消しゴム (光文社古典新訳文庫 Aロ 6-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752750

感想・レビュー・書評

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  • 世の中「かっこ良ければ全てがオッケーで、後はまあ」みたいな物が沢山あって、要するにだねー、何を選ぶことにより人それぞれの生きるセンスに直結してしまったりするんですが、うちの姉だったらキンプリ(ジャニーズ)で、自分だったらこの作者が作ったヌーベルバーグ映画なんかと思うんですけども。物事は全てが多方向に存在してるから、人はやいのやいの言う。だが、もう皆年寄りになったことだし、もう全てを肯定して生きよう。何一つ心を動かされなくとも、キンプリかっこいい。それだけ言うとけ。後は考えるな。

  • 少し前に名画座でアラン・ロブ=グリエの特集上映をやっていたのだけど、日程が合わなくて1作も見れず、なんだか悔しかったのでせめて小説でも読んで紛らすことに。アラン・ロブ=グリエは以前『迷路のなかで』(https://booklog.jp/item/1/4061976028)を読んだきり。

    ある町で9日連続同じ時刻(夜の7時半)に特定の党派の関係者を狙った暗殺事件が起こる。9番目の被害者はダニエル・デュポンという大学教授。事件の捜査を命じられた特別捜査官ヴァラスは、被害者邸近くのカフェに宿を取り捜査を開始するが・・・。

    特殊な構造だけれど表面的には普通にミステリーとして読むことも可能。犯人&犯行の様子が最初に明かされているパターンで、読者は犯人が誰かも、被害者がどうなったかも、共犯が誰かも知っているのだけれど、探偵役の主人公は、見当違いの場所をぐるぐるし続け、警察署長は見当違いの妄想推理を繰り広げる。

    ヴィクトル・ユゴー通りが出てくるまでマヌケな私は気づかなかったのだけど舞台はどうやらパリらしい。跳ね橋がある運河というのはサン・マルタン運河のことか。作中でははっきりパリと明言されることはなく、ただただ、主人公はどこを歩いても迷子になる・・・。そうして道を尋ねたりする傍ら、文具店をみつけるたびに消しゴムを買い求めるヴァラス(彼の欲している消しゴムには全然巡り会えない)

    ヴァラスの時計が7時半で止まっていること、殺人犯とヴァラスがどうやら似ていると何人もが証言すること、事件が起こったのは月曜日で、ヴァラスが捜査を始めるのは火曜日なのに、今日が月曜だと勘違いする人物がいること、被害者と紛らわしい名前の別人がいることなど、伏線はいくつもあるのだけど、要はこの長い小説が実はたった1日=24時間の出来事であり、ラストで冒頭と同じ時刻になるのがキモ。

    オイディプスのモチーフが随所に散りばめられており(スフィンクスのようにやたらとなぞなぞを出す男、父親を知らない息子)つまり定められた運命を回避することはできない。24時間後にそれは結局実現してしまう。不条理、悪夢感もありつつ、ループSFのような印象も残り、個人的にはなかなか楽しかった。

    訳者解説によると、安部公房の『燃えつきた地図』や、ポール・オースターの作品のいくつかは、この小説の影響を受けて書かれているとのこと。探偵の探している犯人が探偵自身かも、というパターン。そういう意味ではピンチョンも同系列な気がする。

  • 銃弾が発射されてデュポンの胸を貫くまでの24時間

  • ヴァラスはなぜそうせざるを得なかったのか?
    キーワードは運河。腕時計。そして「計画もなく、方針もなく、不可解で、おぞましい、初冬の一日」……

  • うーーーーーーーーーーーーーーん

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