

    貴族らしき「奥様」がいます。離婚したのか、独身です。
    で、この人に娘がいたり兄がいたり、出入りの色んな商人とかいます。
    で、とにかくこの奥様が、思い出のある家土地を、借金の抵当で失う。
    というお話なんですね。
    ほぼ、それだけです。

    うしないそうだ、なんとかしなきゃ、という第1幕から始まり。
    ほぼ何もしないまま、ああ、失っちゃった、という第4幕で終わり。

    その間、何が起こるかっていうと。ふたりの娘が恋愛したり。
    出入りの商品とか管理人とか家庭教師が身の上の愚痴を述べたり。
    ドタバタ喜劇(ボードヴィル)風の挿話があったり。
    それだけ。

    チェーホフさんはこれを喜劇、だとしてるんですね。
    でも力があるのは三幕、四幕。奥様が故郷を、自分の家を、思い出を失っていく感情。
    それを励ます娘。
    共に悲しむ兄。
    桜の園を買い取った、商人。時代の転換。
    というある種の悲劇風の感情の盛り上げにいちばんグっと来ますね。

    なんですけど、それがグっと来るのは、前後のくだらないドタバタがあるからなんでしょうね。
    其の辺の人間臭い、でもどうでもいいような、ある種、川島雄三風のギャグというか、笑い。それがあるから、感傷的な芝居が急に来た時に、落差で泣けるんですね。「男はつらいよ」ですね。

    うーん チェーホフさん、すごいですね。

    チェーホフの作品を全く知らない人に向けてお節介に書きますと。
    基本、喜劇なんですね。この人。
    おバカなこと、ハチャメチャ。軽い喜劇。それで楽しませたいんですね。
    ブンガクでもって芥川賞だったり実存が現代にカントして思想が抽象的に表象して内面を抉ったりは、しないんです。

    具体的で、娯楽的です。

    確かにトルストイ、ドストエフスキーの後の時代、という感じはします。
    そのふたりにない、含羞、都市性がある。ウディ・アレン的というか。

    そんな感じで面白かったです。
    「プロポーズ」「熊」は、一幕物の完全な軽喜劇。

    プロポーズしに来た男。相手の女。結婚すれば共有財産になるのに、領地の境界線とか巡って大喧嘩になってしまう・・・。

    悲しみにくれる未亡人。そこに借金の回収に来た男。
    ささいなことからこれまた大喧嘩になって決闘騒ぎ。
    ところがふたりは喧嘩しながら、お互いに恋に落ちていく。
    この辺の描写、無論舞台演劇としてですが、セリフ、多分翻訳も、うまい。面白かったです。

    19世紀のロシア人が、19世紀のロシア人が面白がる為に描いた風俗的な戯曲が、21世紀の日本人が翻訳で読んで、くすりとでも笑えるって、スゴイことだと思います。

    で、「桜の園」は、病気でもう死にそうな時に書いてるんですね。
    遺作なんです。
    そう知るとまた、色々興味深い。


    「三人姉妹」くらいはまた読みたいですね。

  • ロシア的無気力を笑えるかどうかにすべてがかかっている。

  • 今まで読んだチェーホフの中では一番ハマらなかったかもしれない。

    「桜の園」は喜劇ということだけど、普通に読むとやっぱりどうも悲劇の色が濃いようにも思う。
    見方によってはたしかに滑稽かもしれない。

    「プロポーズ」は一番わかりやすくコメディで笑えた。
    プロポーズしにきたのにひょんなことから話が逸れていく。

    「熊」もプロポーズに似たようなところがある話。
    女は〜!とか男は〜!とかのあたりは読むに耐えない罵詈雑言だったのでまぁこれはでも笑いどころなんだろうなとは思いつつ、あまり楽しめなかったかなあ。

  • 『桜の園』
    日常の中のありふれた悲劇、って感じの書き方がかなり好き。
    何かの本で読んだ、「『桜の園』で桜の木を切り倒す斧の音を忘れられる人は居ないだろう」って言葉を思い出しながら読んだ。戯曲としても見てみたい。
    解説を読んで「その通りだな」って思ったけど、チェーホフは日常を切り取ってる。どれだけ重たい話し中でも、誰か階段を踏み外したり、テーブルクロスのソースのしみを眺めたり。そこがチェーホフの魅力。

    『プロポーズ』は特に何も思わなかったです。魅力的な喜劇だと思う。
    寂寥感?とか、桜の園目当てに読んだので。

    『熊』
    こっちもかなり好き。これも相当な喜劇だけど。
    女性が魅力的だから刺さったんだと思う。強くて、正直で可愛い人。良かった。

    解説、チェーホフ作品をまだ『かもめ』しか読んでないので、ざっと読み飛ばしてしまいました……。またゆっくり読める日が来れば。

  • チェーホフは、ドリフである。ダチョウ俱楽部である。
    読了後、そんな風に思っている。(理由後述)

    十九二十歳の頃に『桜の園』を読んだ。だけど、その良さをよくわからなかった。「『桜の園』は喜劇で、笑えるらしい」と何かで聞いていて、その前提で読み始めた。なのだが、笑える感じはなく読み終えて戸惑った記憶がある。
    その後、多くのロシア文学作品を読み重ね、文学の読み方について少々の手掛かりを身に付けたいま、ふと思い立っての『桜の園』再読である。

    ラネフスカヤは女地主。数年ぶりにパリから自分の邸に帰ってきた。だが、没落貴族というか斜陽地主である。農園経営は傾き負債を抱え、自慢の農園「桜の園」(さくらんぼ畑)と邸を売り払うしかない状況に追い込まれている。そして第四幕、ラネフスカヤは邸と農園を手放し、この地を去る。
    時代の変化に置き去りにされる人々の悲哀を、しみじみと伝える。

    その一方で、劇中、滑稽な味付けが散見される。
    例えば、第三幕、ラネフスカヤとトロフィーモフは、シリアスなやりとり。しんみりしたイイ場面。ところが、直後、そのトロフィーモフは階段からガラガラどっしゃーん!と転げ落ちる。そう、まるでドリフである。

    『熊』もスラップスティックな展開あり。男女が激しい議論を重ねる。男は債権者、女は債務者である。ところが、激しい口撃の応酬の末、男と女は、熱い接吻を交わす。男は、女の美しさに一目ぼれしたのだった。まるで、ダチョウ俱楽部のあの御馴染みのネタのような展開である。

    この文庫はさらにもう1編の短い戯曲を所収。『プロポーズ』である。これも短いながらパンチが効いている。男が女のもとに求婚にやって来る。ところが、プロポーズの本題に入る前、両家に隣接する土地の帰属をめぐり口論に。さらには、両家の飼い犬(猟犬)のどちらが優れているかを巡り、これまた激しい口論に。

    いずれも、一幕ものの短い戯曲だが、ショートコントのようで読み易く面白い。

    さて、
    初読から30年以上を経ての『桜の園』再読。本作の味わいを以前より少し楽しめるようになった気がしている。

    ※余談だが『桜の園』の「さくらんぼ農園」は、ウクライナ地方のドネツク地方を舞台にしている、と言われているという。現今の露軍ウクライナ侵攻の激戦地である。

  • ロシア文学というと長編というイメージしか無いですが、「プロポーズ」と「熊」は単純に短編喜劇として傑作!「桜の園」は正直物語としては退屈な感じですが、特別大きな特徴の無い登場人物をどう演じるかで演者や演出家のスキルが問われる感じで、舞台作品として観てみたいと思える作品でした☆

  • 劇の脚本形式でお話は進んでいきます。最初は読みづらいかもしれませんが、テンポのよいセリフまわしに魅力を感じてきます!!
    短く笑える作品が3編そろっています。
    080/KO/Aチ2-2 中央館 3階 文庫 新書

  • チェーホフは、かわいい女に続き2作目なのだけれど、戯曲だったのでおっと思った。

    桜の庭は名作とされてるらしいのだけれど、そうなの?という感じ。劇用だからか、所々、キャラクターのセリフが無視をされ、次の人が関係ない話をいきなりする個所が見られ、そこがよく分からなかった。

    プロポーズは面白かった。
    隣り合う2家が土地を巡っていがみ合うのだが、実は娘に求婚しにきたとしると、娘は彼を呼び戻す。呼び戻したところで、やっぱり言い争いになる。それでも、最後にはなぜか婚約することになる。なぜなぜでいっぱいだが、人間ってそんなもんかも?と思わせる奇妙な説得力あり(笑)

    熊もプロポーズと似たバタバタ劇。

    かわいい女ほど、心には残らなかった。

  • 読書会の課題本。「桜の園」は神西訳に親しんできたが、他の2本は初めて読んだ。ところどころ出てくる、古臭い駄洒落が少し気になったが、まあまあ楽しく読めた。

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