銀の椅子: ナルニア国物語6 (光文社古典新訳文庫 Aル 1-6 ナルニア国物語 6)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334753672

感想・レビュー・書評

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  • ナルニア国物語の6巻目。タイトル『銀の椅子』が何なのか、色々想像していたけれど、まったく当たっていなかった。

    ペヴェンシーきょうだいのいとこ、ユースティスが再登場。いじめられっ子のジル・ポウルと体育館の裏から学校の外へ出ようとしたユースティスは、またもやナルニア国へ呼び出される。ナルニアでは数十年が経過。航海王と呼ばれるようになったカスピアンは老い、彼の息子リリアン王子は魔女の手にかかって行方不明になっていた。アスランから4つの〈しるし〉に従ってリリアン王子を探し出すよう命じられたジルとユースティスの冒険が始まる。

    前作でただ一人、二度とナルニアに来ることはないとアスランから言われなかったユースティスが続投となり、おーやっぱり!と思った。前作ではかなり性格のねじ曲がっていたユースティスだが、今回は成長を遂げている。とはいえ、そこはユースティスであり、友だちのジルもすぐに心が折れてしまう。素直なペヴェンシー4きょうだいとは異なり、アスランの言うことに中々従わないのだ。そんな2人がシリーズでも屈指の大冒険を繰り広げる。アスランも頭を悩ませたことだろう。

    ピーターたちペヴェンシーきょうだいは、すぐにナルニアに順応した(何せ闘いに参加するわ、敵の首も切り落とすわ…)が、冒険から逃げ出したり、使命を忘れたりと、ユースティスとジルは右往左往。読んでるこちらはもどかしいけれど、まあ何もわからない異世界に急に飛ばされたら普通の反応かも。ナルニアの世界の共通語が英語であることも判明した第6巻である。

    前作では勇敢な〈もの言うねずみ〉リーピチープが大活躍した。今回2人を支えるのは〈ヌマヒョロリ〉族のパドルグラム。デフォルトでネガティブなのに、いざとなったら決して信念を曲げない姿が印象に残るキャラクターだ。こういう魅力的な脇役陣が多くいるのもナルニア国物語の魅力だろう。
    さて、いよいよ最終巻だ。

  • ユースティスが前作と比べものにならない位いい子になっている❗️
    アスランに召還されたユースティスとクラスメイトのジルは、カスピアン王の息子、リリアン王子を探す旅に出る。旅に同行するのはネガティブな事ばかり言ってるパドルグラム。
    もしも芝居をするのなら、このパドルグラムとリリアン王子はやりがいのある面白い役回りだと思う。役者の優劣が如実に出そうで。
    今回はストーリーが予想した通りに進んでしまって、少々物足りなかったが、ナルニアもあと1冊❗️と思うと感慨深い。

  • 東の果てまで行ったと思ったら、今度は地底!いやはや、物語が進むにつれてどんどん広がるナルニアの世界に驚かされてばかり。

    ピーターたち4兄妹の代わりに、新たにユースティスとジルがアダムとイヴの子どもとしてナルニアの王子を助け出しに冒険を始める。
    アスランに言われた「しるし」をあっという間にスルーしてしまう子どもたちにハラハラさせられるけど、そこで希望を取り戻してくれるのがパドルグラム。超絶ネガティブな彼が、いざというときに行動力や勇気を見せてくれるのでどんどん好きになっていった。
    魔女が太陽やアスランのことを、想像に過ぎないと思いこませようとするシーンが印象的。懸命に抵抗しようとするパドルグラム。
    「でも、だとしたら、想像で作りあげたもののほうが現実のものよりはるかに価値があるように思える、ってことだけは言わせてもらいますよ。」

    • midnightwakeupperさん
      パドルグラムは手足に水かきがあるというと、河童のような形態でしょうか?見事に地球の子どもたちの「保護者」の役割を果たしましたね。
      パドルグラムは手足に水かきがあるというと、河童のような形態でしょうか?見事に地球の子どもたちの「保護者」の役割を果たしましたね。
      2018/09/29
    • syikiさん
      >midnighwakeupperさん

      私はひょろっとしたエルフかドワーフのような姿を思い浮かべていました(^^)河童のようでも面白い...
      >midnighwakeupperさん

      私はひょろっとしたエルフかドワーフのような姿を思い浮かべていました(^^)河童のようでも面白いですね。
      保護者になるつもりもなかったのに、流れに乗って・・・という感じが味わい深いです。
      2018/10/02
  • 主人公はユースティスと級友ジルへ移り、航海王の息子リリアン王子との地底冒険。
    ペベンシー兄妹達とは違い、この二人は主人公補正を持たない、失敗も浅はかさもあるものの、成長しながら進む気持ちよさがある。

  • 行方不明の王子を探せ!

    いじめっ子に追い詰められたジルとユースティスは、向こうの世界でアスランに出会う。2人が託されたのは行方がわからなくなっているリリアン王子を見つけること。

    〈ヌマヒョロリ〉のパドルグラムという個性的で親しみのわくサブキャラクターが登場したことに嬉しくなる。悲観的なことばかり言うが勇気のあるパドルグラムは、まだナルニアでの冒険に慣れていないジルを時に優しく時に厳しくフォローしてくれる。ドーン・トレッダー号の冒険を経てすっかり頼もしくなったユースティスも素敵。

    ラストでリリアン王子と再会した直後に亡くなってしまうカスピアン。しかしアスランの国に現れたカスピアンは王位への戦いの時やドーン・トレッダー号の頃のようないきいきとした姿で現れる。それが懐かしくて嬉しいのと同時に、亡くなった後ということで悲しくもある。

    あと1巻しかなく、しかもそこでナルニアに終焉が訪れることを知っている身としては次を読むのが少し怖い。しかし解説にあったように次は刊行順に読んでみて2周目を楽しみたいとも思う。

  • タイトルは『銀の椅子』だけど、銀の椅子がほぼ活躍しなかったので、記憶に薄かった。
    そしてまさかのユースティス続投!そしてかなりいい奴になってるのに比例して見た目も良くなってる〜!
    パドルグラムがめっちゃカッコいいと思った。

  • いじめられて体育館の裏で泣く女の子ジルを見つけ、ユースティスは夏休みに体験した不思議な冒険の話で慰めようとする。そこへいじめっ子たちが追ってきて、逃げる二人が塀の扉を開けると……。優等生的だったペヴェンシー4兄妹に比べると、今回の二人は息が合ってないし、アスランの大事な教えも次々しくじる上に、助っ人というのが陰気な悲観キャラの<ヌマヒョロリ>。でこぼこトリオが危なっかしくて目が離せなかった。やる気は満々なのに人をイラッとさせるネガティブ発言ばかりのパドルクラムが実に素敵。じわじわと来るおかしみに、他の良キャラの魅力も霞むほど(1953)

  • 魔女の催眠術にかかりそうになったとき、パドルグラムが「足を突っ込んで」雰囲気を一変させた。キリスト教的な信仰告白は一番の見どころ。

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著者プロフィール

「ナルニア国物語」シリーズの著者。ケンブリッジ大学で中世・ルネサンス文学を講じた教授でもあり、『愛とアレゴリー』(1936年)などの評論やキリスト教に関する著作も多い。悪魔論『悪魔の手紙』(1942年)は世界的ベストセラーとなった。代表作「ナルニア国物語」シリーズ最終巻『最後の戦い』(1956年)は、優れた児童文学に贈られるカーネギー賞を受賞した。

「2023年 『新訳 ナルニア国物語7 最後の戦い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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