詩学 (光文社古典新訳文庫 Bア 2-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334753979

感想・レビュー・書評

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  • 詩作について論じた古代ギリシャの哲学者アリストテレスの著作。文芸論・物語論・演劇論の起源とされている。

    本書の特徴として自分が理解したのは、
    1.ストーリーの創作論
    2.西洋における芸術論の古典
    3.アリストテレスの哲学体系の一部をなす著作
    →後世の芸術家に与えた影響が絶大
    ということなのだが……

    正直、難解で大半は理解できなかった。見事に撃沈……。
    説明に用いられている古代ギリシア作品は現存しないものも多く、意味が通じにくい。なにぶん古い著作ゆえ、原文の欠損も多い。よくわからないところ、読んでも自分には意味がないと思われるところはかなり読み飛ばした。本書の半分は訳者の解説になっていて、一応ざっと目は通したものの、こちらもかなりの研究心がない限り読み取るのは難解。とはいえ、詩学を研究している人には貴重な資料だと思う。カタルシスやどんでん返し、デウス・エクス・マキナなどストーリーの構造についても触れられているが、どちらかというと創作者よりも研究者・批評家向けなのではという気もする。

  •  創作に関する世界最古のハウツー本。本書はアリストテレスが、古代ギリシア悲劇を定義したうえで、ホメロスやギリシア悲劇を分析して、そこから詩作においてポイントとなる要素を抽出する。特に第6章「悲劇とは、真面目の行為の、それも一定の大きさを持ちながら完結した行為の模倣であり、作品の部分ごとに別々の種類の快く響く言葉を用いて、叙述して伝えるのではなく演じる仕方により、憐れみと怖れを通じ、そうした諸感情からカタルシス(浄化)をなし遂げるものである」(p50)は、詩学に限らず、あらゆるストーリーに当てはまる普遍的な要素ではないだろうか。人間とは生まれた時代に関わらず、感情を持つ生き物であり、それを揺さぶる出来事に出くわすと、良い意味でも悪い意味でも影響を受ける。そのため、心を動かすための要素を、所々散りばめないといけない。このように、本書は人間の本質的な要素を突いたものだといえる。また解説では、プラトンとアリストテレスでは、人間の感情に対して意見の相違があることも興味深い。プラトンは喜劇や悲劇が、人間を理性で物事を捉えられないというのに対して、アリストテレスは感情によって理性を滅ぼすことはないという。

  • のっけから、悲劇や喜劇を作ること(すなわち詩作)は総じて「模倣」である、とくる。模倣?訳注によれば、ストーリーの中で登場人物の行為を描くことは、言葉を駆使して行為を真似ること、すなわち模倣だと。ちなみに絵を描くのもアリストテレスにとっては模倣であるらしい。人は模倣が好きなのだと。言われてみればそんなものかとも思うが、現代人とはすこし違う観念を持ったひとが書いていることがよく分か

    そんな違う観念を持ったアリストテレスであるが、丁寧に理詰めで論じていくので、訳注の助けもあり十分に読み進められる。そのうち、その理詰めぶりがなんだかおかしくなってくる。例えば、大きすぎて視野に収められないような生き物は美しいかどうか分からないだろうなどと言い出す(よってストーリーも適切な長さにすべき)。個人的には、当たり前に思われるようなことを無理やり理詰めに語りおこす町田康の芸風を彷彿とさせられた

    全体の半分くらいは訳注と解説で、時代背景や後世への影響なども丁寧に解説してある

  • 芸術を人間の本性的部分からアプローチしている点、働きによる定義付け、苦の感情を通した快楽はいい視点になった。

  • 2021/1/23

    初アリストテレス。こんなにも簡潔で明晰に語られるのかと驚いた。アリストテレスの文体が「電信のような文」や「偉大な言葉の節約家」と揶揄されている理由には納得。

    この要点について物語創作を生業にしようとする人と話したが、多くの部分で共感された。『詩学』が長く読み継がれてきたわけだ。
    伏線回収(『詩学』では「再認」のこと?)の難しさ、起承転結における適当な「大きさ」、悲劇は中間者が失敗することで起きる話、「普遍的な内容を打ち出」す練習は童話をアレンジすることから、などなど理解が深まった。

    ついでに、『コードギアス』は悲劇の一例だと聞いたので観てみよっと。

  • NDC(10版) 901.1 : 文学理論・作法

  • その昔読んだのは、研究社の英和対訳本だった。調べてみたら1968年刊。手元にある「世界の名著」と見比べて出だしを読んだら、かなり印象が異なる。読みきれるかなぁ…

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著者プロフィール

なし

「1997年 『天について』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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