シャーロック・ホームズの冒険 (光文社文庫 ト 2-1 新訳シャーロック・ホームズ全集)
- 光文社 (2006年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (555ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334761639
感想・レビュー・書評
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20年以上前、英語で読んだシャーロック・ホームズの冒険を日本語で読んでみたいと思い購入しました。自分の英文読解能力がそこそこあることに安心しました。
この本は、当然日本語訳です。翻訳がとても上手で、プロの凄さを感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小学校の図書館で読み漁ったシャーロック・ホームズ。子ども版だったからかとても面白く一気に読んだものだ。今回表紙のホームズが可愛らしくて手に取ってみた。(本文中の挿し絵は落ち着いたホームズですよ♡)有名な短編もバッチリ入っていて読み終えたときには大満足。けっこう財産目当てで事件がおきたんだなぁ……
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12篇の短編集です。
ホームズ第1作「緋色の研究」(1887)、「四つの署名」(1890)、に続いて、1891~1892の時期に雑誌に掲載されたもの。
ミステリーの原点、とかって言われる訳ですね。
確かに、「緋色」「署名」よりも、一冊の本として面白かったです。後半、夜なべでイッキ読みでした。
昔々に、子供向け翻訳で読んだかも知れないんですが、やっぱり光文社新訳はいいですね。
ミステリーの原点らしく、結局全ては資本主義的な都市部の、あるいは都市部の反対の位置として、地方での、欲・財産にまみれた犯罪譚であるのが特色ですね。「緋色」「署名」は、ロンドンの雰囲気と、あとは旧植民地の恨み&復讐譚でしたからね。
更に、下記するように、どれも割りと、ドロドロしてるんですよね。スキャンダラス、家族間の殺意、遺産、KKK・・・。
とにかく、先進的都会、資本主義の中でのモラルの歪み、欲望、金銭、遺産・・・。うーん、19世紀的。そこに英国ならでは、「貴族」なーんていう旧時代のスタイルが併存するから、ムード満点。
それがどれだけドロドロしても、ホームズとワトソンだから、痛快なんですよね。そのホームズも、月光仮面じゃなくて、麻薬中毒の変態退屈知的快楽野郎ですからねえ。
こりゃ、ほんとに良く出来たヒーローものだし、風俗モノですね。そして、資本主義、世間体、マスコミ、世論、都市、というものがないと始まらない。そう言う意味では、19世紀末でも、21世紀でも楽しめますねえ。
ホームズをイケメン、ワトソンとの関係を擬似ボーイズラブ?と考えれば、女子ウケも有り得る世界ですね。
(まあでも、基本には男子的な「冒険したい欲求」みたいなものがあるんですけどね。そこらあたり、主役のホームズが、トコトン変態に描かれてるから、意外と気にならないかも。変態っていうと雑だけど。変人。その上、日本人からすると全般的に、英国趣味なスタイルで、其の辺のクササはまぎれるのかもですね。それは、米国でも。)
個人的にすごいなあ、と思ったのは。
「ぶな屋敷」の章で、ホームズがワトソンに、「田舎の風景を見ると、どういう犯罪が行われているのか、想像すると怖い。都会より、よっぽど陰湿に隠れて、犯罪が行われ得るのが、田舎だ」
と語る場面があります。
ものすごい卓見だと思います。完全に同感です。
19世紀のイギリス人が書いたものを、21世紀に日本人が読んで娯楽になるって、凄いですね。って・・・考えると、漱石・鴎外・子規とかと、同時代人なんですよね。そう思えば、そうでもないのかな。
資本主義、っていう下に、合理主義が根付いて。教会とか儒教とか宗教的道徳に縛られない個人の欲望が勃興して。伴って社会が変わって。帝国主義が相対的に見られ始めたり。マルクス主義だったりがぼちぼちあって。その先端である大都会では、華やかな風俗とともに貧困があって。神なき欲望の大競争があるから、商品文化が花開いて。その一方で欲のための犯罪がある・・・。
まあ、その下敷きが同じだから、まだまだこの先も読み継がれるでしょう。
以下、備忘録。ネタバレなので、読みたくない人は読まないでくださいね。
①ボヘミアの醜聞
ボヘミアの王族が、結婚することになる。相手はどこかの王族。ところが、以前に付き合った庶民の女性から脅迫が。ネタは、ふたりで撮ったラブラブ写真。脅迫といっても、「愛しているからあたしを捨てるな」というタイプのもの。
困った王族はホームズに相談。ホームズはあと一歩のところで、女性に逃げられる。
②赤毛組合
ある店主が「赤毛なら、百科事典を写すだけで高給」という美味しい仕事をしていた。ところがある日、その勤務先が雲のように消えた。ホームズに相談。実はその店主の店の地下から坑道を掘って近所の銀行を狙う、という犯罪が裏にあった。
③花婿の正体
若い女性が、「愛を誓った彼が消えた」と。ところが真実は、娘がいなくなると財産が減る義父が、変装した彼氏だった。
④ボスコム谷の謎
地方で、殺人事件。背景には、オーストラリアで過去に悪党だった男が、イギリスに戻ってカタギになろうと。ところが過去を知る者に脅されて、金を与えて生きてきた。その悪党だった男が、とうとう相手を殺した。その二人の男の、息子と娘が恋仲なので、息子の方に濡れ衣が。
⑤オレンジの種五つ
どうやら、アメリカでKKKの一味だった?男がイギリスの地方に隠棲。だが仲間に殺される。何やら大事な書類のせいで。その相談に来た息子も、殺される。果実の種は、KKKの殺しの印。ホームズは捕らえようとするが、どうやら一味は海難事故で死んでしまった。
⑥唇のねじれた男
妻も子もある勤め人。ところが実は、本業はプロの乞食。変装が上手く、稼ぎが良いのだ。だがそれを妻に見られてしまったことから、ばたばた。自分殺しの容疑者として逮捕されてしまった。
⑦青いガーネット
臆病で金に困った男が金持ちから凄いダイヤを盗むが、処置に困ってダチョウに飲ませる。その上ダチョウを間違えて、売られてしまった。無実の、前科者の配管工が濡れ衣・・・。
⑧まだらの紐
財産のために、義娘を殺害する義父。手口はインド仕込みの毒蛇。となりの部屋に寝る娘に通風孔と呼び鈴の紐を伝って・・・。
⑨技師の親指
贋金作りの組織犯罪者たちが、機械の故障に困って技師を呼ぶ。知られてしまったから、殺そうと。九死に一生、親指は失うが、逃げた技師。ホームズが追い詰めたが、本拠地は火事で消失。
⑩独身の貴族
独身の貴族のアメリカから来た花嫁が、披露宴で失踪。
真相は、その娘はかつて愛し合った夫がいて、その夫とその日再会、逃げたのだった。
⑪緑柱石の宝冠
銀行家が管理する大事な宝冠が一部盗まれる。容疑者は不詳の息子。だが本当は、そこの姪&職業悪党の仕業。息子はそれを見て知っていたが、姪を愛していたから黙っていた。
⑫ぶな屋敷
あるそこそこのお金持ち男。娘がいて、妻が死に、後妻と結婚。娘に財産がついているので、結婚に反対。監禁。
だがウロウロ寄ってくる娘の恋人を騙すために容貌似た女性を雇って窓辺に座らせたり。最終的に彼氏が恋人を奪取。 -
不朽の作品。変装が得意でヤク中で正義感のある奇人にして不世出な探偵の事件簿。
犯罪にユーモアが入ってるのはこれが初と思われる赤毛連盟が名作。 -
何度目になるかわからない、「シャーロック・ホームズの冒険」でしたが、謎の答えがわかっていても、物語の展開がわかっていても、魅力的な作品ですね。
新訳になって、読みやすくなっているのも良いです! -
ご存知『シャーロックホームズ』シリーズの短編集1作目。
昔、『緋色の研究』を読んで訳が合わなかったのか正直そんなにおもしろくないものだと思っていた。
しかし、この訳はとても読みやすくホームズとワトソンの魅力がびしばし伝わってくる。
ホームズの推理は単純なようだが論理的で美しい。
こりゃ、いつまでも読み続けられるわけだ。
あと凶悪な事件ばかりを取り扱ってるものだと思ってたが意外と人は死ななかった。むしろ遺産を巡っての民事的な争いが多い気がした。
次は『緋色の研究』を読もう! -
キューバで。電子書籍ばんざい!
小学校の時に「ホームズ様♡」とか思って読んでたけど、いま読むとまた違った感じでおもしろい。ホームズのダメ人間さが夢水さんに似ててやっぱ好きだなーーー!
昔のイギリスってなんかアジア臭くて好き。 -
ずっとホームズが好きでした。何回読んでも飽きることのない名作だと思います。世界一の名探偵はやはりホームズですね。
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子供の頃に青い鳥文庫で読んでいたシャーロック・ホームズシリーズ。
その訳者さんと同じ方だと聞き、数ある出版社のなかから光文社を選びました。評判通り読みやすく、装丁も凝っていて気に入っています。
内容は言わずもがな。何年経っても、大人になっても面白い!ホームズのおかげで本が好きになり、推理小説が好きになった…そういう人も多いのでは? -
初めてちゃんと、シャーロック・ホームズを読んだ。
厚くてちょっと心配になったけど、短編集で、頭の体操になって楽しく読めた。
ホームズがときどき、ワトスンに掛ける気の利いた言葉にやられた。