緋文字 (光文社古典新訳文庫)

著者 : ホーソーン
制作 : Nathaniel Hawthorne  小川 高義 
  • 光文社 (2013年2月13日発売)
3.40
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  • 本棚登録 :89
  • レビュー :8
  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752675

作品紹介

17世紀ニューイングランド、幼子をかき抱いて刑台に立った女の胸に付けられた「A」の文字。子供の父親の名を明かさないヘスター・プリンを、若き教区牧師と謎の医師が見守っていた。各々の罪を抱えた三つの魂が交わるとき、緋文字の秘密が明らかに。アメリカ文学屈指の名作登場。不倫の罪を背負いながらも毅然と生きる女、罪悪感に苛まれ衰弱していく牧師、復讐心に燃えて二人に執着する医師-宗教色に隠れがちだった登場人物たちの心理に、深みと真実味を吹き込んだ新訳。

緋文字 (光文社古典新訳文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 訳者まえがきに「アメリカ文学史の定番中の定番」、「多くのアメリカ人にとっては学校で読まされる課題図書」とあり、日本人にとっての『こころ』みたいな作品なのかな、と思った。

    テーマは「許し」だと感じた。自分を許すこと、他人を許すこと、許されたと認めること、など。
    何か悪いことをしたとして、自分で自分を許しても他人が許してくれなかったらしんどいし、他人から許されても自分で自分を許せないパターンもあるだろう。
    へスターは逃げずに罪と向かい合い、世間からは最終的に許されたといってもいいと思うが、最後にセイラムに戻ってくるところを見ると、罪は背負ったままつまり自分を許し切らずに生涯を終えたのかな、と思う。
    テレビで犯罪被害者の家族のコメントなどを聞くと、相手を許すことができない立場も辛いのだろうなと思う。この本の中ではチリングワース氏がそうだ。復讐で相手が不幸になることを望むが、決してそれは自分の幸せにはつながらない。
    ディムズデール牧師は自分で自分を許せないのに加え、罪を隠したために周囲からも許されるということがない。求めるのは天の裁きのみ。でもこの人が途中で「重荷を背負っているからこそ他の罪深い人たちの心がわかるようになった」って気づくところが好き。失敗しなきゃ学べないことはあるのだから、そのためにも許しは必要なのだ。
    三者三様の生き方がうまく対比されて描かれている。

  • 私に宗教の観点が欠けているので、
    牧師の苦しみがもどかしく感じる。
    そこまで罪の意識に苛まされるのだったら手を出すなと。

  • 税関の部分は、だらだらと長く続き、読みにくい。しかし、『私』のセイラムの地への愛着は郷愁を喚起し、寂れた街で過ごす人々もまたセイラムの地に縛られているのかと考えると哀愁を帯びて感じられ、改めて読み直すと共感を覚えた。地縁的なものに敏感な人には、通ずるものがあるのではないか。
    本編は、ストイックな牧師の姿が印象的だった。三角関係とそれぞれの変化は解るが、パールの役割や緋文字のAについては消化不良に終わった。

  • 常々読みたかったもの。やっと読み終わった!
    (「税関」のところはさらっとしか読まなかったけど。)
    どうして彼女は語らなかったのか。夫は?子供の男親は誰なのか?
    最初は読みながら謎が深まるばかりだった。いまや「姦淫」なんて過去の遺物的な言葉なような気もするが…そんなこというと倫理的に…(苦笑)。緋文字の女は愛を突き通したのは確かだ。
    三角関係の話?いや男と女の話?
    「愛」は「聖なるもの」なのか?「結婚」は「聖なる契約」なのか? 子供の存在、その無邪気さはどんな関係であっても人をひきつけるのは確かなようだ。それこそ「愛」なのかも。
    最後は、残念ながら、なんか尻つぼみな印象となった。

  • 系推薦図書 総合教育院
    【配架場所】図・3F文庫・新書 
    【請求記号】080||KO

    【OPACへのリンク】

     https://opac.lib.tut.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=159347

  • 愛と苦悩
    (実際に読んだのは角川版)
    古典の名著といえば、そのうちの一冊にホーソンの『緋文字』があげられるだろう。
    なるほど、清教徒入植間もないアメリカで、姦通の罪で晒されたへスター、その夫、姦通した相手の若い牧師のそれぞれの心のうちを巧みに描いている。
    また、罪の子、パールの無邪気な姿が、その無邪気さのために光源となってそれぞれの姿に影を作っている。
    たしかに、たしかに文学作品としては素晴しいのであろう。

    ただ、私の感想はそうではない。
    まずは『緋文字』の序として『税関』という物語が併せて掲載されているのだが、これが淡々として、43頁まで読むのに、酷く苦労した。
    ここで少し面白くなってくるのだが、61頁まで、またこの淡々に付き合わされる。
    挫折しかけた。本当に。

    さて、物語がやっと始まってくるのだが、一冊読み終えるのに一週間かかってしまった。
    読後は何とも言えぬ不快感。
    いや、物語自体は希望ある終わりかたではある。しかし......。
    鴎外の『舞姫』に似たような展開だと思った。
    内容が類似しているというのではない。
    男、姦通した側のディムズデイルの情けなさに心底腹が立ったのだ。
    へスターが相手の名前を明かさず、罪の証を胸につけ、さらし者になり、罪の子を育て上げる強さに対し、ディムズデイルは私は罪を犯したと自らの救いを求めるばかり。
    挙げ句の果てにその罪の重さに堪え兼ねて告白をするはいいが、そのまま天に召される。
    何とも勝手な御仁である。
    神よ、私を許したもう、そればかりだ。
    多少はへスターに対する気持ちや、自らの子を愛するそぶりも見せるが、結局彼が悩んでいるのは自分のため。
    へスターやパールに対してではないのだ。
    それを美辞麗句で飾り立て、「苦悩」という自己満足を完結させる。

    それに対し、裏切られたことで復讐を考える老博士のほうがよっぽど「悪」に徹していて好感が持てる。
    また、へスターの強さは「愛」故の行動なのだろうと思われる。
    二人とも「愛」のために選んだ道が異なっただけで、己の身勝手さを理解している。

    この三人とも紛うことなき人間の姿であるといえば、確かにその通りだ。
    どこに感情移入するかで物語はまったく異なる様相を見せるだろう。
    それが名作たる所以なのかもしれない。

  • あ、これって、自由と自立についての話だったか。

  • 大学生協¥1140

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