すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)

制作 : Aldous Huxley  黒原 敏行 
  • 光文社
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レビュー : 92
  • Amazon.co.jp ・本 (433ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752729

感想・レビュー・書評

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  • 優生思想による産み分け、思想教育、フリーセックスと麻薬(ソーマ)による快楽。人間の行きつく未来がここにはある?
    ディストピアというテーマ自体は分かりやすいが、シェークスピアを始め様々な文学に精通していないと完全には楽しめない難解な小説。

    科学技術により労働は必要無いものの、余暇を与えすぎると人間は不幸になるため無駄に7時間働かさせる。優れた知能を持つアルファ型人間だけにすると戦争を起こし大半が殺し合い不幸な結末になった。

  • 好き。古いのに古くない。

  • 程度の差はあれ、今の日本も同じような政策がなされてないか。
    ファッションやアイドルやテレビやスポーツや賭け事などなど。
    現実逃避と適度なストレス。
    回す側と回される側。
    本人が良ければそれでいいのか。
    とても考えさせられた。

  • いろいろと気持ち悪いってか。ディストピア小説なので当たり前か。考え込ませてしまうという意味では、人によっては変えられてしまう小説かもしれない。たしかに、作者が後年振り返って、ナイープな結末は、変えた方が興味深いのは、私も同意する。とはいえ、作者(ハクスキー)の作品であるから、別の物語を語るなら自分でやれという話になるかもしれないけど。2016/08/20

  • ディストピアものでは1984年に並ぶような作品であるが聞いたことなかった。ちなみに1984年もまだ読んでないけど。
    これが1931年に書かれたというのもすごい。あとがきでは核について記述がなかったことについて触れているけど、それにしてもフリーセックスやソーマという麻薬のようなものだったり、当時の社会の規範ではびっくりされるような内容だったろう。アルファだけの社会を実験してみたのも面白い。結局はうまく立ち行かなくなってしまったと。階級とそれを受け入れる気持ちというのは、例えば江戸時代とかもそうなのかもだが、社会の安定に必要なのかもしれない。現実に人間の能力差があって社会的な地位といった意味でも格差がある、でも人間は平等だという神話が逆に人間を苦しめてたりして。野蛮人ジョンも正常な人間の代表というわけではなく、ここでおれが言った正常もそれぞれの社会背景という文脈の中でのもので、正常なんてものがそもそも存在しないのかもしれない。

  •  ちょっとあきれたり身につまされたりしつつ、苦笑しながら読めるディストピア小説です。壜詰めで育てられる赤ん坊、ボカノフスキー法で生み出される同じ顔をした労働者たち…… “ああ、すばらしい新世界!”

     ドタバタとパロディー満載のおちゃらけ小説のようでいて、実はしっかりと哲学している作品でした。幸福とは何か、人間らしさとは何か? 人間らしくあることと幸福とは相容れないものなのか? 人間らしさを犠牲にしてまで守らなければならない社会の秩序とは何なのか?

     膨大なシェイクスピア作品を諳んじる野蛮人ジョンと、本当は科学者になりたかった世界統制官閣下との言葉の応酬(第17章)には思わず唸らされました。話題は芸術、科学から神の存在にまで至り、著者の教養と思索の深さを感じます(これはドストエフスキーの大作“カラマーゾフの兄弟”の「大審問官」のパロディーであるとの由)。

     結末はちょっと残念でした。こういう結末にしなくちゃいけなかったのかなあ……

  • すばらしい新世界はユートピアかディストピアか。

  • SF

  • ブンガク
    かかった時間 こまぎれなのでわからない。2時間ぐらい?

    ホモ・デウスの冒頭を読んでいると、その筆者のとらえた現代の姿とともに、SF?のディストピア小説について言及がある。ちょっとそのあたりが気になって読んでみた。

    受精〜出産(試験管で育てられるのでこの言い方が適切かどうかはともかく)の過程ですでに、遺伝子によって選別され、肉体や能力をコントロールされて生まれた、それぞれの階級の一卵性多生児たち。彼らは、その階級に見合った教育を受け、社会を動かすための仕事と、健康で老いのない肉体と、いつでも快楽に浸ることができる薬物とを与えられている。
    また、この世界においては、1人が1人をずっと愛することや、孤独に浸ること、家族のつながり、自我を持つこと、等々は不必要なものとして、というか、むしろ忌むべきものとして位置づけられる。

    その中で、上位の階級に生れながらも、出産までの過程からか、階級にそぐわない貧弱な肉体をもつ男。彼は、自分が生きる「現代の生活」とは異なる生活を送る「野蛮人」の生息区域へ赴き、そこで、「現代の生活」からはぐれた女性と出会う…

    みたいな話。

    この1932年に書かれた小説は、なんていうか、いろんなところで言われているように、まさに人間の行く先の予言であるなぁ。というか、人間は想像できないことはできない。逆に、想像できることにはなりうるので、ブンガクはやっぱり必要だと思った。想像できたなら、推進も抑制もそれぞれの価値観でやってゆける。こういった世界が見えていない人に、あるかもしれない姿を物語として見せる、という、なんというか、小説というカタチのもつ価値を再認識した。

    というか、オルダスハクスリーすごすぎ。

  • 「すばらしき新世界」
    ジョン
     野蛮人氏。
     青年になるまで、非文明地区で暮らしていたが、レーニナとバーナードの訪れを機会にロンドンへ向かうこととなった。
     文明人である母、リンダの影響で「すばらしき新世界」としての憧れを抱いていたが、実際には科学技術は発達しているものの、宗教も、文学も、科学も完全に統制され、停滞したディストピアたる世界に愕然とし、自殺する。

    リンダ
     ジョンの母親。
     不妊個体(フリーマーチン)だったが、手違いで妊娠し、捨てられ、非文明地区に置き去りにされる。
     ジョンを産み育て、後年ロンドンに戻るが、「ソーマ」の飲み過ぎで早く死去する。
     
    バーナード
     「代替血液にアルコールが入った」と揶揄される、アナーキストな傾向を持った青年だった。その傾向を避難され、左遷(島流し)の危機に見舞われる。
     が、レーニナとともに非文明地区からリンダ・ジョン親子を連れ帰ったことにより、一変、一躍、時の人となった。
     だが、それも長く続かず、結局は島流しとなる。
     
    ヘルツホルム
     バーナード、ジョンの友人。自身が創作した詩を生徒たちの前で発表し、嘲笑された。
     彼も最終的にはバーナードとともに島流しとなった。
     
    レーニナ
     「弾みのいい」魅力的な若い不妊個体(フリーマーチン)。
     バーナードとともに訪れた、非文明地区でジョンとであい惹かれるが、結局はその好意は拒絶される。
     
    ムスタファ・モンド
     世界統制官。
     世界を統制するために、宗教も、文学も、科学も完全に統制している。
     「禁書」を多く持っている。
     
    世界観
     アルファ、ベータ、イプシロン、デルタに分かれた階級社会。
     既に発生段階から統制され、睡眠学習によって、それぞれの等級に満足し、社会が安定するように仕向けられている。
     不都合や忘れたいことがあれば、副作用のない薬剤、ソーマがあり、労働の対価はソーマである。
     発生も完全に統制され、特定の相手を持たない「フリーセックス」が奨励されている。
     そこでは関係の私有(特定の相手を持ち、家庭を作り、父親、母親になること)は野蛮で恥ずべきこととされている。
     一方、非文明地区では昔ながらの状態が保たれている。

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