ハックルベリー・フィンの冒険(上) (光文社古典新訳文庫)

制作 : Mark Twain  土屋 京子 
  • 光文社
4.11
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本棚登録 : 86
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752927

感想・レビュー・書評

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  • 相棒の黒人奴隷とひたすら川を下る中で、ハックの逞しさ、賢さ、鋭さが光る。うん、やっぱこいつかっこいい。
    にしても、まさか最後に「彼」が登場するとは……まさに、「ヒーローは遅れてやって来る」??

  • 読み始めたきっかけは特別覚えていないけど、読みながらディケンズの「デイヴィッド・コパフィールド」を思い出した。デイヴィッドの方は一人称の語りだったような気がするんだけど、もしかしたら違うかもしれない。こっちはハックの一人語りだけども。今と比べるといつの時代の昔も純粋だったし素直だったように見えるんだけど、やっぱりそれはそれでねじれてるしこんがらがっている。そんな時代に必死に明るく生きようとした少年の物語っていう、そういうのが僕は好きなのかもしれない。

    時代は1830年ほどらしい。南北戦争前のアメリカ。直接的に間接的に、黒人奴隷の存在が物語の通奏低音になっている。しかしそれを良し悪しいう直接的な言説はない。ハックは白人でその時の見方で黒人を見下げてるし、黒人は黒人である意味での奴隷根性が染みついている。でもそれに染まりきっていない黒人もいて、それがハックの家のジムで、そのジムの逃亡を不可避的に助けながら冒険をするように話が進む。

    大体こういう時代の話お決まりの、思い込みが激しいキャラの連発で、そんなキャラクターたちががやがやとやりながら話が進んでいく。結構悲惨な出来事も少なくないんだけど(親しくしていた人が死ぬなど)、そこに重力を与えない。

    宗教的な道徳的な正しさを明るく信じているハックだが、不可避的に投げかけられる人間の生に対する問いかけに何度も立ち止まり、考え、時に答えを与えられ、時に悩むままでおわる。黒人奴隷のジムが自由州に到着しそうだと喜ぶ姿に良心がジクジクする。奴隷の逃亡は違法であるし、それを偶然にでも手伝ったのは紛れもなく自分であるし。それはただのコンプライアンスの問題ではなく、命に根差したハックの良心の問題として描かれている。

    トウェインは物語以上の政治的、人格的なメッセージは一切ないし、それを読み取ろうとすることも望まない、と巻頭にわざわざ述べているが、それを読み取らずにおれようか、という感じである。下巻に続く


    17.5.19

著者プロフィール

マーク・トウェイン 1835年ミズーリ州フロリダに生まれる。4歳のとき、ミシシッピ川沿いの村に移り住み、自然に恵まれた少年時代を過ごす。12歳で父親を亡くし、生活のために印刷工、蒸気船の水先案内人、新聞記者など様々な職業についたが、やがて『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険』『王子と乞食』など多くのすぐれた作品を世に送り出し、アメリカの国民的作家となった。

「2019年 『さらわれたオレオマーガリン王子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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