にんじん (古典新訳文庫)

  • 光文社
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本棚登録 : 41
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334753511

感想・レビュー・書評

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  • 教訓とか示唆とかはありません。ただ幼少期を凄く懐かしむ気持ちになれた。でもこの「懐かしさ」っていうのが、単なるあの頃は楽しかった〜とか無邪気だったな〜とかじゃない。幼少期ってなんとも言えない不安をずっと感じてたと思う。些細なことでしょっちゅう周りを気にしてた気がする。そういう今から思えば些細な事への巨大な「不安」をこの作品から思い出すことができた。

  • 赤毛とそばかすの外見から「にんじん」と呼ばれる少年と、おもに彼の家族との短いエピソード集からなる自伝的小説です。

    少年と彼を取り囲む人々を描いた心温まるストーリーを想像していたのですが、読み始めてすぐに予想は覆されました。

    本作では、時によっては虐待ともいえるような冷たい母から仕打ちを受け、兄・姉からは爪はじきにされ、影の薄い父親は無関心を決め込み関与せず、家庭内でにんじんが激しく疎外される様子が繰り返し描かれています。にんじん自身も彼なりにそのような環境をやり過ごしながらも、愛に飢えた孤独な身の上からか、端々に残酷さや狂気を伺わせるような一面も垣間見せます。また、少年の両親にしてから、その夫婦関係が冷めきっていることが読み進めるうえで徐々に明らかにされます。

    この物語が類型的な児童文学として扱うできないことは明白ですが、とはいえ、本作をどのように捉えれば良いかは難しいところです。道徳を訴えるわけでもなく、無垢な子供像を描くでもなく、わかりやすい成長物語でもない、かといって単に子どもへの残酷な仕打ちを扱ったリアリスティックな作品としても捉えられません。容易には吸収できない、そして心に奇妙な後味を残す印象深い読書になりました。

    なお、この光文社古典新訳文庫版は訳者による解説とあとがきが非常に優れており、著者の生涯や日記、他作品を参照しつつ、ある種難解で一読では捉えがたい本作の理解を大いに助けてくれます。

  • なにかよからぬことが起こるのでは、と家族目線ではらはらしながら読み進める。多感な子供はささやかな事でもそれを経験として取り込み成長する。子どもに愛情をそそくことなく、虐待する親が育てた場合、その経験が卑屈な人間に育てられるような、反面教師的な側面がある。昔は子どもにお酒を飲ませたり、銃を扱わせたりしたのか。
    読み手に家族目線とにんじん目線と代わる代わる視点が変わるところも面白い。
    とてもシンプルな文体で子供向けの本とはじめは思ったがそうではないらしいです。時折支離滅裂な文章があるところも不安にさせられる。
    古典にはこんな斬新なものもあるんですね。色々発掘してみたくなります。

  • 「にんじんと呼ばれる少年の成長物語」と思って読んでみると、あまりにひどい虐待の描写(家族から「にんじん」に対する虐待は言うまでもなく、「にんじん」自身の小動物虐待も)に辛い気持ちになります。家庭環境のせいで不幸な幼少期を過ごした、という方はフラッシュバックを起こすおそれがありますのでおすすめできません。
    連作短編の形をとっており、「にんじん」の生活を部分的に切り出したような形式となっています。淡々とした文章で読みにくく感じましたが、「にんじん」の心情を反映したものなのかもしれません。

  • 目次の並べ方が絵本みたいで可愛らしい。けど内容は全然可愛らしくなんかない。母親のルピック夫人は、にんじんを否定し続ける。父親は、不在がち。ひどい話しでにんじんのスープには、自分のを。昨日の夜のが入っていて。飲んじゃった。汚い子だと言われた時にそんなことだろうと思ったよって。そんな返しあるか?と思った。にんじんのアルバムでにんじんは夫人に撮られたことがなく写真がない。なぜにんじんと呼ぶのです。髪の毛が黄色いからですか?ときかれでも、心はもっと黄色です。と夫人が答えた。黄色には薄汚れたという意味がある。にんじんは、ルナールの自伝ではないが、自伝的事実を大量に含んでいるという。見たくないだろう過去か。つらいな。

  • 作者の子どものころの実話を少し、脚色してということだけど、なかなか考えさせられる話が多かった. 主人公も含めみんなあまりに等身大の人間的.

  • そんなにお母さん虐待してる?

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