にんじん (古典新訳文庫)

  • 光文社
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本棚登録 : 158
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334753511

感想・レビュー・書評

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  • さよなら『にんじん』

    ということで「あら、素敵な本棚ね。と思われたくて読み直す世界の名作シリーズ」第一弾『にんじん』です

    以前から気になっていた「光文社古典新訳文庫」名作と呼ばれるようなんは一通り読んでるんですが、やっぱりあらかた中身は忘れちゃってるので、せっかくなら【新訳】で気長に読み直そうと思い立ち、馬鹿みたいに手を広げておりますw

    本当は『あしながおじさん』が気になってたんですが、みんみんの読書ストーカーと思われたらプライドが許さないので、やっぱり中身は忘れちゃってるんですが、子供の頃大好きだった記憶だけは残ってるフランスはルナールの『にんじん』からです

    なぜ大好きだったかとうっすら残る記憶を紐解くと、主人公の少年にうっすら自分を重ねてたんだと思うんですよね

    と、思って読み直したら、あれれ?にんじんめちゃめちゃ姉兄、母親にいじめられてるやん
    しかもそのうっぷんを晴らすのににんじん自身も小動物を虐待してるし
    結末もハッピーエンドに程遠い

    確かに一番上にお姉ちゃん、次にお兄ちゃんで末っ子っていう家族構成と、にんじんの頑固で理屈っぽく、空想癖があってちょっと嘘つきってのは子供の頃の自分に重なるけど

    父母はもちろん姉兄にも愛され守られた記憶しかないぞ?めっちゃ甘やかされたし
    おかしいな

    たぶんあれだな
    兄貴に些細な意地悪をされたりゲームの順番守ってくれなかったり
    お姉ちゃんとお風呂に入って頭をちゃんと洗わなくて叱られたり
    母親によく出来たテストを思ったほど褒めてもらえなかったり
    父親が遊びに連れて行ってくれる約束を守ってくれなかったりしたときの気持ちを意地になって広げてただけな気がするわ

    ごめん、にんじん
    わし君とは全然違ったわ

    たぶんルナールの主題とは全然違うところに着地してるのは充分承知してるけど

    今になって愛された子供時代を再認識してるわ

    さよなら『にんじん』

    • おびのりさん
      あら、素敵な本棚ね。
      あら、素敵な本棚ね。
      2022/11/01
    • 土瓶さん
      アラスカ的な本棚ね。
      アラスカ的な本棚ね。
      2022/11/01
    • ひまわりめろんさん
      アラスカと言えばヘラジカですね
      って誰が世界最大の鹿やねん!

      素敵かつ高貴な本棚です
      お間違えなくあさーせ
      アラスカと言えばヘラジカですね
      って誰が世界最大の鹿やねん!

      素敵かつ高貴な本棚です
      お間違えなくあさーせ
      2022/11/01
  • 教訓とか示唆とかはありません。ただ幼少期を凄く懐かしむ気持ちになれた。でもこの「懐かしさ」っていうのが、単なるあの頃は楽しかった〜とか無邪気だったな〜とかじゃない。幼少期ってなんとも言えない不安をずっと感じてたと思う。些細なことでしょっちゅう周りを気にしてた気がする。そういう今から思えば些細な事への巨大な「不安」をこの作品から思い出すことができた。

  • 小学校のときに読み、印象的だったので大人になってから読み返しました。
    あの頃は孤独で、にんじんを読んでいると自分も負けないって気持ちになった。
    今読むとまた少し違う視点で、頑張るにんじんの姿が見えた。

  • 赤毛とそばかすの外見から「にんじん」と呼ばれる少年と、おもに彼の家族との短いエピソード集からなる自伝的小説です。

    少年と彼を取り囲む人々を描いた心温まるストーリーを想像していたのですが、読み始めてすぐに予想は覆されました。

    本作では、時によっては虐待ともいえるような冷たい母から仕打ちを受け、兄・姉からは爪はじきにされ、影の薄い父親は無関心を決め込み関与せず、家庭内でにんじんが激しく疎外される様子が繰り返し描かれています。にんじん自身も彼なりにそのような環境をやり過ごしながらも、愛に飢えた孤独な身の上からか、端々に残酷さや狂気を伺わせるような一面も垣間見せます。また、少年の両親にしてから、その夫婦関係が冷めきっていることが読み進めるうえで徐々に明らかにされます。

    この物語が類型的な児童文学として扱うできないことは明白ですが、とはいえ、本作をどのように捉えれば良いかは難しいところです。道徳を訴えるわけでもなく、無垢な子供像を描くでもなく、わかりやすい成長物語でもない、かといって単に子どもへの残酷な仕打ちを扱ったリアリスティックな作品としても捉えられません。容易には吸収できない、そして心に奇妙な後味を残す印象深い読書になりました。

    なお、この光文社古典新訳文庫版は訳者による解説とあとがきが非常に優れており、著者の生涯や日記、他作品を参照しつつ、ある種難解で一読では捉えがたい本作の理解を大いに助けてくれます。

  • 見るのが辛い。読みすすめていくごとに非情な現実に打ちのめされて気分が沈む。途中で限界がきて投げ出してしまった。現実の苦痛ってこんな感じだよね。ドラマチック的な悲劇と救済なんてものはなく、ただひたすらに平坦とのっぺりとした苦痛が続く。反抗には及ばずただ凌ぐことに精一杯の毎日。日常という平坦な戦場で生きていくことは、あまりにも長く、退屈で、味気がない。そうゆう日常を直視するのが苦痛な私にこの本はまだ早い。

  • なにかよからぬことが起こるのでは、と家族目線ではらはらしながら読み進める。多感な子供はささやかな事でもそれを経験として取り込み成長する。子どもに愛情をそそくことなく、虐待する親が育てた場合、その経験が卑屈な人間に育てられるような、反面教師的な側面がある。昔は子どもにお酒を飲ませたり、銃を扱わせたりしたのか。
    読み手に家族目線とにんじん目線と代わる代わる視点が変わるところも面白い。
    とてもシンプルな文体で子供向けの本とはじめは思ったがそうではないらしいです。時折支離滅裂な文章があるところも不安にさせられる。
    古典にはこんな斬新なものもあるんですね。色々発掘してみたくなります。

  • 目次の並べ方が絵本みたいで可愛らしい。けど内容は全然可愛らしくなんかない。母親のルピック夫人は、にんじんを否定し続ける。父親は、不在がち。ひどい話しでにんじんのスープには、自分のを。昨日の夜のが入っていて。飲んじゃった。汚い子だと言われた時にそんなことだろうと思ったよって。そんな返しあるか?と思った。にんじんのアルバムでにんじんは夫人に撮られたことがなく写真がない。なぜにんじんと呼ぶのです。髪の毛が黄色いからですか?ときかれでも、心はもっと黄色です。と夫人が答えた。黄色には薄汚れたという意味がある。にんじんは、ルナールの自伝ではないが、自伝的事実を大量に含んでいるという。見たくないだろう過去か。つらいな。

  • 作者の子どものころの実話を少し、脚色してということだけど、なかなか考えさせられる話が多かった. 主人公も含めみんなあまりに等身大の人間的.

  • 自由になるには、言葉の護符、ポジティブな行動、考え抜いた主観的な勘違い。呪詛は悪と醜、客観的な驚きに過ぎない。善と美を傍らに置く。

  • 図書館

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