戦う操縦士 (光文社古典新訳文庫)

制作 : Antoine de Saint‐Exup´ery  鈴木 雅生 
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334753726

感想・レビュー・書評

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  • 「人間の土地」や「夜間飛行」と同じスタンスで
    読み進めていましたが、本作は負けると分かっている
    戦争での不可能であろうと思われる任務である
    偵察飛行を遂行し、帰還するまでが描かれており
    その中で著者が思い巡らしたことが
    書かれてるのか?と思っていたものの途中から
    違和感を覚え…

    「結局のところ、なぜ我々はいまだに戦って
    いるのだろうか?《民主主義》のため?(中略)
    ならば《民主主義陣営》のほかの連中も一緒に
    戦ってくれればいいじゃないか!」(P179)と
    他国を攻める姿勢になり、名指しはしないものの
    アメリカを非難します。

    すでにアメリカではベストセラー作家であった
    著者のこの作品の目的は「祖国の立場を弁明し、
    民主主義という大義を共有するアメリカがヨーロッパの
    戦争に参戦するよう促すことである。」(P312)
    でしたが、本作の発売前にアメリカは参戦し、
    その後、「アメリカの読者はこの作品を、今や
    戦友となったフランスの勇気ある戦いの記録として
    熱狂的に受け入れた。」(P312)ということでした。

    とても素晴らしい作品ですが、今後こういった
    目的で書籍が作り出されることがないことを
    願うばかりです。。

  • 人は何のために生きて、何に命を賭けるのか。
    人間とは?個人とは?
    戦争体験から生まれた思考はとても哲学的で、はっとさせられる記述もあり、すぅっと読めます。
    やはりサンテグジュペリは面白い。
    ぜひ。

  • 1940年5月-6月のドイツによるフランス侵攻のさなか、
    3人乗りの偵察機の機長としてフランス軍に従軍している人物
    (ほぼサン=テグジュペリと同一人物)の一人称による
    思索的小説。

    敗色濃厚のフランスで、主人公は前線付近の偵察のために
    飛び立っていきます。
    高高度による影響により機械あるいは身体に不調が現れ、
    ドイツ軍の戦闘機隊の襲撃をかわしながらも、
    なんとか偵察を終え主人公は帰還します。

    死が日常のこととして眼前にある状況で、
    自分が行う偵察は大勢にはなんら影響を
    及ぼさないことを知りつつ飛行する主人公。
    自分は何のために戦うのかを自問するなか、
    「人間」のために戦うのであるという
    回答を見出します。

    ただ、ドイツの側も別の立場から「人間」のために
    戦っていたのであり、そして、この考え方はえてして
    「相手は人間ではない」などといった考えに
    なりがちなのは注意しなければなりません。
    そして結局、戦争とは
    勝利したほうが「人道的な存在」であり
    敗北したほうは「非人道的な存在」となる
    という現代の現実が存在します。

  • 原書名:PILOTE DE GUERRE

    著者:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(Saint-Exupéry, Antoine de, 1900-1944、フランス、作家)
    訳者:鈴木雅生(1971-、フランス文学)

  • 解説にあるように、これはまさにイニシエーションの、通過儀礼の本だ。
    こんなあからさまに素直な言葉を重ねていけるものかと驚いた。

    人は肉体でもなく精神でもなく、行為だ、というあたりは感動した。プラトンよりもアリストテレスよりもデカルトよりも《人間》なのだ。

    出撃というイニシエーションを通して全く世界が別のようにみえるその前とその後を描いている。
    後半は正直言って、ちょっと長い。これは時代の、状況のズレによるものなのか、前提とするものが少し違うし、重ねるべき言葉の量も違うのだろう。

    人は行為のなかにある。

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