書記バートルビー/漂流船 (古典新訳文庫)

  • 光文社
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本棚登録 : 243
感想 : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334753160

感想・レビュー・書評

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  • 「バートルビー」、これは衝撃だった。書記として雇われながら、「しないほうがいいと思います」と雇い主であり語り手でもある弁護士の求める仕事を断る謎の人物バートルビー。語り手はえもいわれぬ罪悪感によって、なかなかバートルビーを追い出せないでいる。
    この罪悪感の正体というのは、人間はいつも、あらゆる制約の中で、しないでいいことをしすぎる、ただ存在していてはいけないのか、その罪悪感であるように思う。
    短いながら、人間を根底から揺るがす作品だと戦慄した。

    「漂流船」
    たまたま遭遇した漂流船を救助しようと船長があがった船上に漂っていた異様な雰囲気。迎えに出たスペイン人の船長と、その横でかいがいしく使えるアフリカ人の従者。古い小説だから、いわゆる「黒人奴隷」が悪として描かれているのかと思いきや違った。どうやら実際の事件に基づいているらしい。面白すぎて読むのを中断できなかった。

  • 読んだほうがいいと思います

  • kindle unlimited。
    「バートルビー」有名なタイトルだけど、読んでなかった。今回読んでみて、はじまりはポーの小説のようなおかしな仕事仲間がいる会社だな、ではじまり肝心のバートルビーはカフカのような人物だった。なにもしない人。カフカだと最後に死ぬのはあれこれと手を尽くした法律事務所の所長となるのだけど、本作で死ぬのはバートルビー。
    「漂流船」は、奴隷船を黒人奴隷が乗っ取るはなし。この小説が書かれたのは、南北戦争が始まる少し前。実際にあった事件をモデルにしているらしい。時代の空気としてそういった黒人の反乱への恐れみたいなものがあったのだろう。

  • バートルビーは、主人公の心の広さや葛藤が細やかに描かれており、感情移入ができます。結果のところバートルビーがなぜ頑なのかはわからないままではあるが、読み手の感情を揺さぶる人物であることは間違いなく、作者の意図にまんまとかかってしまいます。
    漂流船は、なんだか方向感がない展開でめんどくさくなって読み飛ばしました。ミステリーだったんですね。展開次第ではもっと魅力的な作品になりそうな題材ですが話の筋に関係ない部分が多く注意散漫になってしまいました。

  • 雇い主の弁護士の善意も常識もまったく通じないバートルビー。こんな人物が現実に現れたら、私も翻弄され、ただ腹を立てるだろう。人間社会のルールに従わないと、生きる権利を失う世の中。説明可能な言動以外は許されない。人間が常日頃、いかに四角四面の生き方を強いられているかを実感した。

  • メルヴィルと言えば白鯨。書記バートルビーは初読。
    仕事はできるのに、一切を拒絶するバートルビー。生きることさえ拒絶し餓死する。不条理がおもしろい。

  • こんな人いたら嫌だ。でも結構近しい人って仕事してると見かけるし、自分も他人からするとそうかもしれない。
    バートルビーは結局何を求めていたんだろう??

  • メルヴィル「書記バートルビー」
    「わたくしはしない方がいいと思います」と言って、なにもしない、出てもいかない、バートルビー。彼がどうしてそうなってしまったのか、ラストにそっとほのめかされるけれど、はっきりとは分からない。壁のそばで横向きに寝転びそのまま死んでしまったバートルビー。主人公は困り果てながらも無理矢理追い出そうとするわけではなかった。そこにじわじわしたリアリティがあった。

  • 2020.10.30 図書館

  • ブンガク
    かかった時間 たぶん180分かそれ以上

    さいきん、『文学こそ最高の教養である』という新書を読んでいる。光文社古典新訳文庫の編集者が、各作品の翻訳者と行った対談を書籍化したものだ。

    せっかくなので、その中からいくつか気になるものを買って読んでみることにした。そのひとつが本作品。

    メルヴィル、知らなかったけど、ものすごく謎が多くて、ホラー?サスペンス?だ。あ、ミステリーか?(違いがわからん)

    書記バートルビーは、表面的には今でいうコミュ障の話として読むこともできるが、翻訳者の力で「それだけではない」感が残る。語り手の弁護士自体もそうだが、全体的に奇妙。そして、「お分かりにならないのですか」のくだりはやっぱりゾッとした。
    不思議なチカラは覗くことで効力を失う、というモチーフも印象的だ。あと壁ってなに?先のない資本主義?(適当) …みたいに、再読すると解釈がまだできそう。

    漂流船は、まじでミステリー。キングオブ「信頼できない語り手」が語り手となって話が進むが、それが功を奏しているとか、それでも「奇妙さ」を全部キャッチしてるのはすごくないか、とか、あとがきに書いていたけどベニートはほんとうに「被害者」なのか、とか、これもいろいろ考えられそう。

    ちょっとこれ、次は「白鯨」ですかね…
    (※追記 「白鯨」は長かったので購入を延期…笑)

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著者プロフィール

(1819年8月1日 - 1891年9月28日)ニューヨーク出身。著作は代表作『白鯨』の他、『代書人バートルビー』『ビリー・バッド』などがある。

「2015年 『白鯨 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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