すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫 Aオ 2-1)

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  • / ISBN・EAN: 9784334752729

感想・レビュー・書評

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  • あーはいはい、そっちね、そっち系のやつね

    というわけで『一九八四』と並びたつディストピア小説の名作中の名作オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』であります

    『一九八四』が★5でしたからね!当然こちらもって★2やないかーい!っていうね

    だってもう注釈が多すぎるよ><
    ぜんぜん本筋が入ってこない
    でもうマ、ジ、で平均すると1ページに1回くらいシェイクスピアからの引用絡めてくるんだもん
    どうせ絡めるなら甘辛いやつでお願いしたい
    ストラットフォードの馬泥棒じゃなくて甘辛いやつ

    いやちゃんと読んだら面白いんだけどね
    そりゃもう面白いんだけど、面白いよりも「あーイギリス人だったらもっと楽しめるんだろうな〜」が勝っちゃうのよ!

    だってさ、こんなん今更ちょっとくらいシェイクスピアかじったところで追いつかないよ
    そんなん毎ページ毎ページ『オセロー』や『ハムレット』や『リア王』や『マクベス』引用されたらもうイギリス人じゃなきゃ無理じゃん!10年くらい3食フィッシュ&チップスと紅茶で過ごさな追いつかないじゃん
    こちとら甘辛いので育ったお出汁の国の人なんだもん
    お出汁でお箸だもん

    こうしてみんなイギリス文学の古典から離れて行くんだな〜ってのをあらためて思った一冊でした

    わいは大当たりもあるの知ってるからまだまだ読むけどねん

    • 1Q84O1さん
      常温!Come on!
      常温!Come on!
      2024/02/27
    • ひまわりめろんさん
      恐らく上手いこと言った気になって清々しい朝を迎えてるな…(・д・)チッ
      恐らく上手いこと言った気になって清々しい朝を迎えてるな…(・д・)チッ
      2024/02/27
    • 1Q84O1さん
      ( ̄ー ̄)ニヤリ
      ( ̄ー ̄)ニヤリ
      2024/02/27
  • 文庫版の裏表紙に書かれている本書のあらすじは、下記の通りだ。

    【引用】
    西暦2540年。人間の工場生産と条件付け教育、フリーセックスの奨励、快楽薬の配給によって、人類は不満と無縁の安定社会を築いていた。だが、時代の異端児たちと未開社会から来たジョンは、世界に疑問を抱き始め・・・・驚くべき洞察力で描かれた、ディストピア小説の決定版。
    【引用終わり】

    本書の初版の発行は、1932年であり、なんと約90年前のことだ。ディストピアはユートピアの反対語であり、反理想郷とか、暗黒社会とかと訳されるようだ。
    ディストピア小説と表現されているが、この物語に描かれている社会は、ある意味ではユートピア社会だ。人類は、階級化され、その階級内で不満を持たないように、生まれる前から条件付けをされる。それはおおよそ成功しており、この社会で暮らす人々は、全く不満を持たない。
    一方で、「不満を持たない」ということと「幸福である」ということは異なる。この世界で人々が不満を持たないのは、実際の生活条件に対して不満を持たないように条件付けられている、プログラミングされているからであり、そこには、主体性というものはない。与えられた条件の中でのみ不満がないのであって、そこから外れようとすることは想定されていない。すなわち、人間に自主性を期待しないし、実際にこの世界で暮らす人は自主性・主体性を持たない。ただ難しいのは、「自主性・主体性を持たない」ということに、この世界の人間は気がつかないということである。そもそも自主性とか主体性という概念を持たないように生まれ、育てられる訳であり、そのような考えを持ちようがないのだ。
    そういう意味で、この世界は、「現在の我々の目から見れば」ディストピアなのであるが、では、我々自身の世界は全く違う目で見るとどうなのか、ということを考えさせる内容の小説になっている。

  • 全ての人が与えられた役割に満足し、幸せを感じるよう教育された未来世界...

    怒りも悲しみもない世界ってきっと楽だけど、ゾッとします。喜怒哀楽すべてが大切だと(根拠は言えないけれど、)感じているからかしら?

    主人公格の登場人物がちょいちょい変わるので、名前を覚えるのが少し大変でした。
    あと、「アルファ・ベータ・ガンマ・デルタ・エプシロン」の順番を覚えていた方が、物語がわかりやすくなります。
    また、シェイクスピア作品からの引用が多く、そちらにも興味がわきました。

    約90年前に書かれたとは思えない新鮮さのあるディストピア小説でした。
    文庫本表紙の並んだ顔のイラストも、中身を読んでから見ると「まさしく!」と言った感じです。

  • 昭和7年の作品とは思えないストーリーの緩急、個性的なキャラ、ぐんぐん読ませる面白本だった。発表当時はオーストラリアで発禁になったんだそう。

    『われら』や『一九八四年』と比べると大多数の人は圧力をかけられていない、というか自分ができあがるまえにきっちり型付けされるから軋轢が起きない社会。こんなの間違ってる、シェイクスピアが読めない世界なんて、と思っても、それは新世界の外にいるから言えること。飢餓や戦争よりましといわれたら反論できない気持ちになってしまう。

    長い目で見たら、変化できない生き物の集団はいつか適応できない事態に直面した時に全滅してしまうけれど、今ここにいるたくさんの人間をどうするのか。社会が守らなくてはならない価値は何か。快適で安定した新世界を疑似体験できるからこそ、読んだ後に考え込んでしまう本だった。

  • ディストピアものの名作の一つと聞いて読んでみたが、翻訳が新しいこともあってか古さを感じなかった。この本が書かれてからおよそ90年たつが、今の世の中はこの小説をフィクションだと一蹴することができるだろうかと考えると空恐ろしいものさえあった。
    世界観以外に読んでいて印象に残ったのは、社会の構成員が幸せに暮らしている中孤独を感じているバーナードという人物の描写だった。彼は上司に脅されたのを本気ととらないで高を括っていたのを後で所長が本気だったのを知って後悔したり、自分の非礼を許してくれた友人の寛大なところに感謝しつつ恨んだり、彼が自分の連れてきた未開人と仲良くなったのを見て嫉妬したりするといった行動をとる。そこに非常に人間味を覚え、自分はこういうふるまいとは無縁であるといえるだろうかと自省した。
    解説や年表も充実しており、特に訳者のあとがきで作中に何度も出てくる"pneumatic"という単語の訳出に苦労したという話が載っていた。読んでいてこれはどんな英単語をどのような意図で訳したのか気になっていた点を知ることができ、翻訳家はどんなことを考えながら仕事をしているのかを垣間見ることができて得した気分になった。

  • 昭和初期の発表されたディストピア小説。現代でも全く違和感を感じさせない。
    「一九八四年」(途中で挫折)と対比されるが、こちらは読みやすかった。
    いろいろな風刺やオマージュが詰まっていることが解説を補足することでさらに見えてくる。

    いろいろな翻訳本がでているので、また機会があれば読み比べてみたい。
    そして、「一九八四年」をもう一度挑戦してみる。

  •  ちょっとあきれたり身につまされたりしつつ、苦笑しながら読めるディストピア小説です。壜詰めで育てられる赤ん坊、ボカノフスキー法で生み出される同じ顔をした労働者たち…… “ああ、すばらしい新世界!”

     ドタバタとパロディー満載のおちゃらけ小説のようでいて、実はしっかりと哲学している作品でした。幸福とは何か、人間らしさとは何か? 人間らしくあることと幸福とは相容れないものなのか? 人間らしさを犠牲にしてまで守らなければならない社会の秩序とは何なのか?

     膨大なシェイクスピア作品を諳んじる野蛮人ジョンと、本当は科学者になりたかった世界統制官閣下との言葉の応酬(第17章)には思わず唸らされました。話題は芸術、科学から神の存在にまで至り、著者の教養と思索の深さを感じます(これはドストエフスキーの大作“カラマーゾフの兄弟”の「大審問官」のパロディーであるとの由)。

     結末はちょっと残念でした。こういう結末にしなくちゃいけなかったのかなあ……

  • ユートピア、ディストピア、今の社会、どれをとっても、どこか似てたりして、こわいかもしれない。小説世界の今の社会はそれとはまた別にある。という構成にほっとする面を思わせる。

  • 瓶詰めの科学的に調整を施す人間培養、その調整によって格付けされた人間社会、あらゆる快楽を叶えることで欲望や不満、絶望を排除したユートピア。人間の最大の欲求は信頼関係のある人付き合い、と定義する人がいるが、それさえ叶えることのできるユートピアは果たしてディストピアなのか。かなり極端な世界ではあるが、今自分が置かれている自由はとても幸福なことであると実感する。もし自分に苦難が降り掛かったとき、本当に「ソーマ」を拒絶出来るかは怪しいとは思います。16章、17章のジョンと世界統制官との論戦は興味深いが、個人的にはやや宗教的思想に偏るジョンにも賛同できないところがある。
    そして衝撃のラスト。自分への鞭打ちさえなければ穏やかな生活を営むことができそうだが。

  • 妙に現実味がある不思議な作品

    今でも自分でも気づかない条件付け教育は
    いくつもあるんだろうな

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著者プロフィール

1894年−1963年。イギリスの著作家。1937年、眼の治療のためアメリカ合衆国に移住。ベイツメソッドとアレクサンダー・テクニークが視力回復に効を成した。小説・エッセイ・詩・旅行記など多数発表したが、小説『すばらしい新世界』『島』によってその名を広く知られている。また、神秘主義の研究も深め『知覚の扉』は高評価を得た。

「2023年 『ものの見方 リラックスからはじめる視力改善』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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