八月の魔法使い (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334764340

作品紹介・あらすじ

洗剤メーカー・オニセンの役員会議で、報告されていない「工場事故報告書」が提示され、役員同士が熾烈な争いを始めた。同じころ経営管理部員の小林拓真は、総務部の万年係長が部長に同じ報告書を突きつけるのを目撃。たまたま役員会議に出席し騒動に巻き込まれた、恋人の美雪からのSOSも届く。拓真は限られた情報だけで"存在してはいけない文書"の謎に挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 『ガーディアン』は前後編に分かれているので、少し物足りなさを感じていましたが、本作が『ガーディアン』の続編と言ってもいいかもしれません。舞台は『ガーディアン』前編と同じ洗剤会社で、栗原課長や添島課長が名前だけですが登場します。ただし、タイトルに「魔法使い」とついていますが、ガーディアンのような超能力とも呼ぶべきものは一切登場しません。『カードウォッチャー』をこの前に読んだので、より楽しめました。『カードウォッチャー』も面白いので、ぜひどうぞ。石持浅海先生は兼業作家で、会社員でありながら小説を書いていらっしゃいますので、今作はまさに企業戦士サラリーマンの方の琴線に触れる「魔法」のような作品と言えるでしょう。

    ここからは蛇足ですが、会社名は「鬼の居ぬ間に洗濯」を略して「オニセン」でしょうか。内容を考えるとぴったりだと思いますね。あと意外と冒頭の林間学校の洗濯石鹸の件も菅野常務の策な気がしてなりません(笑) 気になる点は、森下くんはなぜ恐怖していたのかというところが明らかにされていないことですね。

  • あるはずのない、あってはならない事故報告書が、会議の場で役員たちの目にふれた。
    実際に事故は起きたのか、それとも単なる捏造文書なのか。
    もしも本当に事故が起きていて自分だけが知らなかったら…担当役員の思考回路は責任逃れの方向へと傾く。
    一方工場管理とは無関係の部署をあずかる役員は、これを機に一気にライバル役員の落としこみを謀る。
    会議室で交わされる会話のひとつひとつが、役員としての未来を左右していく。
    営業管理部の拓真は、偶然同じ事故報告書を目にしてしまう。
    関わらないようにと一旦はその場を離れた拓真だったが、恋人である美雪からのSOSを受け、何が起きているのかを探ろうとする。
    万年係長だと思っていた松本係長の意外すぎる一面。
    無関係を装いながら会議室で松本係長のアシストをする大木課長。
    会社の中での立場を損なわないように保身は抜かりなく、それでも真相に迫ろうとする拓真と、百戦錬磨の顔を隠していた松本係長とのやりとりは面白い。
    役員たちの自己中心的な考え方には呆れを通りこして笑える。
    こんな会社では先はないだろうな、と思ってしまった。
    役員や上司の顔色を伺うことばかりを優先させていたら、会社がどんどん衰退していくのは避けられない。
    本当に大切なことは何か。
    たぶん松本係長はそれを言いたかったのだと思う。
    でも、退くことが決まらなければ実際には言うことが出来なかったわけだから、やはり役員や上司の思惑というものは会社員である限り絶対なのだろう。
    リアル社会でも似たような思いをすることもある…。
    それにしても一番の役者だったのがあの人だったとは。
    予想していなかっただけに、「なるほど」と思ってしまった。
    会社の中で出世コースを確実に登っていく人は、もしかしたら本当にあの人のような人間なのかもしれない。

    会議室でのやりとり。
    松本係長と拓真との攻防。
    物語の面白さをその部分に感じた。

  • 読み終わった直後に、分からないところ、逃していたところをみつけだしたくて、その場で再読。 
    面白かった!!

  • 2016年2月13日読了。
    2016年68冊目。

  • 登場人物多すぎて、私の頭ではすっと物語に入って行けなかった。
    テーマ、展開、面白いと思うが何度か挫折しかかった。会社員って色々考えているんですね。

  • 存在しないはずの事故報告書を巡って、主人公が仮説を重ねていく、会社の中でのミステリー。
    偉い人の権力抗争とかどうでもよいなぁとか思ってるとなかなか興味を持てず。。

  • 〝存在してはいけない文書〟の謎をロジックだけで解き明かす。
    自分とは縁のない、「会社員」の主人公、合わなかった。

  • 演劇、を見ているようなストーリー展開。1日の短時間で起こっていることが、話の全体になっている。ホントにこんなことで会社が動く?と思うが、娯楽として読めばいい。ただ、一部には、こんなことが、という中にも現実が含まれてはいると思う。

  • 何が起こっていて、誰が首謀者なのか。主人公が論理的思考だけで真相に迫る。著者が得意とする形態の小説だ。殺人事件が起こるわけでなく、会社のデスクと会議室で繰り広げられる思考合戦。期待を裏切らない出来ばえだった。

  • 洗剤のメーカの役員会議で,謎の事故報告書が公開されて,同じ頃,総務の万年係長が部長に事故について迫る。
    経営管理部の若手社員が,係長に挑む話。
    この作者お得意の閉鎖空間の論理バトルだが,首謀者の自己満足行動に全く共感できる主張がなく,むしろ巻き込まれた役員がかわいそうに思えた。

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著者プロフィール

1966年愛媛県生れ。02年『アイルランドの薔薇』でデビュー。特殊状況下や斬新な設定でのロジカルな推理に定評がある。著書に『月の扉』『扉は閉ざされたまま』『トラップハウス』『カード・ウォッチャー』等。

「2014年 『御子を抱く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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