地底旅行 (光文社古典新訳文庫)

制作 : Jules Verne  高野 優 
  • 光文社
4.29
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本棚登録 : 76
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752774

感想・レビュー・書評

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  • 2018年30冊目。

    小学生の頃、ヴェルヌの『海底二万里』を渡されて、ほとんど読まずに放棄していたことを思い出す。
    これだけ想像力が刺激され、未知の世界にワクワクできるヴェルヌの作品を逃していたことを後悔。
    『地底旅行』は、大人になって読んでも心踊る、素晴らしい本だった。

    危険な地底への旅に邁進する鉱物学者の叔父リーデンブロック教授のキャラクターが強烈。
    科学者でありながら、旅にとって不都合で、旅を差し止めるような危険性を示唆する理論には真っ向から反対。
    自分が進むべき理由だけを盲信して突き進む。
    なんだかドン・キホーテみたいだなと思いながら読んでいたら、役者あとがきにも同じことが書かれていて「やっぱり!」と嬉しくなった。
    こういう盲信の力には憧れがある。

    地底だけでなく、海底や月世界の想像上の旅まで書き上げているヴェルヌの想像力に脱帽。
    どれも読んでみたい。

  • 読了。

    地底へ行くまでに相当なページを割いており、読むのが苦痛になってくる。

    しかし訳者があとがきで『……アクセルや読者を少しずつ非合理的な世界に慣らすため』云々と書いてあり、なるほどと思った。

    長ーい……と辟易しつつ読み進めて行くうちにリーデンブロック教授の強引さや、科学者なのに非合理的なところが気にならなくなってくるのは確か。

    地底へ行ってからの古代の地球の様子が詳細に記されているところなどは、ヴェルヌは本当に行って見てきたんじゃないかと思うほどだった。

    読了後はなんだか清々しい気持ちになり、他のヴェルヌ作品にも触れたいと思わされた。
    (171118)









  • 地層を遡ることで過去への知見は広がります。
    地底旅行は、地層を遡ることで過去を体感することになります。
    高度な科学技術などは現れませんが、古生物学・地質学等に焦点を当てた風変りなSF小説と言えるでしょう。
    科学は絶対であるとしていた教授が、間もなく理論などどうでも良いとする様が、変化を許容する科学という存在そのものであると感じられます。
    比較的長編と思いますが、話がなかなか進まない部分と劇的な速度で進む部分が現実的であり、読者を飽きさせません。

  •  私は何も言わず、目の前の素晴らしい光景を眺めた。この感覚を言葉で表さすことは難しい。私は自分が天王星や海王星のような、はるか遠くの惑星にいて、地球の感覚では理解できない現象を見ているような気分になった。今までに経験したことのない、この新しい感覚を表現するためには、新しい言葉がいる。けれども、私の乏しい想像力では、その言葉を見つけることができないでいたのだ。私はただ少しばかり畏怖の混じった驚嘆の思いを抱きながら、この不思議な光景に目を奪われていた。(p.327)

     「ああ、アクセル。科学などというのは、まちがいでできているようなもんじゃ。だが、まちがいは犯したほうがいい。それによって、少しずつ真実に近づいていくのじゃからな」(p.343)

     太陽と同じ大きさ―つまり、今の地球の百四十倍にふくれあがった、このガスの塊の中心で、私は直接、宇宙空間に浮かんでいた。私の身体は粉々に砕け、やがてそれもまた蒸気となって、地球の蒸気と―今はただ赤く燃えながら、巨大なガスの集積となって、かろうじて球形を保っている地球の蒸気とひとつになった。私は原子となり、地球を形づくっていた無数の原子に混ざった……。(p.362)

     人間なんてこんなものだ。ほんの些細なことで、精神状態が変化する。腹が満たされてしまうと、飢え死にする恐怖はほとんど顔から消えてしまった。恐怖を感じるには、実務にお腹がすいていなければならないのだ。丸一日、何も食べなかったあと、ほんの少し、乾パンと干し肉を口にしただけで、私はあれほど飢え死にを心配したことを忘れていた。(p.484)

  • 【配置場所】特集コーナー【請求記号】953.6||V
    【資料ID】91131532

  • 以前、岩波版を読んだのですがそれよりもかなり軽い感じになっていました。新訳だからこれが今風なのでしょうか。

    ちょっと変わった科学者の叔父と振り回される主人公、寡黙なガイドと地底を探検。と言う内容に当然ながら変わりはありませんが重厚さが無く、読みやすいと言えば読みやすく、物足りないと言えば物足りない、と言う読後感でした。

  • ヴェルヌ恐るべし。
    読みやすく、またヴェルヌらしく見せ場もきちんと用意されている。とにかく科学的知見の造詣が深い。
    解説には科学、哲学、宗教学にも影響を与えると書いてあり、なんだかヴェルヌが途轍もない人間として書かれてる。しかし本編でプレートテクトニクス論を思わせる箇所があり、もしかしたら彼は大陸移動説を当時考えていたのかもと、ヴェルヌをより途轍もない人間なのではと考えてしまった。

  • 本文自体はすばらしく、さすがの不朽の名作という感を覚える。
    ただ、科学的注釈および、間違いなどを指摘するのが専門的かつ多く、しかも物語の本筋とは関係のないところばかりで興ざめだ。
    よって、この点数である。

  • 久々の再読。やっぱり面白かった&読みやすかった。

    地底に広がるセンス・オブ・ワンダー。このイマジネーションに驚きつつも、すべてにそれなりの科学的説明をつけているジュール・ヴェルヌの知的能力の高さに感心します。

    変人のリーデンブロック教授に振り回される常識人のアクセル少年という安定した話型をベースにしつつ、時おり浮かれて暴走してしまうアクセル少年の行動もきいてます。

  • p.482
    「あたりまえじゃ! 人間は心臓が鼓動を打つかぎり、肉体を動かすことができるかぎり、希望を失ってはならん。絶望に身をゆだねてはならん。わしはそう思うぞ」

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著者プロフィール

Jules Verne(ジュール・ヴェルヌ)

1828年,フランス北西部の都市ナントに生まれる.二十歳でパリ上京後,代訴人だった父の跡を継ぐことを拒否し,オペレッタの台本やシャンソンを執筆する.1862年,出版者ピエール=ジュール・エッツェルと出会い,その示唆を得て書いた『気球に乗って五週間』で小説家デビューを果たす.以後,地理学をベースにした冒険小説を次々に発表.作者が1905年に没するまでに六十篇を超えたそれらの小説は,いずれもエッツェル社から刊行され,1866年以降,その挿絵版が〈驚異の旅〉という総タイトルの下にシリーズ化された.代表作は,『地球の中心への旅』『海底二万里』『八十日間世界一周』『神秘の島』『ミシェル・ストロゴフ』等.多くの科学者や探検家が子供の頃に読んで強い影響を受けただけではなく,コナン・ドイル以降のジャンル小説の書き手はもちろん,レーモン・ルーセル,ミシェル・ビュトール,ジュリアン・グラック,ジョルジュ・ペレック,ル・クレジオ等々,ヴェルヌとの文学的血縁関係を自認する作家は少なくない.

「2017年 『ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクションIV 蒸気で動く家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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