老人と海 (光文社古典新訳文庫)

制作 : Ernest Hemingway  小川 高義 
  • 光文社
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レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752996

感想・レビュー・書評

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  • 「老人と海」というタイトル、というべきか、老人という言葉がそこに選ばれていることが全てを物語っているような感じもあり、あれこれと語らない方がいいような気がしてしまう作品です。アルコール度数の高いリキュールみたいな。
    あらすじはといえば、タイトルの通り老人と海の話であり、起こることは一通り裏表紙に書いてあります。究極的に簡潔な話で、一見絵本にでもまとめられそうです。だけど、そこそこの文量を読まなければ伝わらない、刻まれた色んなものがそこにあるからこそ、文学として成立していて、それ以上に名作として読み継がれているのでしょう。
    私の場合、典型的な「斜陽」の話なのが興味をそそられた一因です。人生の黄昏時が語られる話にめっぽう弱いのです。それも、若者が見たときには切なくなって泣いてしまいそうな状況でも当の本人は笑顔、という具合の、「幸せとは何か」的問題を突き付けられるものが大好きで。老人が帰ってきた後の描写がまさにその構図で、思わず感極まりそうになりました。年を取ってもささやかで良いから幸せのある人生を送りたいな、としんみり思って本を閉じました。
    ヘミングウェイの作品を恥ずかしながらまともに読んだことがないので、ずっと読もうと思っている「移動祝祭日」を次は読もうかと。

  • 老境の男の孤独と気概、そして、祈りにも似た慈愛を丹念に描いた作品。あらすじから、いかにもハリウッド映画的な、巨大生物と男が戦う猛々しい物語を想像していたけど、全く違いました。

    広大な海の上でたった一人、巨大カジキや鮫と孤軍奮闘しながら、「あの子がいたらな」と、何度も、友人でもあり、相棒でもあり、弟子でもあり、孫のような存在でもある少年の存在に想いを馳せる老人の孤独な姿はどこか哀しくてぐっときます。

  • 3日間にわたる老人と巨大カジキの闘争も読み応えがあったが、老人と少年の師弟愛に心を打たれた。

    老いぼれた老人であっても、少年にとっては漁の師匠なのだ。一方、老人は少年に言ったことを証明しようとする。漁師であり、師匠、男であることの証明だろう。「そんな証明は、もう千度もしただろうが、だからといって意味はない。いま一度、その証明をしようとしている。毎回が新しい回なのだ」(p.66)。こういうしょうもない男の考え方、好きです。

    今は結果のみを重視する風潮があるが、周りの態度が変わり、少年が涙する意味を大切にしたい。

  • ヘミングウェイのノーベル賞受賞作品です。
    物語はとてもシンプルなのに、老漁師サンチャゴが孤独に厳然と戦い抜く姿は、まるで巨大な岩のようでした。
    短い作品ですが、書かれている言葉以上に、何かを読み手に訴えてくる作品だと思いました。

  • 2018年1月29日読了

  • 絡み合う魚、鳥、亀、海月、鮫、漁師の関係が、社会と人生の縮図のよう。
    夢に欠かさず見る、ライオンと、じゃれ合うイルカの夢が、老いを感じて切なかった。

  • 言ってしまえば実に単純な物語なのだが、解説にもあるように「ただそれだけであっても読ませる」というところに普遍的名作の底力があるのか。多くの困難が訪れても、逃げる、諦めるという文字が一切ないあたりに、人間の普遍的な力が現れているように思える。

  • 良かった。この名作は、ある部分は読んだような
    記憶がありますが、完全に読んだことがなかったかも
    しれません。
    ストーリはいたって単純というか単調な内容ではありますが
    この本の訳がいいのか引き込まれていくような内容で
    カジキと戦っているところ、サメとの攻防のところなどは
    本当に引き込まれて読んでしまいます。またそのときの
    海の景色、様子、また老人が少年を思いだすところとか
    そこはかとなくいいと思います。
    また、海からかえって脱力する老人や、最後のツアー客の
    言葉とかも”いい”と思います。

  • ストーリーはいたって平凡。ヘミングウェイはこの作品で何を描きたかったのか。
    ヘミングウェイ自身は度重なる病気や事故で最後は自殺をしている。そして主人公である老人は老人にしかわからない幸せと悲しみを感じていた。自身を老人に重ね合わせたのなら、人生は自身にしかわからず、周りから見るといたって平凡に見えることを表したかったのか。

  • 話としてはワイルドなジイさんが船漕いで、松方弘樹よろしくメカジキを釣り上げて帰ってくる話なのに不思議な爽快感。熱い太陽、頚に当たる灼熱感。人間の獲物である筈のメカジキが孤独な海上では対等に闘うライバルであり、更なる脅威を前にし共に闘う同士となる。そして生への執着に絶望から清然と冴え渡る思考力に舌を巻き自然界の中での力関係の変化を楽しむ。ハッピーな結末ではないけれど、不思議と暗い気持ちにはならなかった。そこには自然に蹂躙されてもなお変わらぬ人間の信念のようなものが感じられる。少年もきっと私と同じ気持ちで老人を見つめていたと思う。
    ヘミングウェイは人生を描いている。

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