妃(きさき)は船を沈める (光文社文庫)

著者 : 有栖川有栖
  • 光文社 (2012年4月12日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334764043

作品紹介

「妃」と呼ばれ、若い男たちに囲まれ暮らしていた魅惑的な女性・妃沙子には、不幸な事件がつきまとった。友人の夫が車ごと海に転落、取り巻きの一人は射殺された。妃沙子が所有する、三つの願いをかなえてくれる猿の手は、厄災をももたらすという。事件は祈りを捧げた報いなのだろうか。哀歌の調べに乗せ、臨床犯罪学者・火村英生が背後に渦巻く「欲望」をあぶり出す。

妃(きさき)は船を沈める (光文社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 単行本を既読。事件の内容をまったく覚えていなかったが、7年も経てばそんなこともあるだろう。ただ、火村先生とアリスの猿の手のディスカッションについてはおぼろげながら記憶があって、火村先生のエキセントリックな考察が有栖川先生の解釈をもとにしているというのが興味深い。こんなにロジカルな解釈は無理だったが、わたしもゾンビではなくきれいな息子が帰ってきたのを想像した。なぜそうおもったのか、わからないのだけれど。ひさしぶりではあったが、初読時より数倍はおもしろく読んだ気がする。魅力的な謎が数えきれないほどあったから。

  • 中編集。
    2005年に「猿の左手」、2007年に「残酷な揺り籠」が中編として発表されたものを、間に「幕間」をいれて長編として発売されたもの。
    ウィリアム・W・ジャイコブズ「猿の手」に描かれた物語が事件の重要な鍵となっている。
    「猿の手」とは、ある家族が願い事を三つだけかなえてくれると言われている「猿の手」を手に入れたところから物語が始まる。
    願いはかなうけれど、必ずそれ相応の対価を支払うはめになる。
    等価交換といったところだろうか。
    家族は試しに家の支払代金として200ポンドを願ってみる。
    いきなり目の前に200ポンドが現れるわけもなく、そのときは何も起こらない。
    けれど、翌日に夫婦の元に息子が事故で亡くなったと連絡が入る。
    会社が見舞金として持参したのは200ポンドだった。
    ちょっとゾワッとするような展開がこの後も待っている。
    願い事が三つかなう猿の手。
    もしも手にすることが出来たら、いったい何を願うだろう。
    迷いに迷って結局何も願わないか、それともすぐに何かを願ってしまうのか。
    対価を支払わなければならなくても、それでもかなえたい願いがあれば別なのだろうが・・・。
    「猿の手」は、海に沈んだ車から発見された男が発見されたことから始まる物語だ。
    目撃者も多数いて、海にダイブする直前に車から逃げ出した人間はいたとは考えられない。
    商売が上手くいかずに借金の返済の目処もつかない男。
    事業は順調なのに夫の借金のために返済に追われる妻。
    そして、友人のために男に金を貸していた女。
    遊んでいたお金を友人のために用立てただけだと言う女・妃沙子。
    若い男の世話をやくのが好きだと平然と語る妃沙子と、養子である潤一の関係は一種異様な雰囲気がある。
    いったい誰が男に睡眠薬を飲ませ殺害したのか。
    運転も泳ぎも出来、動機もあるが確固たるアリバイのある妻。
    運転は出来るが水恐怖症で泳ぐことが出来ない潤一。
    泳ぐことは出来るが運転が出来ない妃沙子。
    火村は思いもかけない過去の事件から解決への糸口を掴む。
    そして2年が過ぎ、火村と妃沙子は事件絡みで再び出会うことになる。
    ワインに仕込まれた睡眠薬。
    密室で銃殺されていた男。
    そして、割られた窓。
    火村によって暴かれる真相は、歪んだ思い込みで凶行に走る者と必死に何かを守ろうとする者の哀しい対決をさらけ出していく。
    過去は変えることが出来ない。
    そして、変えられない過去の責任から逃れることも出来ない。
    火村シリーズが好きな人は楽しめる物語だと思う。

    余談だが、作中に登場する服役中の暴力団員の名前が梶井功安という。
    「梶井功安。江戸時代の医者みたいな名前やな」という台詞が出てきて、ちょっと笑ってしまった。
    偶然だが、ドラマで有栖を演じている窪田くんが以前緒方洪庵の若い頃を演じていたことを思い出したからだ。
    ドラマで登場している小町も、この物語で登場する。
    「コマチでも私はオーケーです」
    ドラマの小町はこの呼び名を嫌がっていたが、物語では逆にこの呼び方を喜んでいるような印象を持った。

  • 『赤ん坊だって地震は容赦しないからな。この国は、残酷な揺り籠みたいなもんだ。』

    「地震」でここまで考えられるのが面白い。

    日テレのドラマもそこそこ良い。

  • ドラマCDを買ったので、原作を再読した。妃沙子のような女は大嫌いだと再認識。でも、結構いる、こういう女。

  • 中編ふたつだったんだ。
    タイトルが仰々しいので読むの躊躇してたけどさくっと読めた。

  • ウィリアム W ジェイコブズの作品「猿の手」の別の解釈を元にしている。自然に思い浮かぶ原作の物語のイメージの方が恐怖をあおっていいと思うけど、、
    私のイメージしていたものと、期待していた作品が違った。何かおどろおどろしいものを期待してしまった。

  • 短編集。
    「猿の左手」
    「幕間」
    「残酷な揺り籠」

  • シリーズを追って読んでいる本。

    猿の手の物語は知っていたが、2通り解釈できるのが面白い。ただ、他の作品を小説で知ってしまうのが少し悲しい。

  • 作家アリスシリーズ#17

  • 2部構成になる、連続する話。

    最初の、猿の左手、では驚きというか
    そこからどうしてその結論に!? な状態。
    トリックとしてはありえる状態なのですが
    まったく思いつきませんでした。
    本物の『猿の手』をちょっと読んでみたいです。

    それから月日がたちまして、な揺り籠。
    ようやく…という感じもする犯人でしたが
    不測の事態になりすぎです。
    いや、こればかりはどうしようもないですが。
    そもそも、そこまで愛しているというならば
    何故そのまま突っ走らないのか。
    男のプライド、時により、邪魔なものです。

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