本日、サービスデー (光文社文庫 し 38-1)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334763213

作品紹介・あらすじ

しがないサラリーマン鶴ヶ崎のもとに、ある日、女の姿をした悪魔が現れた。今日は神さまがくれた、一生に一度の「サービスデー」。どんな願い事も叶う一日だというのだが…。この大チャンスを、彼はどう生かすのか(表題作)。アパートに現れる女性の右手首だけの幽霊と住人の、不思議で心温まる交流(「あおぞら怪談」)。短編の名手が贈る、心に元気をくれる傑作集。

感想・レビュー・書評

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  • ①は朱川作品の中で一番繰り返し読んでるかな。おめでたい、ご都合主義と言われようが自分には心地よいのだろう。④さえ、オチがつけられていれば五つ星でも良かったのだが・・・。オススメは①と⑤。
    ①本日、サービスデー
    家庭でも会社でも冴えない中年鶴ヶ崎が迎える奇妙な一日。天使も悪魔も出てきて。
    ②東京しあわせクラブ
    「事件」の証拠品を競いに集うマニア達。最高に悪趣味だが朱川さんしか書けない。
    ③あおぞら怪談
    昔、チャンピオンに連載されていた「手っちゃん」の女版。最後の台詞、味がある。
    ④気合入門
    マッカチン(アメリカザリガニ)に勝った!と叫んだ瞬間、中途半端さがとても残念。
    ⑤蒼い岸辺にて
    目覚めるとそこは早織の知らない青い世界。生きるのがしんどい人に捧げたい。

  • どの話も面白くて、考えさせられましたが、特に響いた作品が、「気合入門」と「蒼い岸辺にて」です。

    前者では、気合一つがあるか、ないかで、見ている世界が変わってくるということ。

    怖がったり、避けたりしていても、何も変わらない。気合を入れて、目を逸らさずに、最後まで立ち向かうことで何かを得られることもある。

    後者では、自分の未来を自分で決めつけてはいないだろうかということ。

    誰かに言われたままを真に受けてはいけない。夢があるなら夢に向かって突き進むことが大事だし、ありのままの自分に誇りを持ち、自分が好きでいられる自分でいるということは素敵なこと。

    生きていくのに、大切な、普段の生活の中では忘れてしまいがちな教訓を教えてもらった小説でした。

  • 気軽に楽しめる、ちょっとコミカルで、ちょっと温まる短篇集。世にも奇妙な世界的アラカルト。いずれの篇も、この先に希望をつかもうという気持ちになれる前向きなストーリーばかり。個人的に「あおぞら怪談」の手首だけの幽霊、『妖アパ』のかの女性が思い浮かんでしょうがない。

  • すべての人間に与えられた、どんな願いがいくつでもかなうサービスデー。ただし、その日は人生に1日だけ、普通は気づかぬままに終わるのだが、悪魔の囁きで自分のサービスデーを知ってしまったら、いったい何を願うのか。表題作ほかほか短編4つ。
    鶴ヶ崎の善人、小市民ぶりに和む。自分であればもっとうまく使って、あれをして、これをして、と思ったりもするが、結局は善人が得をするという花咲仕様。「東京しあわせクラブ」はうすら寒いく、正直下衆い。「あおぞら怪談」はいい話だが、皮肉が効いているし、よく考えると日下部さんはかなりきている。「気合入門」は掌編だが、幼い頃の経験って大きくなって意外と大きな影響があるんだよなと納得、「蒼い岸辺にて」はオチがみえみえでいまいち。
    総じていい話が多いはずなのだが、全体的にほの暗さを感じてしまった。何故かはわからないが。

  • 表題作である中編と、短編四編からなる作品集。
    とにかく表題作が感動的です。解説の北上次郎氏は、欧米の小説にたとえていましたが、自分は藤子・F・不二雄先生がいうところのSF(すこし・ふしぎ)作品だと思いましたよ。
    巻末の短編「蒼い岸辺にて」は藤子・F・不二雄作品と水木しげる作品をミックスさせたような感動作。
    「あおぞら怪談」も、なんとなく水木しげる作品を思わせます。
    「東京しあわせクラブ」は、猟奇的で変態な内容。「気合入門」は、夏の日に少年がザリガニ釣りをするというだけのノスタルジック・ストーリー。
    作品世界のノスタルジックな要素は少なめにしながら、昭和世代には藤子不二雄作品や水木しげる作品を夢中で読んでいた頃を思い出させて逆にノスタルジックな気分にさせられる作品集でしたよ。

  • 手軽にさっくり読める、エエ意味にもワルい意味にも。
    アクがなさすぎるし詰めも甘いように感じるねんなぁ。手軽に読める半面、軽過ぎて歯ごたえない感じ。
    特に表題作は、朱川風味抑え過ぎじゃないかなぁ。もうちょっと個性出して練ればオモロい話になりそうな設定だとも思うんだけど。

    収録作で一番気に入ったのは気合入門、大げさに言うたらマーク・トウェインとかヘミングウェイ風味が感じられる青春譜。だけど、いかんせんこの短編も練り込みが足りてないように思える。もうちょっと練り込んだら書き込んだら、ひょっとすると大化けしそうなだけに残念。

  • 軽い夢幻世界楽しい。

  • 朱川湊人さんの本、先日、2015.6発行の「今日からは、愛の人」を読みました。猫の家を営むデリヘル嬢のところに男5人がやっかいになってる話で、セクシーな女性の魔女とちょっととぼけた男性天使が登場したりで、奇想天外な物語でした。読後、この本が2009.1刊行、2011.11文庫化の「本日、サービスデー」の続編と知りました。「本日、サービスデー」、この作品は、テンポも良く、キレもあって、なかなか面白かったです(^-^)

  • 人の優しさが報われて本当に良かったと思えた。
    いいお話でした。

  • 書店でタイトルを見たときに感じたのが普段の日常から脱却した特別なことが起こるんだろうなと勝手に想像して読んだ。大まかに言ってしまえばその通りなんだがタイトルの小説以外にも短編が4つ入っていてどれも心が少しだけほっこりする作品で変な裏切りが無い分人によってはイメージ通りとか感じてしまうかもしれないがこれはこれでよいと思う。

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著者プロフィール

朱川湊人
昭和38年1月7日生まれ。出版社勤務をへて著述業。平成14年「フクロウ男」でオール読物推理小説新人賞。15年「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞。17年大阪の少年を主人公にした短編集「花まんま」で直木賞を受賞。大阪出身。慶大卒。作品はほかに「都市伝説セピア」「さよならの空」「いっぺんさん」など多数。

「2021年 『時間色のリリィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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