失われた時を求めて〈3〉第二篇・花咲く乙女たちのかげに〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

制作 : Marcel Proust  高遠 弘美 
  • 光文社
3.75
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本棚登録 : 64
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752682

作品紹介・あらすじ

若者になった「私」はジルベルトへの恋心をつのらせ、彼女の態度に一喜一憂する…。19世紀末パリを舞台に、スワン家に出入りする「私」の心理とスワン家の人びとを緻密に描きつつ、藝術と社会に対する批評を鋭く展開した第二篇第一部「スワン夫人のまわりで」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 恋についてプルーストの触れ方は私にとって異質で興味深い。ジルベルト、アルベルチーヌの2人への思いが違ってみえる。恋をなくしても、悲愴ではない。プルーストの紡ぎだす連綿とした、章立てしてない文は読みにくくもあるが、「私」の語りは慣れてくると心地いい。 私も若いころ「乙女たち」とひとときを会話したり、散歩して過ごしたかった。 また絵画、訳者撮影の建築物、ネットへの参照など、とても親切で多くの注は読書をより深く楽しめた。

  • 「愛が消えるとともに、もう愛は消えたことを示したいという欲求も消えてしまった。」
    はー…今回もまあ見事な文章だった。
    主人公の心の揺れの細かいところまで描写しつつ、自然に周囲の人々もきっちり書き込み浮き立たせる手腕は圧巻。
    一つの段落が何ページも続くので、細切れの時間には読めないのは辛いけど(笑)。

  • 読み始めは、「かなり読みやすくなってきたかも♪」と思ったのに結局すごい時間かかってしまった…社交界のなんちゃらとか当時の文化とかこの本を楽しむポイントはたくさんあるんだろうけど、スワンの恋からの流れで、やっぱり恋って病気なんだなぁ(´・_・`)と思う一冊でした…

  • 系推薦図書 総合教育院
    【配架場所】図・3F文庫・新書 
    【請求記号】080||KO

    【OPACへのリンク】

     https://opac.lib.tut.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=159345

  • 「源氏物語」と「失われた時を求めて」は誰の翻訳でもこれくらい面白い本は無いから、次々に目を晒すのだが、いずれも翻訳によってその文学世界が完全に異なってしまうので、面白いというより恐ろしい。だから本当の読書とは、やはり原書・原文に直接当たるべきなのだろう。

    実際に今までにそうしてみたこともあったが、源氏よりもよく頭に入ったのはプルーストで、この重層的複合文てんこもりの牛のよだれのような羊腸の小径を辞書を頼りにおぼつかなく分け入る辛気臭い作業は、しかし微分積分的読解の快楽というものを与えてくれたのである。

    かというて文庫本で10数冊に及ぶこの膨大な著作をそのまま読み切る自信はまるでないから、次々に出版される翻訳につい手が伸びるのであるが、最初に触れたように翻訳のテーストはこんにゃく同様十人十色であるから、いろいろ読み比べて自分の感覚に合致したものと仲良く付き合えばよろしいかな、と思うのである。

    光文社から出ている高遠訳は今回がはじめてであるが、語学的に正確であろうと努めるあまり、井上訳で成功していたプルーストの独特の文学的香気がまったく感じられない点に不満を覚えた。こういう文章なら別にプルーストでなく、ジッドでもアナトール・フランスでもおんなじことではなかろうか。

    全体のトーンとしては岩波の吉川訳に似た現代文の平明さを基調にしているのだが、訳者としては完全にその調子になり切っては困ると考えたのか、ときおり「されど」といういささか古めかしい接続詞を節目節目で投入する。

    「されど」は私も嫌いではない言葉であるが、3ページに1回の割合でそれが繰り返されては迷惑千万。さながら平成のビジネスレターに明治の候文が闖入してくるような違和感が付きまとい、今度はいつ出てくるのだろうと比叡山のお化けの出現に身構えてしまうようになり、とても主人公とオデットの娘ジルベルトの恋物語の透徹した心理分析に身を委ねるどころの騒ぎではなかった。


    今宵また我が家のチャイムを鳴らすのはおそらく風の又三郎ならむ 蝶人

  • ジルベルトへの恋とスワン婦人へのあこがれ。かつてのスワンの恋、まだ会わぬアルベルチーヌ。あらゆるモチーフがヴァントゥイユのソナタと響きあう…とにかく見事な小説。

  • ただひたすらに細部を追い求めて行くと豊かな世界が広がる。ナボコフの言う『小説の細部』を堪能するにはうってつけの1冊。
    現在、2社から刊行中なので、岩波版と古典新訳文庫版を交互に楽しめるのも嬉しい。

  • 全巻出揃ってから読むしかないんでしょうね。
    この刊行ペースで一冊ずつ読んでいくと、おそらく、全体がつながらない。
    古典新訳びいきの自分としては、岩波に負けるなと光文社を応援するしかないです。

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