書記バートルビー/漂流船 (古典新訳文庫)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334753160

感想・レビュー・書評

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  • 午後になると攻撃的で雑になるターキー。
    午前中は消化不良を起こすニッパーズ。
    そして、お菓子を調達するのが大好きジンジャーナット。

    その時点で、なかなかハードな職場だなーと思うのだけど、新たに雇ったバートルビーがヤバい。
    最初は、誰よりも静かに黙々と仕事をこなす、優等生のように思えたのだけど。

    雇用主の「この仕事をしてくれ」という申し出に、「いえ、私はそれをしない方がいいと思います」と断り続ける辺りから、世界は不協和音を奏ではじめる。

    後の「漂流船」でも、奴隷というテーマを扱っているのだが、確かに雇う側と雇われる側というのは、不公平な関係性ではある。

    「バートルビー」の雇用主は、なるべく力を行使して従わせようとはしないし、バートルビー自身も、「私は◯◯しない方が良いと思います」とか「あななたには本当にその理由が分からないのですか?」といった言い方で相手を伺う。

    けれど、結局、雇用主は職場を引っ越してしまい、バートルビーは不審者として捕まってしまう。

    お金を貰っている以上、「どこまでが」仕事なのだろう?という疑問が残る。

  • 「書記バートルビー」のみ読了。結局、なんだったんだよ、バートルビー!弁護士事務所で、最初は筆写だけはまじめにこなしていたバートルビー。しかし他の仕事を頼もうとすると「わたくしはしない方がいいと思います」と断わり。そのうち筆者もしなくなり。ただ立ち尽くすだけに。何度も注意し、ついには解雇しても立ち去らず、事務所ごと移転した雇い主。しかし、バートルビーはその建物に居続けて、最後は…と。意味ありげな「あなたはその理由をご自分でおわかりにならないのですか」。解説の「まさしくメルヴィルは「金」を「神」以上に崇拝するキリスト教社会、そしてその社会の奴隷となっている人間の悲喜劇を描きながら、「一般善良な」人物を介して、読者にも真実の生き方を考えるように、答えを迫っているのである」にも納得いかず。

  • メルヴィルと言えば白鯨。書記バートルビーは初読。
    仕事はできるのに、一切を拒絶するバートルビー。生きることさえ拒絶し餓死する。不条理がおもしろい。

  • 「バートルビー」、これは衝撃だった。書記として雇われながら、「しないほうがいいと思います」と雇い主であり語り手でもある弁護士の求める仕事を断る謎の人物バートルビー。語り手はえもいわれぬ罪悪感によって、なかなかバートルビーを追い出せないでいる。
    この罪悪感の正体というのは、人間はいつも、あらゆる制約の中で、しないでいいことをしすぎる、ただ存在していてはいけないのか、その罪悪感であるように思う。
    短いながら、人間を根底から揺るがす作品だと戦慄した。

    「漂流船」
    たまたま遭遇した漂流船を救助しようと船長があがった船上に漂っていた異様な雰囲気。迎えに出たスペイン人の船長と、その横でかいがいしく使えるアフリカ人の従者。古い小説だから、いわゆる「黒人奴隷」が悪として描かれているのかと思いきや違った。どうやら実際の事件に基づいているらしい。面白すぎて読むのを中断できなかった。

  • 読んだほうがいいと思います

  • ちょっと私には合わなかったかも...

    ある人のエッセイを読んでいて紹介されていた本

  • kindle unlimited。
    「バートルビー」有名なタイトルだけど、読んでなかった。今回読んでみて、はじまりはポーの小説のようなおかしな仕事仲間がいる会社だな、ではじまり肝心のバートルビーはカフカのような人物だった。なにもしない人。カフカだと最後に死ぬのはあれこれと手を尽くした法律事務所の所長となるのだけど、本作で死ぬのはバートルビー。
    「漂流船」は、奴隷船を黒人奴隷が乗っ取るはなし。この小説が書かれたのは、南北戦争が始まる少し前。実際にあった事件をモデルにしているらしい。時代の空気としてそういった黒人の反乱への恐れみたいなものがあったのだろう。

  • バートルビーは、主人公の心の広さや葛藤が細やかに描かれており、感情移入ができます。結果のところバートルビーがなぜ頑なのかはわからないままではあるが、読み手の感情を揺さぶる人物であることは間違いなく、作者の意図にまんまとかかってしまいます。
    漂流船は、なんだか方向感がない展開でめんどくさくなって読み飛ばしました。ミステリーだったんですね。展開次第ではもっと魅力的な作品になりそうな題材ですが話の筋に関係ない部分が多く注意散漫になってしまいました。

  • 雇い主の弁護士の善意も常識もまったく通じないバートルビー。こんな人物が現実に現れたら、私も翻弄され、ただ腹を立てるだろう。人間社会のルールに従わないと、生きる権利を失う世の中。説明可能な言動以外は許されない。人間が常日頃、いかに四角四面の生き方を強いられているかを実感した。

  • こんな人いたら嫌だ。でも結構近しい人って仕事してると見かけるし、自分も他人からするとそうかもしれない。
    バートルビーは結局何を求めていたんだろう??

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著者プロフィール

(1819年8月1日 - 1891年9月28日)ニューヨーク出身。著作は代表作『白鯨』の他、『代書人バートルビー』『ビリー・バッド』などがある。

「2015年 『白鯨 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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